コラム

 公開日: 2013-02-06 

建築 10 瑕疵ある建築物か未完成の建築物か?

建築物が完成していない場合は、請負人は報酬の請求はできません。しかし、建築物が完成したが、瑕疵がある、という場合は、報酬の請求が出来、瑕疵担保責任として瑕疵の部分の修補や損害賠償義務を負うに止まります。では、瑕疵と未完成を分ける基準はなんでしょうか?

 東京地裁昭和57.4.28判決は、
1 瑕疵担保席制度の趣旨につき、
目的物が完成しないと請負人は報酬を請求しえないことから、民法は請負人に重い瑕疵担保責任を課して注文者を保護する一方、それとの均衡から、できるだけ目的物の完成をゆるやかに解して、請負人の報酬請求を確保させ、不完全な点があればあとは瑕疵担保責任の規定(民法634条)によって処理しようと考えているのである。ほんのささいな瑕疵があるために請負人が多額の報酬債権を請求しえないとすれば、あまりにも請負人にとって酷である。

2 瑕疵と未完成の線引きについて
目的物が不完全である場合に、それを仕事の未完成とみるべきか、又は仕事の目的物に瑕疵があるものとみるべきかは次のように解すべきである。
即ち、工事が途中で中断し予定された最後の工程を終えない場合には、仕事の未完成ということになるが、他方予定された最後の工程まで一応終了したが、それが不完全なため補修を加えなければ完全なものとはならないという場合には、仕事は完成したが仕事の目的物に瑕疵があるときに該当するものと解するのである。

3具体的事件では、
 下記の不完全な状態は、仕事の目的物の瑕疵に当るというべきであり、注文主は、建物が完成していないことを理由にしては、工事請負人に対し建物の受領と請負残代金の支払いを拒むことはできないというべきである。
と判示しました。

【裁判所が瑕疵と認めたもの】
・ 一階洋室Aの部分に存する洋服タンスの壁面が曲っている。
・ 同居間南側部分の基礎コンクリート打ちが図面より低く、図面どおりになされていない。
・ 同玄関の基礎コンクリートの部分も右2と同様に図面どおりなされていない。
・ 玄関に入って右側にある柱が狂っている。
・ 二階洋室Cの部屋のサッシュがゆがんでいる。
・ 二階南側外壁の欄間の窓が柱の中間に入っていない。
・ ベランダの桁の継手が完全でない。
・ 屋根雨押えの付け方がよくない。
・ 瓦の乱れがある。
・ 玄関廻り床が仕上がっていない。
・ 内部額縁の釘頭が見えており、目止を要する。
・ 左官の仕上げが不良で、特に床の間の壁等に塗りむらが存する。
・ 建物全部についての塗装が不良である。
・ 階段の手摺りの仕上げが悪い。
・ 建具の建付けに悪い所がある。
・ 二階洋間床にきしむ所がある。
・ 戸棚両開きの締り金物がない。

この記事を書いたプロ

弁護士法人菊池綜合法律事務所 [ホームページ]

弁護士 菊池捷男

岡山県岡山市北区南方1-8-14 [地図]
TEL:086-231-3535

  • 問い合わせ

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

1

こちらの関連するコラムもお読みください。

<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
 
このプロの紹介記事
菊池綜合法律事務所|菊池捷男弁護士は数多くの民事裁判を手がけてきたエキスパート

法律事務所は決して敷居の高い場所ではありません。(1/3)

 事務所設立以来40年、「うそをつかない、ごまかさない」を信念に、離婚や相続など数多くの民事裁判を手がけてきた菊池捷男さん。現在事務所には菊池さんを筆頭に6人の弁護士が在籍し、民事から企業法務まであらゆる法律問題をサポートしています。 ...

菊池捷男プロに相談してみよう!

山陽新聞社 マイベストプロ

あらゆる法律問題に対処可能

事務所名 : 弁護士法人菊池綜合法律事務所
住所 : 岡山県岡山市北区南方1-8-14 [地図]
TEL : 086-231-3535

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

086-231-3535

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

菊池捷男(きくちとしお)

弁護士法人菊池綜合法律事務所

アクセスマップ

このプロにメールで問い合わせる
プロのおすすめコラム
法理と判例

法の世界には「理」があります。理とは、「理屈」の理であり、「理論」の理のことです。しかし、この理は、法...

[ 民法雑学 ]

住民監査請求があった場合の、監査委員の心構え

Q 私は、某自治体の監査委員をしている者ですが、住民監査請求書を,受理すべきか,不受理とすべきか,補正を求...

[ 地方行政 ]

建築請負契約における瑕疵認定の基準を定めた裁判例

仙台地裁平成23年1月13日判決は、 請負契約における「瑕疵」とは,“ 完成された仕事が契約で定めら...

[ 建築 ]

道路上の障害物により自転車事故等が生じた場合の責任割合(裁判例紹介)

道路上を自転車等に搭乗して、走行中、道路上の障害物や、道路から駐車場に入るときの障害物に衝突して転倒し人身...

[ 交通事故 ]

「等」と書くか、「など」と書くか?

「等」は、「常用漢字表」では「トウ」という字音と、「ひとしい」という字訓しかなく、「など」や「ら」という字...

[ 法令用語 ]

コラム一覧を見る

スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ