コラム

 公開日: 2012-09-09 

相続と登記 10 遺産分割で不動産を取得しても、登記をしていないと、第三者に対抗できない

Q 父が残した不動産について、遺産分割協議をした結果、長男の私がそれを相続することになりましたが、その不動産には、弟の債権者が、私たち相続人全員の法定相続分による相続登記をし、弟の持分について差押えをしていました。私は、その債権者の相続による不動産の取得を対抗できますか?

A できません。民法909条は「遺産の分割は、相続開始の時にさかのぼってその効力を生ずる。ただし、第三者の権利を害することはできない。」と定めていますが、この但書により、第三者が権利を取得している場合は、その権利を害することはできないのです。

なお、この規定は、第三者が遺産分割より前に差押えをした場合の規定です(最判昭54.12.14)が、あなたが遺産分割によりその不動産を取得したことを登記していない間に、第三者が差押えをした場合でも、あなたは遺産分割でその不動産を取得したことをその債権者に対抗できません(民法177条・最判昭46.1.26)。

【判例】最判昭54.12.14
民法909条但書の趣旨は,相続開始後、遺産分割までの間に、共同相続人の共有持分について権利を取得すべき第三者を保護しようとすることにある・・・。

【判例】最判昭46.1.26
遺産の分割は、相続開始の時にさかのぼってその効力を生ずるものではあるが、第三者に対する関係においては、相続人が相続によりいつたん取得した権利につき分割時に新たな変更を生ずるのと実質上異ならないものであるから、不動産に対する相続人の共有持分の遺産分割による得喪変更については、民法177条の適用があり、分割により相続分と異なる権利を取得した相続人は、その旨の登記を経なければ、分割後に当該不動産につき権利を取得した第三者に対し、自己の権利の取得を対抗することができないものと解するのが相当である。

ご相談は弁護士法人菊池綜合法律事務所へ!

この記事を書いたプロ

弁護士法人菊池綜合法律事務所 [ホームページ]

弁護士 菊池捷男

岡山県岡山市北区南方1-8-14 [地図]
TEL:086-231-3535

  • 問い合わせ

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

6

こちらの関連するコラムもお読みください。

<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
 
このプロの紹介記事
菊池綜合法律事務所|菊池捷男弁護士は数多くの民事裁判を手がけてきたエキスパート

法律事務所は決して敷居の高い場所ではありません。(1/3)

 事務所設立以来40年、「うそをつかない、ごまかさない」を信念に、離婚や相続など数多くの民事裁判を手がけてきた菊池捷男さん。現在事務所には菊池さんを筆頭に6人の弁護士が在籍し、民事から企業法務まであらゆる法律問題をサポートしています。 ...

菊池捷男プロに相談してみよう!

山陽新聞社 マイベストプロ

あらゆる法律問題に対処可能

事務所名 : 弁護士法人菊池綜合法律事務所
住所 : 岡山県岡山市北区南方1-8-14 [地図]
TEL : 086-231-3535

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

086-231-3535

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

菊池捷男(きくちとしお)

弁護士法人菊池綜合法律事務所

アクセスマップ

このプロにメールで問い合わせる
プロのおすすめコラム
内部統制システムとは何?⑤ その他の内部統制システムの例

1 取締役等会社役員の義務は、抽象的なものから、順次具体的なものになっていくと考えると、分かりやすい大和...

[ 会社関係法 ]

内部統制システムとは何?④ 集団的企業内部統制システムの例

1 親会社の取締役には、子会社の経営を監視する義務がある 福岡高裁平成24年4月13日判決は、親会社の取締役に...

[ 会社関係法 ]

内部統制システムとは何?③ 内部統制システムが構築されていると判断された例

1 最高裁判決 最高裁平成21年7月9日判決は、内部統制システムが十分にできているという理由で、従業員の不法...

[ 会社関係法 ]

内部統制システムとは何?② 会社法及び会社法施行規則で明文化

1 判決を受けての法の改正 昨日のコラムで解説したように、大阪地方裁判所は、平成12年9月20日、会社に...

[ 会社関係法 ]

内部統制システムとは何?① 法理が先で、条文は後

1 大和銀行事件判決の中で生まれた概念1995年大和銀行のニューヨーク支店の行員某が、アメリカ国債の簿外取引...

[ 会社関係法 ]

コラム一覧を見る

スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ