コラム

 公開日: 2010-09-04 

賃貸借契約と転貸借契約はリンクするか?


Q1 賃貸借契約が終了すれば、転貸借契約は当然に終了するか?

  1 AB間で賃貸借契約を結び、
  2 BC間で転貸借契約を結んだ後、
  3 AB間の賃貸借契約が終了したとき、BC間の転貸借契約は自動的に終了し、Cは転借権を失うのか?

論理的には、BC間の転貸借契約は消滅することになるはずですが、最高裁はそうは考えていません。

1,合意解除の場合
 最高裁昭和38.2.2判決は、特段の事由がない限り、転借人Cの権利は消滅しないと判示しています。これは、賃貸人と賃借人の話し合いで、転借人の権利を奪えない、という考えによるものです。

2,更新拒絶により契約が終了した場合
 賃借人Bが契約の更新を拒絶することで、AB間の賃貸借契約が終了した場合
  最高裁平成14.3.28判決は、AB間の賃貸借契約が更新拒絶によって終了しても、転借人Cの権利は消滅しないと判示しています。
これはBの意思1つでCの権利を消滅させることはできない、ということです。

3,債務不履行による解除の場合
 AB間の賃貸借契約が、賃借人Bが債務不履行をしたためにAから解除された場合
  最高裁平成9.2.25判決は、AB間の賃貸借契約が解除されると、Cの転借権はAに対抗できないものになり、Cの転借権は消滅するという判断をしました。ただ、この最高裁の見解は、平成9.2.25時点の判断ですが、最高裁は平成14.3.28に前述の2の判決を出していますので、これによって最高裁の考えは変更になったと考える学説(ジュリスト№1246の72ペジ)があります。最高裁が見解を変えたのだとすると、賃借人Bが債務不履行をしたためにAから賃貸借契約を解除された場合も、転借人Cの権利は消滅しないことになります。
転借人Cには何の責任もないのに、Bの責任(債務不履行)によって転借権が消滅するのは酷だとする考えによるものと思われます。

Q2 賃借人Bの権利は消滅したのに、転借人Cの権利は消滅しないとなると法律関係はどうなるのか?
 これは、BC間の転貸借契約におけるBの地位をAが引き継ぐ結果、AC間で賃貸借契約が成立する関係になるとされています.

この記事を書いたプロ

弁護士法人菊池綜合法律事務所 [ホームページ]

弁護士 菊池捷男

岡山県岡山市北区南方1-8-14 [地図]
TEL:086-231-3535

  • 問い合わせ

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

8
<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
 
このプロの紹介記事
菊池綜合法律事務所|菊池捷男弁護士は数多くの民事裁判を手がけてきたエキスパート

法律事務所は決して敷居の高い場所ではありません。(1/3)

 事務所設立以来40年、「うそをつかない、ごまかさない」を信念に、離婚や相続など数多くの民事裁判を手がけてきた菊池捷男さん。現在事務所には菊池さんを筆頭に6人の弁護士が在籍し、民事から企業法務まであらゆる法律問題をサポートしています。 ...

菊池捷男プロに相談してみよう!

山陽新聞社 マイベストプロ

あらゆる法律問題に対処可能

事務所名 : 弁護士法人菊池綜合法律事務所
住所 : 岡山県岡山市北区南方1-8-14 [地図]
TEL : 086-231-3535

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

086-231-3535

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

菊池捷男(きくちとしお)

弁護士法人菊池綜合法律事務所

アクセスマップ

このプロにメールで問い合わせる
プロのおすすめコラム
独占禁止法違反 返品が、優越的地位の濫用に当たる場合と、当たらない場合、それぞれの要件

公正取引委員会平成27年3月26日審決(平成24年(判)第6号及び第7号)は、優越的地位の濫用に対して課徴...

[ 会社関係法 ]

景品表示法違反② 課徴金制度の導入と初適用事例

優良誤認表示などの不当表示に、課徴金制度が導入されたのは、改正景品表示法の施行日(平成28年4月1日)から...

[ 会社関係法 ]

民法(債権法)改正法が成立

 本日、民法(債権法)に関する改正民法が成立しました。制定以来、約120年ぶりの大改正です。改正は、約200項...

[ 債権法改正と契約実務 ]

景品表示法違反① 合理的根拠資料を持たずして、効果・性能表示をなすなかれ

 不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)は、「不当表示」を禁じています。その一類型である「優良誤認表...

[ 会社関係法 ]

従業員との間の競業避止契約は、代償措置がとられていないと、無効

東京地方裁判所平成28年12月19日判決は、会社が従業員との間で競業避止契約を結び、従業員から退職の申し出...

[ 会社関係法 ]

コラム一覧を見る

スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ