コラム

 公開日: 2013-09-18 

相続相談 騙されて遺言書を書かされないようにする方法

Q  老齢の父のことが心配です。父はかなりの資産を有しており、自分の死後それを妻子にどう分けるかを考え、遺言書を作成しているのですが、最近認知症の傾向が出、昔付き合いのあった女性に懇願されて言われるまま遺言書を書いてその女性に渡したが、何を書いたのかを覚えていない、その遺言書を破棄したい、ということを父から聞きました。
そこで、その遺言書を破棄する方法と今後父が騙されて遺言書を書かされなくする方法を教えてください。

A 
1,遺言書を破棄する方法について
遺言書を破棄したいというのは、すでに書いた遺言書を無効にしたいということだと思いますが、民放1022条は「遺言者は、いつでも、遺言の方式に従って、その遺言の全部又は一部を撤回することができる。」と規定していますので、すぐに「過去に書いた遺言はすべて撤回する。」という遺言書を書けば、その日より前に書いた遺言書は無効にできます。」
また、民法1023条は「前の遺言が後の遺言と抵触するときは、その抵触する部分については、後の遺言で前の遺言を撤回したものとみなす。」という規定もありますので、前に書いた遺言書と抵触する内容の遺言書を書くことで、前に書いた遺言書を無効にすることもできます。

2,騙されて遺言書を書かされなくする方法
⑴ 被後見人になりうる場合
お父さんが認知症になっているということですので、後見人をつけることが可能ならそうすべきです。何故かといいますと、民法973条1項で「成年被後見人が事理を弁識する能力を一時回復した時において遺言をするには、医師2人以上の立会いがなければならない。」、2項本文で「遺言に立ち会った医師は、遺言者が遺言をする時において精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く状態になかった旨を遺言書に付記して、これに署名し、印を押さなければならない。」という規定があるので、騙して遺言書を書かさす側の者としては、2人以上の医師の協力なしには遺言書を書かすことはできないからです。

⑵ 被保佐人、被補助人になりうる場合
 後見ではなく、保佐、補助の制度が利用できる程度の能力のある人の場合は、保護する方法はありません。
すなわち、同じ法律行為であっても、売買や贈与などの通常の取引行為の場合は、被保佐人、被補助人がするときは保佐人、補助人の同意が必要になり、同意なく法律行為をすると取消すことができますが、遺言書の作成の場合はそれができません。民法962条が「第5条、第9条、第13条及び第17条の規定は、遺言については、適用しない。」と規定しているからです。

この記事を書いたプロ

弁護士法人菊池綜合法律事務所 [ホームページ]

弁護士 菊池捷男

岡山県岡山市北区南方1-8-14 [地図]
TEL:086-231-3535

  • 問い合わせ

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

2

こちらの関連するコラムもお読みください。

<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
 
このプロの紹介記事
菊池綜合法律事務所|菊池捷男弁護士は数多くの民事裁判を手がけてきたエキスパート

法律事務所は決して敷居の高い場所ではありません。(1/3)

 事務所設立以来40年、「うそをつかない、ごまかさない」を信念に、離婚や相続など数多くの民事裁判を手がけてきた菊池捷男さん。現在事務所には菊池さんを筆頭に6人の弁護士が在籍し、民事から企業法務まであらゆる法律問題をサポートしています。 ...

菊池捷男プロに相談してみよう!

山陽新聞社 マイベストプロ

あらゆる法律問題に対処可能

事務所名 : 弁護士法人菊池綜合法律事務所
住所 : 岡山県岡山市北区南方1-8-14 [地図]
TEL : 086-231-3535

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

086-231-3535

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

菊池捷男(きくちとしお)

弁護士法人菊池綜合法律事務所

アクセスマップ

このプロにメールで問い合わせる
プロのおすすめコラム
顧客名簿と営業秘密

Q 当社の営業担当の従業員が、退職後、競争会社に入社し、当社の顧客名簿を利用して、営業活動をしています。な...

[ 会社関係法 ]

「常用漢字表」にない語でも、書きたい語の一例 → 「闘いに克(か)つ」

公用文に学ぶ漢字と仮名、使い分けの法則では、「常用漢字表」にない漢字、「常用漢字表」にあるが、“読み”のない...

[ 公用文用語 ]

ゴルフ場の経営と借地権

 ゴルフ場の経営のためには、事務所等の建物を建てる必要があるところから、その建物を建てることも内容とする土...

[ 不動産法(賃貸借編) ]

あわせる(合わせる・併せる)

ア 合わせる意味:一つにすること用例:手を合わせる。力を合わせる熟語:合算イ 併せる意味:別の...

[ 公用文用語 ]

通常損耗について、原状回復を約する条項の有効性

最高裁判所平成17年12月16日判決は、1 一般論「建物の賃貸借においては,賃借人が社会通念上通常の使用をし...

[ 不動産法(賃貸借編) ]

コラム一覧を見る

スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ