コラム

 公開日: 2014-02-07 

不動産 地役権と建築確認

Q 私は,Aさんから,土地と建物を購入することにしたのですが,その土地は公道に接していません。Aさんは,私が買おうとしている土地と公道の間の土地(隣地)も所有していますので,私に,公道に出るまでの間に幅2mの通路を開設してその土地に地役権を設定すると言ってくれているのですが,そうであれば,私も土地と建物を買っても良いかな,と思います。
なにか,気をつけることはありますか?

A 
1,地役権
地役権とは,設定行為で定めた目的に従い、他人の土地を自己の土地の便益に供する権利をいいます。
あなたの場合でいいますと,あなたが買われる土地(「要役地」といいます)の便益(公道に出ることができるという便益)のために,Aさんの土地(通路部分。これを「承役地」といいます)を通行できる権利をいうのです。
あなたの場合は,通行を目的とする権利ですから,通行地役権といわれますが,地役権には,他に,用水地役権(引水地役権)、眺望地役権(観望地役権)、送電線地役権、湧水池地役権、浸冠水地役権(遊水地地役権)などがあります。
地役権は,不動産登記法によって,登記することができます。
不動産登記法80条では,①要役地,②地役権設定の目的及び範囲などを明らかにする必要があります。

ですから,あなたの場合,Aさんから隣地の通路部分に通行地役権が設定されると,そこを通路として使うことができます。

2,建て替えは,無条件ではできない。
しかしながら,あなたが将来建物を建て替えるときは,建築確認を得なければなりませんが,公道に接していない土地については,たんに隣地に2m幅の通行地役権があるというだけでは,建築確認を得ることはできません。
建築基準法43条は「建築物の敷地は、道路に2メートル以上接しなければならない。」と規定していますが,通行地役権の対象になっているだけの土地は,建物の敷地とはいえないからです。
理由は,「敷地」は法的に建築可能な土地ですが,通行地役権の対象地は建築ができない土地だからです。ただ,実務上は,通行地役権対象の土地でも建築基準法43条の「敷地」(「延長敷地」という言い方になります)と認める場合もあるようですので,あなたの場合,よく調査されるべきです。


3,結論
Aさんが通行地役権を設定するといっている土地を,買うか建物の敷地とするため建物所有を目的とする借地権または使用借権の設定を受ければ安心ですが,通行地役権の設定を受けた土地というだけでは,将来建築確認が得られる保証はありません。

この記事を書いたプロ

弁護士法人菊池綜合法律事務所 [ホームページ]

弁護士 菊池捷男

岡山県岡山市北区南方1-8-14 [地図]
TEL:086-231-3535

  • 問い合わせ

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

5

こちらの関連するコラムもお読みください。

<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
 
このプロの紹介記事
菊池綜合法律事務所|菊池捷男弁護士は数多くの民事裁判を手がけてきたエキスパート

法律事務所は決して敷居の高い場所ではありません。(1/3)

 事務所設立以来40年、「うそをつかない、ごまかさない」を信念に、離婚や相続など数多くの民事裁判を手がけてきた菊池捷男さん。現在事務所には菊池さんを筆頭に6人の弁護士が在籍し、民事から企業法務まであらゆる法律問題をサポートしています。 ...

菊池捷男プロに相談してみよう!

山陽新聞社 マイベストプロ

あらゆる法律問題に対処可能

事務所名 : 弁護士法人菊池綜合法律事務所
住所 : 岡山県岡山市北区南方1-8-14 [地図]
TEL : 086-231-3535

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

086-231-3535

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

菊池捷男(きくちとしお)

弁護士法人菊池綜合法律事務所

アクセスマップ

このプロにメールで問い合わせる
プロのおすすめコラム
景品表示法違反② 課徴金制度の導入と初適用事例

優良誤認表示などの不当表示に、課徴金制度が導入されたのは、改正景品表示法の施行日(平成28年4月1日)から...

[ 会社関係法 ]

民法(債権法)改正法が成立

 本日、民法(債権法)に関する改正民法が成立しました。制定以来、約120年ぶりの大改正です。改正は、約200項...

[ 債権法改正と契約実務 ]

景品表示法違反① 合理的根拠資料を持たずして、効果・性能表示をなすなかれ

 不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)は、「不当表示」を禁じています。その一類型である「優良誤認表...

[ 会社関係法 ]

従業員との間の競業避止契約は、代償措置がとられていないと、無効

東京地方裁判所平成28年12月19日判決は、会社が従業員との間で競業避止契約を結び、従業員から退職の申し出...

[ 会社関係法 ]

店舗外観を不正競争保護の対象にした初裁判

東京地方裁判所平成28年12月19日決定(仮処分決定)は、甲社が直接又はフランチャイズ契約により加盟店に営...

[ 会社関係法 ]

コラム一覧を見る

スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ