コラム

2012-12-04

企業経営と危機管理 10 職場離脱制度(強制休暇制度)

職場離脱制度とは、会社従業員の横領などの経済犯罪の防止及び早期発見を目的として、従業員に一定期間職場を離れさせ(強制的に休暇を取得させて)、その間に、その者のした業務内容を監査する制度をいう。金融機関に採用されることが多い制度である。金融機関以外の会社でも、経理担当の従業員が、その立場を利用して会社の売上金の着服や預金口座から違法に出金を繰り返すなどの行為で、刑事事件に発展したケースが、過去には何度も報じられたことがある。このようなケースの多くで、当該従業員のその部署での勤務が長いことが原因になっていることがある。また、事件の発覚も、当該従業員が人事異動の内示を受けて、自ら不正を申告したことによる場合、人事異動で他の部署に移った後の後任者の発見などの場合もある。このように、従業員が職場を移動する際に、横領などの犯罪が発覚するケースが多いため、一時的な職場離脱を強制できる職離脱制度(強制休暇制度)が、犯罪予防や早期発見に有効とされるのである。
この制度を設けた考えの中には、現金を扱う従業員を長くその地位に置くことは危険だという思想がある。そのような業務を長く続けると、①当人自身、会社の内部統制システムの弱点を知り、不正の誘惑に駆られやすくなる。②その業務に対する他の社員の理解度が相対的に低下して、周囲のチェック能力が、これも相対的に低下し、監査が形骸化する。③当人が取引先と過度に親密になり、慣れや甘えや癒着が生じやすくなる等の理由が指摘されている。

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