コラム

 公開日: 2013-12-10 

契約書知識 8 競業避止と競業避止義務

1,意味
競業とは、競争的な営業のこと、競業避止契約とは、競争になる営業をしないこと、又は、競争会社の役員や従業員にならないことを約束することです。
2,法律上競業避止義務がある場合
(1)営業(又は事業)譲渡の場合
商法16条1項及び会社法21条は、営業を譲渡した者(会社法では「事業譲渡した会社」)は、営業(又は事業)を譲渡した日から20年間は、同一の市町村(東京都や政令指定都市の場合は区)内で、同一の営業(又は事業)を行ってはならない、と規定しています(特約があれば30年間の競業禁止も有効)。
(2)支配人の場合
商法23条1項及び会社法12条は、支配人に対し、「商人の営業の部類に属する取引」をすることを禁じています。
(3)代理商の場合
商法28条及び会社法17条は、代理商にも、支配人と同じ競業避止義務を課しております。
(4)株式会社の取締役の場合
会社法356条1項は、取締役が①自己又は第三者のために株式会社の事業の部類に属する取引をしようとするとき、②自己又は第三者のために株式会社と取引をしようとするとき、③取締役以外の者との間において株式会社と当該取締役との利益が相反する取引をしようとするとき、及び、④株式会社が取締役の債務を保証するときは、当該取締役は、株主総会において、当該取引につき重要な事実を開示し、その承認を受けなければならない、と定めています。
(5)合同会社等株式会社以外の会社についても、役員には、株式会社の取締役と同じ競業避止義務が課されております。
(6)元従業員の場合
元従業員には会社の事業と競争的な事業をしてはならいという義務はありませんが、最判平22.3.25は、
①元従業員乙等が、それまで勤務していた会社甲社の取引先へあいさつに行き、その際などに、取引先の一部に対して、独立後の受注希望を伝えるなど、取引先の営業担当であったことに基づく人的関係等を利用することは、格別違法とはいえない。
②しかしながら、甲社の営業秘密に係る情報を用いたり,甲社の信用をおとしめたりするなどの不当な方法で営業活動を行うこと、あるいは、乙らが退職したことによる甲社の営業が弱体化した状況を殊更利用した場合等は,その行為は元雇用者に対する不法行為に当たるというべきである。
③元従業員等は競業行為を行うことを、元の勤務先会社に開示する義務を当然に負うものではないから,これら競業行為を元の会社に告げなかったからといって,その競業行為を違法と評価すべき事由ということはできない。
と判示しています。

この記事を書いたプロ

弁護士法人菊池綜合法律事務所 [ホームページ]

弁護士 菊池捷男

岡山県岡山市北区南方1-8-14 [地図]
TEL:086-231-3535

  • 問い合わせ

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

1

こちらの関連するコラムもお読みください。

<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
 
このプロの紹介記事
菊池綜合法律事務所|菊池捷男弁護士は数多くの民事裁判を手がけてきたエキスパート

法律事務所は決して敷居の高い場所ではありません。(1/3)

 事務所設立以来40年、「うそをつかない、ごまかさない」を信念に、離婚や相続など数多くの民事裁判を手がけてきた菊池捷男さん。現在事務所には菊池さんを筆頭に6人の弁護士が在籍し、民事から企業法務まであらゆる法律問題をサポートしています。 ...

菊池捷男プロに相談してみよう!

山陽新聞社 マイベストプロ

あらゆる法律問題に対処可能

事務所名 : 弁護士法人菊池綜合法律事務所
住所 : 岡山県岡山市北区南方1-8-14 [地図]
TEL : 086-231-3535

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

086-231-3535

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

菊池捷男(きくちとしお)

弁護士法人菊池綜合法律事務所

アクセスマップ

このプロにメールで問い合わせる
プロのおすすめコラム
独占禁止法違反 返品が、優越的地位の濫用に当たる場合と、当たらない場合、それぞれの要件

公正取引委員会平成27年3月26日審決(平成24年(判)第6号及び第7号)は、優越的地位の濫用に対して課徴...

[ 会社関係法 ]

景品表示法違反② 課徴金制度の導入と初適用事例

優良誤認表示などの不当表示に、課徴金制度が導入されたのは、改正景品表示法の施行日(平成28年4月1日)から...

[ 会社関係法 ]

民法(債権法)改正法が成立

 本日、民法(債権法)に関する改正民法が成立しました。制定以来、約120年ぶりの大改正です。改正は、約200項...

[ 債権法改正と契約実務 ]

景品表示法違反① 合理的根拠資料を持たずして、効果・性能表示をなすなかれ

 不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)は、「不当表示」を禁じています。その一類型である「優良誤認表...

[ 会社関係法 ]

従業員との間の競業避止契約は、代償措置がとられていないと、無効

東京地方裁判所平成28年12月19日判決は、会社が従業員との間で競業避止契約を結び、従業員から退職の申し出...

[ 会社関係法 ]

コラム一覧を見る

スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ