コラム

 公開日: 2012-10-10  最終更新日: 2016-03-15

産業医 11 うつ病等による過労自殺・心疾患

電通事件最判平12.3.24は、入社2年目の社員が長時間労働のためにうつ病になり自殺した事件で、使用者の安全配慮義務違反を認めました。なお、この件の原審は自殺した社員のうつ病親和性(うつ病になりやすい心因的要因あるいは体質)を考慮し、過失相殺の類推(一種の素因減額)により30%を損害賠償額から減額しましたが、最判はこれを破棄し、使用者は、労働者の性格の多様性を考慮して、配置先や業務の内容を定めうるので、労働者の心因的要因を斟酌することはできない(素因減額はできない)と判示し、事件を原審に破棄差し戻しをしました。破棄差し戻し後、原審高裁では1億6800万円で和解が成立しています。

これが契機に、厚生労働省の「心理的負荷による精神障害の労災認定基準」(平成23.12.26最新版)が策定されると同時に「心理的負荷による精神障害等に係る業務上外の判断指針」(平11.9.14 基発544号)及びセクハラに関する通達・パワハラに関する通達は廃止されました。

ですから、現在は、「心理的負荷による精神障害の労災認定基準」(平成23.12.26)によって、心疾患が判断されることになっています。


なお、【心理的負荷による精神障害の労災認定基準(平成23.12.26)の特徴】は、
①分かりやすい心理的負荷評価表(ストレスの強度の評価表)を定めた。
②いじめやセクシュアルハラスメントのように出来事が繰り返されるものについては、その開始時からのすべての行為を対象として心理的負荷を評価することにした。
③これまですべての事案について必要としていた精神科医の合議による判定を、判断が難しい事案のみに限定した、ことです。

また、その【認定要件】は、
①対象となる疾病(器質性のものおよび有害物質に起因するものを除く精神障害で、いわゆる心身症は含まれない)が、発病していること
②発病前おおむね6カ月の間に業務による強い心理的負荷が認められること
業務以外の心理的負荷及び個体側要因により発病したとは認められないこと、です。

この記事を書いたプロ

弁護士法人菊池綜合法律事務所 [ホームページ]

弁護士 菊池捷男

岡山県岡山市北区南方1-8-14 [地図]
TEL:086-231-3535

  • 問い合わせ

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

0

こちらの関連するコラムもお読みください。

<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
 
このプロの紹介記事
菊池綜合法律事務所|菊池捷男弁護士は数多くの民事裁判を手がけてきたエキスパート

法律事務所は決して敷居の高い場所ではありません。(1/3)

 事務所設立以来40年、「うそをつかない、ごまかさない」を信念に、離婚や相続など数多くの民事裁判を手がけてきた菊池捷男さん。現在事務所には菊池さんを筆頭に6人の弁護士が在籍し、民事から企業法務まであらゆる法律問題をサポートしています。 ...

菊池捷男プロに相談してみよう!

山陽新聞社 マイベストプロ

あらゆる法律問題に対処可能

事務所名 : 弁護士法人菊池綜合法律事務所
住所 : 岡山県岡山市北区南方1-8-14 [地図]
TEL : 086-231-3535

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

086-231-3535

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

菊池捷男(きくちとしお)

弁護士法人菊池綜合法律事務所

アクセスマップ

このプロにメールで問い合わせる
プロのおすすめコラム
黄金株って、何だい?②

3 黄金株の利用方法菊池: で、後藤よ。黄金株の利用方法を教えてくれ。後藤: 黄金株の利用方法の第一は...

[ 菊池と後藤の法律実務レポート(企業編) ]

黄金株って、何だい?①

1 意味 菊池: のう、後藤!黄金株って、黄金でできた株式でないことは分かるが、どんな株式なんだい?後...

[ 菊池と後藤の法律実務レポート(企業編) ]

金庫株って、何だい?②

3 金庫株解禁の理由および利用方法菊池: だけど、金庫株の保有は解禁されたんだよなあ。理由は何だい。後...

[ 菊池と後藤の法律実務レポート(企業編) ]

金庫株って、何だい?①

1 意味菊池: のう、後藤!金庫株という言葉があるだろう。意味は何だい?後藤: この株式はなあ、金庫と...

[ 菊池と後藤の法律実務レポート(企業編) ]

就業規則の変更が、労働組合が同意していている場合でも無効になるとき

最高裁第一小法廷平成12年9月7日判決は、特定の年齢層の従業員(60歳定年制の下で55歳を超えた銀行の行員...

[ 労働 ]

コラム一覧を見る

スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ