コラム

 公開日: 2014-02-09 

不動産 中間省略登記ができない理由

1,中間省略登記とは
 中間省略登記とは、連続する複数の物権変動があるときに,中間の物権取得者を省略して,現在の登記名義人から,最終の物権取得者に,直接名義を移転する登記をいいます。
 例えばA→B→Cと所有権が移転した場合に、本来は、A→Bへ移転登記手続をし、続いてB→Cへ移転登記手続をしなければならないのですが、中間省略登記というのは、中間にいるBを外して、A→Cへ所有権移転登記をすることをいうのです。

2,メリット、デメリット
  このメリットは、登録免許税が1回分で済むことです。
  なお、中間省略登記をすると、不動産取得税も1回分で済むと誤解している人がいますが、不動産取得税は、流通税ですから登記とは無関係に、A→Bが取得した時点とB→Cが取得した時点で課税されます。ただ、実際には、登記簿上はA→Cへ所有権移転登記がなされただけにしか見えませんので、A→B→Cと所有権が移転した事実が課税庁(都道府県)に捕捉できず納税を免れていることが多く、これが税金がかからないと誤解されることになっているのかもしれません。
  中間省略登記のデメリットは、実際の取引経過が正しく登記に反映されないことです。

3,旧法下では中間省略登記が可能であった。
 平成17年3月7日から新しい不動産登記法が施行されましたが、それまでの不動産登記法の下では、中間省略登記が可能でした。
  旧法の下では、所有権移転登記については、(登記)義務者と(登記)権利者とが所有権移転の原因を特定して共同申請しましたが、所有権移転の原因が「売買」であってもだれが売主で誰が買主かという記載は不要だったため,「所有権はA→Cに移転した。Cへの所有権移転の原因は売買だ。」と書くことが可能だったので,中間省略登記ができたのです。

4,現在は,中間省略登記ができない
 しかしながら,改正された不動産登記法では、登記に際し「登記原因証明情報」という書面の提出が必要になりました。そのためには「A→Bの売買」「B→Cの売買」という取引の実態を明らかにする必要が生じ、中間省略登記はできないことになったのです。
  実は、旧法下でも、物権変動の原因となる法律事実の成立を証する書面である「登記原因を証する書面」の添付が要求されてはいたのですが、これは必須のものではなく、これに代わる「申請書副本」(登記申請書の写し)というBの登場しない登記義務者A、登記権利者Bと記載されただけの書面で登記申請が可能だったため、中間省略登記が可能だったのです。

5,中間省略登記を許すときの弊害
  わが国の不動産登記には公信力(登記の記載内容と実体とが異なっていても,登記の内容に従った効力が認められるという効果)はありません。したがって,名義人が無権利者である場合は、買主は所有権を取得できません。
権利取得の過程が登記面に現れない場合は,名義人が所有者でない場合が当然出てきて,不動産取引を不安定にします。
そこで,改正不動産登記法は、権利取得の過程をも公示することにし,「登記原因及びその日付」を登記事項とするとともに、それを証明するものとして登記原因証明情報を申請の際に原則として提供することを要求したのです。そしてこの登記原因情報を利害関係人が閲覧することを可能にしています(不動産登記法61条・121条)。これによって、中間取得者を省略し真実の取得過程と相違する中間省略登記は、不動産登記法上、受け容れられないことになったのです。

6,中間省略登記に代わる方法
~第三者のためにする契約~
~買主の地位の譲渡契約~

これについては明日と明後日ののコラムで説明します。

この記事を書いたプロ

弁護士法人菊池綜合法律事務所 [ホームページ]

弁護士 菊池捷男

岡山県岡山市北区南方1-8-14 [地図]
TEL:086-231-3535

  • 問い合わせ

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

19

こちらの関連するコラムもお読みください。

<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
 
このプロの紹介記事
菊池綜合法律事務所|菊池捷男弁護士は数多くの民事裁判を手がけてきたエキスパート

法律事務所は決して敷居の高い場所ではありません。(1/3)

 事務所設立以来40年、「うそをつかない、ごまかさない」を信念に、離婚や相続など数多くの民事裁判を手がけてきた菊池捷男さん。現在事務所には菊池さんを筆頭に6人の弁護士が在籍し、民事から企業法務まであらゆる法律問題をサポートしています。 ...

菊池捷男プロに相談してみよう!

山陽新聞社 マイベストプロ

あらゆる法律問題に対処可能

事務所名 : 弁護士法人菊池綜合法律事務所
住所 : 岡山県岡山市北区南方1-8-14 [地図]
TEL : 086-231-3535

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

086-231-3535

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

菊池捷男(きくちとしお)

弁護士法人菊池綜合法律事務所

アクセスマップ

このプロにメールで問い合わせる
プロのおすすめコラム
情報公開条例の運用に誤解あり③ 助言義務は説明義務に非ず

Q 当市の公開条例には,第3条 何人も,この条例の定めるところにより,実施機関に対し,当該実施機関の保有す...

[ 地方行政 ]

情報公開条例の運用に誤解あり➁ 知る権利は,法と条例の制限内の権利なり

Q 情報の開示を請求した住民に,公文書のコピーを交付した後,当該住民から,住民には“知る権利”があるのだから...

[ 契約書 ]

情報公開条例の運用に誤解あり① 説明義務はない

Q 私はA市の情報公開担当課の者ですが,次のような請求に困っています。アドバイスを御願いいたします。1...

[ 地方行政 ]

メール相談より。いわゆる「相続させる」遺言書と遺言執行者との関係

問1 「妻に全財産を相続させる。」と書いた遺言書の場合,遺言執行者は要らないのですか?2 「妻に全財産...

[ 相続相談 ]

人は,常に,今が旬

そうなんです。人は,常に,今が,最もおいしい季節なのです。昨日知らなかったことが,今日は知っていますし...

[ その他 ]

コラム一覧を見る

スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ