コラム

2013-08-12

民法雑学 6 賃貸アパートの住人間のトラブルと家主の責任

アパートの家主が、賃借人Aから、他の賃借人Bによって平穏な日常生活が送れないような嫌がらせをされているので、嫌がらせを中止させてほしいという要請がなされたとします。こういう場合、家主(賃貸人)にはどのような責任があるのでしょうか?

1,賃貸人の義務
賃貸人は、賃借人に対し建物を使用収益させる義務を負っています(民法601条)。そのため,賃貸人は,その建物を使用収益に適した状態(居住に適した状態)に維持する義務があります。したがって,賃貸人は,Bの迷惑行為によりAにとってその建物が居住に適していない状態にまで至っている場合には,Aのために、Bに迷惑行為を中止するよう説得する義務と、それでもBが迷惑行為を中止しない場合は、Bとの建物賃貸借契約を解除してBを退去させる義務を負っていることになります。
東京地判平成24年3月26日は、賃貸人は、「迷惑行為に関する事実関係を十分に調査し,その上で迷惑行為が受忍限度を超えるものであることを確認し,かつ,そのことを訴訟において立証しうる証拠を獲得した場合には,平穏な状態に回復して賃貸人としての義務を果たすため,迷惑行為を行う賃借人に対し,賃貸借契約の解除をも視野に入れて退去を要請すべき義務を負っているというべきである。」と判示しています。

大阪地判平成元年4月13日は、賃貸人が上記義務を履行しない場合には,賃借人は,賃貸人に対し,債務不履行として、居室の円満な使用ができなかったことについての賃料の減額部分,引越費用の負担を前提とした慰謝料を損害として認めています。

 

この記事を書いたプロ

弁護士法人菊池綜合法律事務所 [ホームページ]

弁護士 菊池捷男

岡山県岡山市北区南方1-8-14 [地図]
TEL:086-231-3535

  • 問い合わせ

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

2

こちらの関連するコラムもお読みください。

<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
 
このプロの紹介記事
菊池綜合法律事務所|菊池捷男弁護士は数多くの民事裁判を手がけてきたエキスパート

法律事務所は決して敷居の高い場所ではありません。(1/3)

 事務所設立以来40年、「うそをつかない、ごまかさない」を信念に、離婚や相続など数多くの民事裁判を手がけてきた菊池捷男さん。現在事務所には菊池さんを筆頭に6人の弁護士が在籍し、民事から企業法務まであらゆる法律問題をサポートしています。 ...

菊池捷男プロに相談してみよう!

山陽新聞社 マイベストプロ

あらゆる法律問題に対処可能

事務所名 : 弁護士法人菊池綜合法律事務所
住所 : 岡山県岡山市北区南方1-8-14 [地図]
TEL : 086-231-3535

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

086-231-3535

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

菊池捷男(きくちとしお)

弁護士法人菊池綜合法律事務所

アクセスマップ

このプロにメールで問い合わせる
プロのおすすめコラム
「~にも拘わらず」か,「~にも関わらず」か,「~にもかかわらず」か?

正解は「~にもかかわらず」です。これは,接続詞の「したがって」が,漢字で「従って」と書くのではなく,平仮...

[ 公用文用語 ]

読みが「そのほか」である語句を, 「その外」と書くか,「そのほか」と書くか?

公用文では,「そのほか」と書くのが正解になります。「その外」と書くと,「外」は当て字になるからであると考...

[ 公用文用語 ]

金融機関は遺言書とどう向き合うべきか?① 遺言書の形式

 預金者が亡くなり,その預金を相続し,又は遺贈を受けたという者が,遺言書を持って,金融機関の窓口に現れた場...

[ 相続相談 ]

モデルルームでの不動産売買契約とクーリングオフ

Q 当社は,某宅建業者がマンションを建築販売する話を聞き,モデルルームを見学に行き,その場で投資用にマンシ...

[ 不動産 ]

開発許可にかかる工事を完成し検査済証を交付された後でも,開発行為取消訴訟は起こしうる(判例)

Q 市街化調整区域で開発許可の要件を欠いた業者が,開発許可を受け開発行為に関する工事を完了し検査済証を交付...

[ 不動産 ]

コラム一覧を見る

スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ