コラム

 公開日: 2013-02-19 

労働 19 有期労働契約の雇い止めをする場合の注意点

1雇い止め法理の明文化
過去に何度か反復して更新してきた、有期労働契約の雇い止め問題。
例えば、1年間という、期間を切った労働契約を結び、その期間が満了すると、さらに1年間、労働契約を更新するというように、更新を繰り返えし、実質的には、期限の定めのない労働契約と同視できる場合や、労働者からみて、契約更新を期待するのが当然であると思えるような場合には、雇い主において、当該労働者を雇い止めにするには、①客観的に合理的な理由があり、②社会通念上相当であると認められるときでないと、雇い止めは無効になります。この法理は、判例によって確立された法理ですが、昨年、労働契約法19条で、明文化され、この条文は、平成24年8月10日から施行されています。
2 雇い止めのための手続
⑴ 雇い止め(更新拒絶)の予告
 まず,契約満了日の30日前までに更新しないことの予告をすることが必要です(平成15年厚労省告示第357号2条)。
⑵ 雇い止めの理由の明示
 雇い止めの予告に対して,労働者側から雇い止めにする理由についての証明書の交付を求められたときには,使用者は遅滞なくこれを交付しなければなりません(平成15年厚労省告示第357号3条)。証明書に記載する理由は,「契約期間の満了」では足りず,それ以外の理由(3に記載)を明示しなければなりません。(基発第1022001号)
ですから、労働者を実際に雇い止めにする場合は、労働者から理由の開示を求められる前に、雇い止めの意思表示をするとき、その理由を開示しておくべきです。
それは、雇い止めの有効・無効が争われて、訴訟になったとき、雇い止め時には合理的な理由はなかったのに、その理由の開示を求めると、あわててその理由を探し出してきたという、いわゆる後付(あとずけ)の理由と認定される恐れがあるからです。解雇無効を争う訴訟では後付けで解雇理由を追加することは認められないとする議論もあります。認められるにしても後付けの理由となるとあまり強い理由とはみられません。

3 雇い止めの理由としては、次のようなものが例示されています。
(ア) 前回の契約更新時に、本契約を更新しないことが合意されていたため
(イ) 契約締結当初から、更新回数の上限を設けており、本契約は当該上限に係るものであるため
(ウ) 担当していた業務が終了・中止したため
(エ) 事業縮小のため
(オ) 業務を遂行する能力が十分ではないと認められるため
(カ) 職務命令に対する違反行為を行ったこと、無断欠勤をしたこと等勤務不良のため
なお、理由は、問題となった行為の態様・日時等を特定して記載すべきです。

この記事を書いたプロ

弁護士法人菊池綜合法律事務所 [ホームページ]

弁護士 菊池捷男

岡山県岡山市北区南方1-8-14 [地図]
TEL:086-231-3535

  • 問い合わせ

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

4

こちらの関連するコラムもお読みください。

<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
 
このプロの紹介記事
菊池綜合法律事務所|菊池捷男弁護士は数多くの民事裁判を手がけてきたエキスパート

法律事務所は決して敷居の高い場所ではありません。(1/3)

 事務所設立以来40年、「うそをつかない、ごまかさない」を信念に、離婚や相続など数多くの民事裁判を手がけてきた菊池捷男さん。現在事務所には菊池さんを筆頭に6人の弁護士が在籍し、民事から企業法務まであらゆる法律問題をサポートしています。 ...

菊池捷男プロに相談してみよう!

山陽新聞社 マイベストプロ

あらゆる法律問題に対処可能

事務所名 : 弁護士法人菊池綜合法律事務所
住所 : 岡山県岡山市北区南方1-8-14 [地図]
TEL : 086-231-3535

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

086-231-3535

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

菊池捷男(きくちとしお)

弁護士法人菊池綜合法律事務所

アクセスマップ

このプロにメールで問い合わせる
プロのおすすめコラム
民法雑学 不当利得返還請求権の消滅時効は、権利発生の時から、進行が開始する

先日、45年前の子供の取り違えによる債務不履行を原因とした損害賠償請求権の時効は、取り違えを知った時から、消...

[ 民法雑学 ]

遺言執行者制度は機能しているか?③ 日弁連・懲戒委員会の懲戒議決に通底する考え

3 日弁連・懲戒委員会の懲戒議決に通底する考え日弁連・懲戒委員会は、(1) 民法1015条の「遺言執行者...

[ 相続判例法理 ]

遺言執行者制度は機能しているか?② 弁護士の総意(日弁連総会議決)は、反対意見

2 弁護士の総意(日弁連総会議決)は、反対意見 日弁連総会は,平成16年、日弁連規則を改正し,平成13年に...

[ 相続判例法理 ]

遺言執行者制度は機能しているか?① 日弁連・懲戒委員会の遺言執行者観は相続人代理人説

1 日弁連・懲戒委員会の遺言執行者観は相続人代理人説 日弁連・懲戒委員会は,平成13年,「全遺産を相続...

[ 相続判例法理 ]

遺言執行者とは何者か?④ 会社の清算を遺言執行者に託した遺言書の例

次の遺言書は,遺言書実務で書かれた遺言書の一つです。遺言書 遺言書 私,凸山太郎は,次のとおり...

[ 相続判例法理 ]

コラム一覧を見る

スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ