コラム

 公開日: 2012-10-30 

著作権 19 職務著作

1意味
職務著作とは、従業員が職務上作成した著作物の著作のことをいう。
会社が、イニシアチブをとって従業員に作成させ、かつ、会社の名義で公表した従業員の職務著作は、会社が著作者とされる。したがって、会社に、著作権及び著作者人格権が帰属する。
ただし、その時点で、雇用契約、勤務規則その他に、職務著作の著作者を従業員とするという規定を置けば、従業員が著作者になる(法15条)。

参照:著作権法15条
:法人その他使用者の発意に基づきその法人等の業務に従事する者が職務上作成する著作物で、その法人等が自己の著作の名義の下に公表するものの著作者は、その作成の時における契約、勤務規則その他に別段の定めがない限り、その法人等とする。

2 特許発明とは大違い
特許法35条は、従業員が職務発明をした場合、特許を受ける権利は、その従業員に帰属し、使用者である会社は、事前に発明規程等を作り、従業員の職務発明については会社に出願権を承継する旨の規定が置かれていない限りは、特許の主眼権を有しない。無償の通常実施権を取得するだけになる。
また、発明規程などで、会社に出願権が承継されるとした場合でも、会社は発明者に対し相当な対価を支払う義務が課されている。発明者は、金額が少ないと思えば、裁判で争うことが出来る。

参照:特許法35条1項
:使用者、法人、国又は地方公共団体は、従業者、法人の役員、国家公務員又は地方公務員がその性質上当該使用者等の業務範囲に属し、かつ、その発明をするに至つた行為がその使用者等における従業者等の現在又は過去の職務に属する発明について特許を受けたとき、又は職務発明について特許を受ける権利を承継した者がその発明について特許を受けたときは、その特許権について通常実施権を有する。

3会社のイニシアチブ(発意)
これは、明示的なものでなくともよい。
宇宙開発事業団の従業員が作ったプログラムが職務著作になるとされた裁判例(東京地判平17.12.12)がある。

4従業員(著作権法では「従業者」)
従業員は、雇用契約を結んだ者以外にも、会社が労務の提供をする者に対する指揮命令をしている場合は、従業員と言えるが、指揮命令権が及ばない外部の会社や人に請け負わせて、著作物を作成した場合は職務著作にはならない。

5 会社等使用者の名義の著作物であることが必要
職務著作の要件は、著作権法15条で「その法人等が自己の著作の名義の下に公表するもの」とされているので、予備校の講師がつくる講義録などで、受験生の人気のある講義録があるとする。これを予備校名で作成した場合は職務著作になり、予備校に著作権と著作者人格権が帰属するが、講師名で作成した場合は、職務著作とは言えないことになる。後日、それを出版物として対価を受ける場合、職務著作か講師個人の著作物かで違いが出る。
また、著作者が誰かによって、内容の改訂(著作者人格権の内の同一性保持権)ができるかできないかも違ってくる。

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