コラム

 公開日: 2013-11-08  最終更新日: 2017-09-08

通常の建物賃貸借契約と定期建物賃貸借契約の違い

Q 我が社は、土地の有効活用をはかるため、貸店舗業を始めようと計画しています。
早速、その話を聞きつけたA社から、定期建物賃貸借契約でよいから貸してくれないかというオファーが入ってきましたが、当社の希望する家賃よりは安い家賃(月80万円)の提示がなされました。B社からは、通常の建物賃貸借契約という条件で、当社の希望する家賃(月100万円)でのオファーが入ってきました。
通常の建物賃貸借契約と定期建物賃貸借契約とでは、どのような違いがあるのですか?
また、通常の建物賃貸借契約における賃料額と定期建物賃貸借契約における賃料額とでは違いがあるのですか?

A 通常の建物賃貸借契約の場合の貸主は弱い立場、定期建物賃貸借契約の貸主は強い立場に立つことになります。そのため賃料額に差が出るのはやむを得ないことです。

1,返還時期
通常の建物賃貸借契約は、更新することが当然の前提になっています。貸主から、期間満了後賃貸借契約を更新しないといっても、あるいは、解約するといっても、正当理由がないと効力は生じません。正当理由が認められることは少なく、認められる場合でも、相当の立退料の支払いが条件になります。

ですから、通常の建物賃貸借契約は、返還時期が、借主の意思しだいになります。
要は、契約期間が満了しても、建物は返還してもらえないということです。

一方、定期建物賃貸借契約は、期間の満了によって賃貸借契約は終了しますので、建物は無条件で返還してもらえます。


2,賃料を値上げすることの可否

通常の建物賃貸借契約の場合、ひとたび決めた賃料については、値上げをする場合であっても、値下げをする場合であっても、相手方の同意が必要になり、同意なしに値上げや値下げの効果を得るには裁判を起こさねばなりません。そのため、賃貸借期間が完了する時点で、値上げをしたくとも、まったく値上げができないか、できたとしても満足のいかない値上げになることが一般的です。

一方、定期建物賃貸借契約の場合は、期間の満了によって賃貸借契約は終了しますので、同じ賃借人から、再契約をして欲しいと要請されたとき、貸し主から、賃料を値上げしてくれないと貸さないということができます。
借主も、その店舗から撤退したくないと思えば、高くなっても、新たな賃料で借りるほかなく、貸主が圧倒的に強い立場になります。

通常の建物賃貸借契約と定期建物賃貸借契約とでは、このような違いがありますので、当初の契約時に設定する賃料に違いがでることはやむを得ないでしょう。建物が賃貸借契約期間の満了によって返還されない通常の建物賃貸借契約の場合は、高い家賃を設定し、賃貸借契約期間が満了すると確実に建物が返還される定期建物賃貸借契約の場合は、賃料を安く設定するということです。、

この記事を書いたプロ

弁護士法人菊池綜合法律事務所 [ホームページ]

弁護士 菊池捷男

岡山県岡山市北区南方1-8-14 [地図]
TEL:086-231-3535

  • 問い合わせ

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

1

こちらの関連するコラムもお読みください。

<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
 
このプロの紹介記事
菊池綜合法律事務所|菊池捷男弁護士は数多くの民事裁判を手がけてきたエキスパート

法律事務所は決して敷居の高い場所ではありません。(1/3)

 事務所設立以来40年、「うそをつかない、ごまかさない」を信念に、離婚や相続など数多くの民事裁判を手がけてきた菊池捷男さん。現在事務所には菊池さんを筆頭に6人の弁護士が在籍し、民事から企業法務まであらゆる法律問題をサポートしています。 ...

菊池捷男プロに相談してみよう!

山陽新聞社 マイベストプロ

あらゆる法律問題に対処可能

事務所名 : 弁護士法人菊池綜合法律事務所
住所 : 岡山県岡山市北区南方1-8-14 [地図]
TEL : 086-231-3535

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

086-231-3535

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

菊池捷男(きくちとしお)

弁護士法人菊池綜合法律事務所

アクセスマップ

このプロにメールで問い合わせる
プロのおすすめコラム
民法改正が賃貸借契約に与える影響 3 賃料が当然に減額となる場合(改正)

1 民法611条の改正内容改正された民法第611条は、1項で、「賃借物の一部が滅失その他の事由により使用及び...

[ 不動産法(賃貸借編) ]

民法改正が賃貸借契約に与える影響 2 賃借人の修繕権(新設)

1 修繕権の創設改正民法607条の2は、「賃借物の修繕が必要である場合において、次に掲げるときは、その修繕...

[ 不動産法(賃貸借編) ]

民法改正が賃貸借契約に与える影響 1 賃貸借期間が伸長された

ガソリンスタンドの設置目的などに朗報1 現行法は20年、改正法は50年借地借家法の適用のない賃貸借契...

[ 不動産法(賃貸借編) ]

他人の研究論文の模倣ないし盗用と私立大学の使用者責任

 知的財産高等裁判所平成27年10月6日判決は、・大学又は大学院の教員が行うすべての学術論文の執筆,発表...

[ 民法雑学 ]

第3章 1概説 6遺言事項(3)遺贈
イメージ

コラム一覧を見る

スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ