コラム

 公開日: 2012-08-23  最終更新日: 2012-08-24

相続相談 43 相続財産と遺産

Q 「相続ノート」には、多くの箇所で「相続財産」という言葉が使われています。一方で、遺産分割とか遺産分割協議あるいは遺産分割方法の指定など「遺産」という言葉も使われています。「相続財産」と「遺産」はどう違うのですか?

A 
1 被相続人が相続開始の時において有した財産
被相続人が亡くなった時に残していた財産は、「被相続人が相続開始の時において有した財産」(民法903条1項)という表現になります。

2 遺贈財産と相続財産
被相続人が相続開始の時において有した財産の中には「遺贈を受け」た財産(遺贈財産)が含まれています(民法903条1項)。
ここでいう遺贈財産には「相続させる旨の遺言により相続人に取得させた財産」も含まれます(最判平8.1.26)。
また死因贈与契約の対象になった財産も含まれます(民554)。
これら遺贈財産は、遺言で指定された相続人又は第三者の権利になっていますので、共同相続人の共有ではありません。
民法898条は「相続人が数人あるときは、相続財産は、その共有に属する。」と規定していますが、ここでいう「相続財産」とは、共同相続人の共有財産であることから、被相続人が相続開始の時において有した財産から遺贈財産を除いた財産であることは明らかです。

3 遺産と相続財産
遺産とは、相続財産のうち遺産分割の対象になる財産を意味します。
相続財産は共同相続人の共有ではありますが、このうち金銭を目的とする債権は遺産分割の対象になりません(最判平29.4.8)。もっとも、全相続人の明示又は黙示の同意があれば、可分債権も遺産分割の対象財産にすることはできます。これらは「相続ノート」で解説しているところです。
遺産とは、相続財産のうち遺産分割の対象になる財産の意味で使われているのです。

4 一般的には、遺産=相続財産
 前項で述べた言葉の使い分け、は通常いたしません。
一般的には、相続財産と遺産は同義語です。遺産である預貯金と言っても間違いではないのです。
預貯金は、相続財産であるが、遺産分割の対象にしない場合は遺産ではなく、遺産分割の対象にする場合は遺産になる、という言い方は、条文には忠実かもしれませんが、このような言葉の使い分けに特別の意味があるとは思えません。
ですから、遺産と相続財産は同じ意味の言葉と考えた方が良いでしょう。本コラムでも、そのような使い方をしています。

この記事を書いたプロ

弁護士法人菊池綜合法律事務所 [ホームページ]

弁護士 菊池捷男

岡山県岡山市北区南方1-8-14 [地図]
TEL:086-231-3535

  • 問い合わせ

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

0

こちらの関連するコラムもお読みください。

<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
 
このプロの紹介記事
菊池綜合法律事務所|菊池捷男弁護士は数多くの民事裁判を手がけてきたエキスパート

法律事務所は決して敷居の高い場所ではありません。(1/3)

 事務所設立以来40年、「うそをつかない、ごまかさない」を信念に、離婚や相続など数多くの民事裁判を手がけてきた菊池捷男さん。現在事務所には菊池さんを筆頭に6人の弁護士が在籍し、民事から企業法務まであらゆる法律問題をサポートしています。 ...

菊池捷男プロに相談してみよう!

山陽新聞社 マイベストプロ

あらゆる法律問題に対処可能

事務所名 : 弁護士法人菊池綜合法律事務所
住所 : 岡山県岡山市北区南方1-8-14 [地図]
TEL : 086-231-3535

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

086-231-3535

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

菊池捷男(きくちとしお)

弁護士法人菊池綜合法律事務所

アクセスマップ

このプロにメールで問い合わせる
プロのおすすめコラム
最新の相続法理と法実務 第2章 遺言   を上梓しました

弁護士菊池捷男のホームページ上に、最新の相続法理と法実務に次の第2章を追加しました。第2章 遺言  第1...

立法論としての相続法③ 配偶者の居住権の保護

 法制審議会(相続関係部会)での審議の一つに、配偶者の居住権の保護を目的とした方策(改正相続法案)をどう定...

[ 相続判例法理 ]

立法論としての相続法② 配偶者の法定相続分に問題はないか?

 配偶者の法定相続分は、1/2です。この1/2という数字、多いか少ないかといえば、婚姻期間が長く、また、被相続...

[ 相続判例法理 ]

立法論としての相続法① 配偶者の生活保障は十分か?  

1 配偶者の法定相続分  配偶者の法定相続分が、1/3から1/2に引き上げられたのは、昭和55年の民法(相続法)改...

[ 相続判例法理 ]

相続税における「私道供用宅地の時価」の意味

相続税法22条及び評価通達は、相続税の対象になる財産の価額は相続時の時価によるものとすると定め、「時価」とは...

[ 民法と税法 ]

コラム一覧を見る

スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ