コラム

 公開日: 2013-09-20 

自治体がする契約 7 議決回避のための工期の分割が許される要件

仙台高裁平成16.12.22判決は、
①公共工事に係る工事の実施方法の決定は,予算の執行権限を有する普通地方公共団体の長が,財政状況,国等から交付される補助金の額や交付条件,公共事業の性質や実施状況,工事の必要性や緊急性,工事の実施場所や内容,住民らの要望等の諸般の事情を総合考慮して高度な経済的,政治的判断として行うものであるが,
②法96条1項5号は,「その種類及び金額について政令で定める基準に従い条例で定める契約を締結すること」については,長でなく,議会の議決によるものとしている。その趣旨は,政令等で定める種類及び金額の契約を締結することは普通地方公共団体にとって重要な経済行為に当たるものであるから,これに関しては住民の利益を保障するとともに,これらの事務の処理が住民の代表の意思に基づいて適正に行われることを期することにあるものと解される。
③そうすると,長による公共事業に係る工事の実施方法等の決定が当該工事に係る請負契約の締結につき同号を潜脱する目的でされたものと認められる場合には,当該長の決定は違法であると解するのが相当である。

という一般論を述べた(注:この一般論は最高裁平成16.6.1判決による。つまりこの仙台高裁判決はこの最高裁判決の差し戻し審判決である)上で、さらに、
④本件3つの契約は元々は1つの契約としてこれを締結することについての議案を町議会に提出したが,否決された後,予定価格がいずれも議会の議決を必要としない金額にして、そのための設計変更をした上で,本件各契約を締結したという経過があること等の理由で、違法と判示しました。

⑤ただ、このような議会の議決を回避する方法によることが、
ア 契約にかかる工事を実施する高度の必要性があり,
イ その実施に不可欠で既に交付決定を受けていた補助金を利用するためには,本件工事を当該年度内に完了させるほかなく,工期の短縮等の手段として工区を3つに分割することが,本件工事の内容,性質,実施場所等に照らして合理的であったなどの特段の理由に基づくものと認められる場合は、違法ではない旨判示しています。

この記事を書いたプロ

弁護士法人菊池綜合法律事務所 [ホームページ]

弁護士 菊池捷男

岡山県岡山市北区南方1-8-14 [地図]
TEL:086-231-3535

  • 問い合わせ

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

3

こちらの関連するコラムもお読みください。

<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
 
このプロの紹介記事
菊池綜合法律事務所|菊池捷男弁護士は数多くの民事裁判を手がけてきたエキスパート

法律事務所は決して敷居の高い場所ではありません。(1/3)

 事務所設立以来40年、「うそをつかない、ごまかさない」を信念に、離婚や相続など数多くの民事裁判を手がけてきた菊池捷男さん。現在事務所には菊池さんを筆頭に6人の弁護士が在籍し、民事から企業法務まであらゆる法律問題をサポートしています。 ...

菊池捷男プロに相談してみよう!

山陽新聞社 マイベストプロ

あらゆる法律問題に対処可能

事務所名 : 弁護士法人菊池綜合法律事務所
住所 : 岡山県岡山市北区南方1-8-14 [地図]
TEL : 086-231-3535

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

086-231-3535

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

菊池捷男(きくちとしお)

弁護士法人菊池綜合法律事務所

アクセスマップ

このプロにメールで問い合わせる
プロのおすすめコラム
道徳経済合一説

これは、渋沢栄一の持論とされている考え方です。ここで、道徳というのは、論語の教えのことです。渋沢栄一は...

[ 格言や歴史上の偉人の言葉に学ぶ ]

割増賃金の定額化に関する判例後の通達

すでに本コラムで紹介しました割増賃金の定額化に関する、最高裁判所平成29年7月7日判決を踏まえた通達が、同月31...

[ 労働 ]

大切にしたいもの 一能

吉川英治が描く、「私本太平記」の中に、楠正成が、一人の仮面師(めんし=鑿(のみ)を使って人の顔をつくる者) ...

[ 大切にしたいもの ]

特別の利害関係のある取締役が、取締役会決議に関わった場合の取締役会決議の効果

問題会社法369条は「取締役会の決議は、議決に加わることができる取締役の過半数(これを上回る割合を定款で定め...

[ 菊池と後藤の法律実務レポート(企業編) ]

就業規則の一括届出制度について

1 就業規則の届出義務は、事業場ごとに。労働基準法89条は、「常時十人以上の労働者を使用する使用者は、次に...

[ 労働 ]

コラム一覧を見る

スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ