コラム

 公開日: 2012-12-14 

相続相談 38-2 相次相続と遺産の共有持分権

Q 父凸山太郎が亡くなり、その後母凸山花子が亡くなりました。相続人は私甲と兄乙と姉丙の3名です。父には遺産がありましたので、父の遺産について私たち子供3人(甲・乙・丙)が遺産分割協議をして、父の遺産を、次のように分割して遺産分割書を作成しました。母には遺産はなかったので、遺産分割はしていません。
           遺産分割協議書(これを①の遺産分割協議書ということにします)
                被相続人  凸山太郎
甲と乙と丙は、被相続人凸山太郎の遺産を次のとおり分割する。
第1条別紙①の不動産は甲が取得する。
第2条別紙②の預貯金は乙が取得する。
第3条その余の遺産はすべて丙が取得する。
私甲は不動産を取得したので、遺産分割協議書に基づいて、法務局に、相続登記手続の申請をしたのですが、法務局から、父の遺産の1/2は母が相続しているので、父の遺産を私たちだけで分割することは出来ない、と言われて、登記手続の申請が受け付けられませんでした。こんなのあり、ですか?

A ありです。
凸山太郎が遺言書を書かないまま亡くなると、凸山太郎の遺産は、妻1/2、甲乙丙が各1/6の割合で相続しますが、これら4名が相続によって取得したのは、遺産の共有持分権になります。ですから、凸山太郎の遺産については、母が1/2の遺産の共有持分権を相続しているのです(最判平17.10.11参照)。
その後、甲乙丙の3名で遺産分割をしたのは、凸山太郎から相続した遺産の分割ですから、正確に言えば、凸山太郎の遺産の1/2の共有持分権の分割になるのです。残りの1/2の共有持分権は、母が相続しているので、母の遺産についても、遺産分割をしないと、甲は、凸山太郎の遺産のうちの不動産を単独で取得できないのです。
ですから、前記遺産分割協議では、遺産分割の目的は達成できません。

 次の遺産分割協議書なら、登記は出来ます。

遺産分割協議書(これを②の遺産分割協議書ということにします)
   被相続人 凸山太郎及び凸山花子
甲と乙と丙は、被相続人凸山太郎及び被相続人凸山花子の遺産を次のとおり分割する。
第4条別紙①の不動産は甲が取得する。
第5条別紙②の預貯金は乙が取得する。
第6条その余の遺産はすべて丙が取得する。

実は、本コラムは、最近、家庭裁判所で成立した遺産分割調書が前述①の内容で作られていために登記ができなかったという事実があったので、注意していただきたく、書いた次第です。この件は、裁判所が、②の内容に更正決定したので、無事登記はできました。

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