コラム

 公開日: 2012-07-26  最終更新日: 2012-08-15

相続相談 15 存在しない物の遺贈は無効なのか?

Q 存在しない物を遺贈しても、それは無効になると聞きましたが、そうですか?

A 預貯金等の債権は、例外として、事実です。

譬えて言えば、

存在しないピカソの絵を遺贈するという遺言は無効
存在しない100万円の定期預金を遺贈するという遺言は、100万円の現金の遺贈として有効になる
ということです。

「解説」(なお、以下の文章は、私が過去に書いたマイベスト・プロのコラムに掲載しているものです)。
1原則
民法996条1項本文は、「遺贈は、その目的である権利が遺言者の死亡の時において相続財産に属しなかったときは、その効力を生じない。」と規定しています。
ですから、遺言者がもっていない財産を、遺贈するという遺言は、その部分に関しては、無効です。
これにより、遺言者は、安心して、いたずら心を示し、甥や姪に、ピカソの絵10点を遺贈するなどと、書けるでしょう。

2 例外
 預金債権などの金銭債権
民法1001条2項は「金銭を目的とする債権を遺贈の目的とした場合においては、相続財産中にその債権額に相当する金銭がないときであっても、その金額を遺贈の目的としたものと推定する。」との規定がありますので、例えば、遺言者が、○○銀行△△支店にある100万円の定期預金を甲に遺贈する。」と遺言を書けば、そのような定期預金がない場合でも、100万円を遺贈したと推定されることになりますので、遺贈義務者は受遺者に100万円を支払わねばならない場合が生じます。

実務で経験するところでは、遺言者が、銀行名や支店名、預金の種類や預金口座を間違えている場合があります。遺言では、○○銀行△△支店にある定期預金100万円と書いていても、その銀行には定期預金はなく、□銀行の☆支店に120万円の定期預金があるなどの場合です。
そのような遺言も、996条1項で、目的物がないので、遺贈は無効だ、という扱いを受けるのではなく、1002条2項で、受遺者は遺贈義務者から100万円をもらうことができることになります。

ただし、その預金が普通預金である場合は、普通預金の中味は、遺言者が生きている間にいつでも与えることができるものですので、遺贈の対象になる普通預金というのは、遺言者が死亡したときに残っている金額に限られると考えられています。

この記事を書いたプロ

弁護士法人菊池綜合法律事務所 [ホームページ]

弁護士 菊池捷男

岡山県岡山市北区南方1-8-14 [地図]
TEL:086-231-3535

  • 問い合わせ

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

0

こちらの関連するコラムもお読みください。

<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
 
このプロの紹介記事
菊池綜合法律事務所|菊池捷男弁護士は数多くの民事裁判を手がけてきたエキスパート

法律事務所は決して敷居の高い場所ではありません。(1/3)

 事務所設立以来40年、「うそをつかない、ごまかさない」を信念に、離婚や相続など数多くの民事裁判を手がけてきた菊池捷男さん。現在事務所には菊池さんを筆頭に6人の弁護士が在籍し、民事から企業法務まであらゆる法律問題をサポートしています。 ...

菊池捷男プロに相談してみよう!

山陽新聞社 マイベストプロ

あらゆる法律問題に対処可能

事務所名 : 弁護士法人菊池綜合法律事務所
住所 : 岡山県岡山市北区南方1-8-14 [地図]
TEL : 086-231-3535

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

086-231-3535

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

菊池捷男(きくちとしお)

弁護士法人菊池綜合法律事務所

アクセスマップ

このプロにメールで問い合わせる
プロのおすすめコラム
金融機関から見た不良債権の意味と分水嶺

1 不良債権 不良債権とは、金融庁の「金融債権マニュアル」における区分のうち、(ア)破綻先債権(法的・...

[ 民法雑学 ]

独禁法でいう課徴金算定の基礎となる売上額の意味

1 完成品の売上げの中に含まれる、取引相手方から購入した部品の購入原価も含まれる 公正取引委員会平成29...

[ 会社関係法 ]

独禁法上の課徴金の趣旨・額の算定・売上額について

最高裁判所第三小法廷平成17年9月13日審決取消請求事件判決は、1 独禁法で定める「独禁法の定める課徴金の...

[ 会社関係法 ]

株主は、真に契約の当事者として申込をした者

株主は、名義貸与者ではなく、名義借用者というのが判例昭和42年11月17日最高裁第二小法廷判決は、「他人の...

[ 会社関係法 ]

弁護士業務に関する基本原則 3 期日連絡

1 期日連絡は、期日ごとになされる弁護士が、依頼者に対してする報告や、書類送付の一つに、「期日連絡」があり...

[ その他 ]

コラム一覧を見る

スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ