コラム

 公開日: 2013-05-15 

相続税のお話し 1 遺産課税方式

1遺産課税方式
我が国の相続税の課税方式は、遺産課税方式といわれる方式です。
すなわち、相続税法11条は、相続税の課税の方法として、「相続税は、・・・相続又は遺贈により財産を取得した者の・・・財産を取得したすべての者に係る相続税の総額を計算し、当該相続税の総額を基礎として・・・財産を取得した者に係る相続税額として計算した金額により、課する。」と規定しているのです。
早い話し、1人の被相続人が残した全遺産の額を基準に相続税の総額を算出して、その額を、相続人がそれぞれ取得した財産の額で案分して納税するという方式です。

2遺産取得課税方式
遺産課税方式に対するものが、遺産取得方式といわれるものです。
これは、個々の相続人が取得した財産の額を基準に、課税する、という方式です。

3遺産課税方式と遺産取得方式の違い
例えば、Aという相続人が、相続によって、1000万円の遺産を取得したとします。この場合、遺産課税方式の下では、相続税額は、一定ではなく、遺産取得方式の場合は、相続税は一定の金額になります。

すなわち、現行の遺産課税方式の下では、いくら相続税が課されるかは、遺産の総額が分からないと計算できないのです。
全遺産が、基礎控除額の範囲内にある場合は、相続税はかかりませんが、全遺産が基礎控除額を超える場合は、相続税が課され、しかも、相続税が課せられる場合でも、遺産の総額が少ないときは低い税率が適用されるので、相続税額は少ないが、遺産の総額が大きい場合は、高い税率を適用される結果、相続税額は大きくなります。
現実に相続により1000万円の遺産を取得した相続人がいるとした場合、その人の相続税は、0円から5割に近い金額まで、ある、ということになるのです。

一方、遺産取得課税方式の下では、1000万円の遺産を取得した相続人は、全遺産の額がいくらであっても、1000万円にかかる税金は同額ということになります。

遺産を相続する人にとっては、自分が取得した金額を基準に税額が計算できる方式の方が望ましいのではないかという気がします。ですから、数年前は、相続税の改正作業の中で、遺産取得課税方式に改正すべきという意見もあったのですが、見送られ、今次の改正では、全く問題にもされていません。しかし、将来は、相続により取得した遺産の額を基準にした遺産取得課税方式に改正される可能性もあります。

この記事を書いたプロ

弁護士法人菊池綜合法律事務所 [ホームページ]

弁護士 菊池捷男

岡山県岡山市北区南方1-8-14 [地図]
TEL:086-231-3535

  • 問い合わせ

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

1

こちらの関連するコラムもお読みください。

<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
 
このプロの紹介記事
菊池綜合法律事務所|菊池捷男弁護士は数多くの民事裁判を手がけてきたエキスパート

法律事務所は決して敷居の高い場所ではありません。(1/3)

 事務所設立以来40年、「うそをつかない、ごまかさない」を信念に、離婚や相続など数多くの民事裁判を手がけてきた菊池捷男さん。現在事務所には菊池さんを筆頭に6人の弁護士が在籍し、民事から企業法務まであらゆる法律問題をサポートしています。 ...

菊池捷男プロに相談してみよう!

山陽新聞社 マイベストプロ

あらゆる法律問題に対処可能

事務所名 : 弁護士法人菊池綜合法律事務所
住所 : 岡山県岡山市北区南方1-8-14 [地図]
TEL : 086-231-3535

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

086-231-3535

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

菊池捷男(きくちとしお)

弁護士法人菊池綜合法律事務所

アクセスマップ

このプロにメールで問い合わせる
プロのおすすめコラム
就業規則の変更が、労働組合が同意していている場合でも無効になるとき

最高裁第一小法廷平成12年9月7日判決は、特定の年齢層の従業員(60歳定年制の下で55歳を超えた銀行の行員...

[ 労働 ]

金融機関から見た不良債権の意味と分水嶺

1 不良債権 不良債権とは、金融庁の「金融債権マニュアル」における区分のうち、(ア)破綻先債権(法的・...

[ 民法雑学 ]

独禁法でいう課徴金算定の基礎となる売上額の意味

1 完成品の売上げの中に含まれる、取引相手方から購入した部品の購入原価も含まれる 公正取引委員会平成29...

[ 会社関係法 ]

独禁法上の課徴金の趣旨・額の算定・売上額について

最高裁判所第三小法廷平成17年9月13日審決取消請求事件判決は、1 独禁法で定める「独禁法の定める課徴金の...

[ 会社関係法 ]

株主は、真に契約の当事者として申込をした者

株主は、名義貸与者ではなく、名義借用者というのが判例昭和42年11月17日最高裁第二小法廷判決は、「他人の...

[ 会社関係法 ]

コラム一覧を見る

スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ