コラム

 公開日: 2012-11-27 

企業経営と危機管理 3 安全確認リストの記載漏れ

これは鹿島コンビナートで発生したM社のエチレンプラント分解炉火災事故のことである。
M社では、分解路のメンテナンス作業をするに当たり、
工事の安全管理に関して
①保安担当者、工事担当者、元請会社の三者による工事安全打合会を開いて、「安全措置事項を決定」する。
②この安全措置事項に基づき、工事担当者、保全担当者、運転担当者が、それぞれ「工事安全指示書」「安全養生図」「作業確認リスト」を作成する。
③これらの「工事安全指示書」「安全養生図」「作業確認リスト」については、総括安全衛生管理者(労安衛法10条。実際はグループリーダーと呼ばれる職責の者)の承認を受ける。
④作業開始にあたっては、運転担当者が「作業確認リスト」に基づき、安全措置を実施する。
⑤この運転担当者がした安全措置の状況を、保安担当者が「安全養生図」に基づき確認する。
等の万全の安全対策がとられたが、火災事故が発生し、作業員4名が焼死し、M社は莫大な損害を蒙った。
火災の原因は、人的ミスの複合にある。原因の1は、①の段階で安全措置事項として決まった「AOVの施錠」(誤作動防止の措置)が、「工事安全指示書」には書かれていたものの「安全養生図」と「作業確認リスト」には書かれていなかったことがある。そして、作業では、AOVの施錠がなされず、その確認もなされなかったという原因につながっていった。原因の2は、グループリーダーは、「工事安全指示書」と「作業確認リスト」の両方を承認したが、子細にこれを見ておれば、「工事安全指示書」には書かれていることが「作業確認リスト」には書かれていないということに気が付くはずであるのに、見落とした。
この事件は、マニュアルが完璧でも、人為ミスは不可避的に発生するという例証の1つである。

この記事を書いたプロ

弁護士法人菊池綜合法律事務所 [ホームページ]

弁護士 菊池捷男

岡山県岡山市北区南方1-8-14 [地図]
TEL:086-231-3535

  • 問い合わせ

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

0

こちらの関連するコラムもお読みください。

<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
 
このプロの紹介記事
菊池綜合法律事務所|菊池捷男弁護士は数多くの民事裁判を手がけてきたエキスパート

法律事務所は決して敷居の高い場所ではありません。(1/3)

 事務所設立以来40年、「うそをつかない、ごまかさない」を信念に、離婚や相続など数多くの民事裁判を手がけてきた菊池捷男さん。現在事務所には菊池さんを筆頭に6人の弁護士が在籍し、民事から企業法務まであらゆる法律問題をサポートしています。 ...

菊池捷男プロに相談してみよう!

山陽新聞社 マイベストプロ

あらゆる法律問題に対処可能

事務所名 : 弁護士法人菊池綜合法律事務所
住所 : 岡山県岡山市北区南方1-8-14 [地図]
TEL : 086-231-3535

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

086-231-3535

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

菊池捷男(きくちとしお)

弁護士法人菊池綜合法律事務所

アクセスマップ

このプロにメールで問い合わせる
プロのおすすめコラム
相続税の節税を目的とした養子縁組は、無効ではない

最高裁判所第三小法廷養子縁組無効確認請求事件平成29年1月31日判決は、 養子縁組は,嫡出親子関係を創...

[ 相続判例法理 ]

検索エンジンでの検索結果を削除する請求ができる場合

1 事実関係①Aは、児童買春,児童ポルノに係る法律違反の容疑で平成23年11月に逮捕され,同年12月に同...

[ 民法雑学 ]

NHKのテレビ受信料の支払義務に関するQ&A

Q 私は、テレビを所有していますが、NHKはほとんど見ることはなく、民報のみを見ています。また、衛星放送に...

[ 民法雑学 ]

顧客名簿と営業秘密

Q 当社の営業担当の従業員が、退職後、競争会社に入社し、当社の顧客名簿を利用して、営業活動をしています。な...

[ 会社関係法 ]

「常用漢字表」にない語でも、書きたい語の一例 → 「闘いに克(か)つ」

公用文に学ぶ漢字と仮名、使い分けの法則では、「常用漢字表」にない漢字、「常用漢字表」にあるが、“読み”のない...

[ 公用文用語 ]

コラム一覧を見る

スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ