コラム

 公開日: 2012-07-16  最終更新日: 2012-08-15

交通事故 65 任意保険⑪ 免責事由

1免責事由の意味
免責事由とは、保険者(保険会社)が、被保険者に、保険金を支払うことを拒絶できる理由をいう。

2損害賠償責任保険における免責事由
①保険契約者や記名被保険者(法定代理人を含む)の故意による事故
②記名被保険者以外の被保険者の故意による事故
【ケースで考える】
記名被保険者Aから被保険自動車の使用を許諾されたB(許諾被保険者)が、故意に交通事故を起こし、第三者(被害者)に被害を生じさせた場合、保険会社は、許諾被保険者であるBに対しては、免責事由②により、保険金の支払いを拒否できるが、記名被保険者であるAに対しては、免責されない。
③その他(戦争・地震・台風・核燃料物質・放射能・特約で定めた事由等)

3対人賠償責任保険固有の免責事由)
① 被保険者や被保険自動車の運転者、その者らの父母、配偶者(内縁を含む)、子(保険契約者群)が死傷した場合
【間違わないように1】
記名被保険者Aから被保険自動車の貸与を受けた許諾被保険者Bが、Aの父Cを死傷させた場合は、CのAに対する請求では保険金は支払ってもらえないが、CのBに対する請求では保険金は支払ってもらえる。】
【間違わないように2】
記名被保険者Aから被保険自動車の貸与を受けた許諾被保険者Bが、Aを死傷させた場合は、Aは、自分自身に対する関係でも、Bに対する関係でも、保険金の請求が出来ない。すなわち、記名被保険者A自身が被害者になった場合は、他の被保険者が損害賠償責任を負担する場合でも、免責となるのである。】
【間違わないように3】
記名被保険者Aから被保険自動車の貸与を受けた許諾被保険者Bが、Bの父Dを死傷させた場合は、Bは、Aに対する関係でも、自分自身に対する関係でも、保険金の請求が出来ない。すなわち、被保険自動車を運転している者またはその父母、配偶者、子が被害者になった場合は、他の被保険者が損害賠償責任を負担する場合でも、保険金の請求は出来ない(免責となる)のである。】


【これを免責事由にしている理由】
対人賠償責任保険は、第三者に対する保険契約者群の賠償支払いリスクを無くする目的の保険。身内の者(保険契約者群)に対する損害賠償は、通常しないのが普通。その責任まで担保するのはモラル・リスクがあるため。
なお、無保険車傷害保険の場合は、これは免責事由にはなっていない。

②被保険者の使用者の業務に従事中の他の使用人の人身事故(同僚災害)
【これを免責事由にした理由】
労災保険が適用になることから。
なお、「記名被保険者による同僚災害担保特約」がついている保険の場合は、保険金が支払われる。

4人身傷害補償保険における免責事由
①極めて重大な過失
損害賠償責任保険では、被保険者の「故意」が免責事由になっていて「重大な過失」は免責事由にはなっていない。しかし人身傷害補償保険では、被保険者の「極めて重大な過失」も免責事由になっている。故意の立証が難しいことが原因である。最判昭32.7.9は、失火責任法でいう「重大な過失」を「ほとんど故意に近い著しい注意欠如の状態」としている。
②他の自動車に搭乗中の場合の免責事由
人身傷害補償保険は、被保険自動車のみでなく、他の自動車に搭乗中の事故につても適用を受けるが、その場合は、次の事故が免責事由になる。
ア 被保険者が、二輪自動車および原動機付自転車に搭乗中に生じた事故
イ 被保険者が、記名被保険者及びその家族(範囲は約款による)が所有又は主として使用する自動車に搭乗中に生じた事故
ウ 被保険者が、被保険者の使用者の業務のために、被保険自動車以外の被保険者所有の自動車に搭乗中の事故
エ 被保険者が、競技等危険な利用をするために搭乗中の事故

この記事を書いたプロ

弁護士法人菊池綜合法律事務所 [ホームページ]

弁護士 菊池捷男

岡山県岡山市北区南方1-8-14 [地図]
TEL:086-231-3535

  • 問い合わせ

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

0

こちらの関連するコラムもお読みください。

<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
 
このプロの紹介記事
菊池綜合法律事務所|菊池捷男弁護士は数多くの民事裁判を手がけてきたエキスパート

法律事務所は決して敷居の高い場所ではありません。(1/3)

 事務所設立以来40年、「うそをつかない、ごまかさない」を信念に、離婚や相続など数多くの民事裁判を手がけてきた菊池捷男さん。現在事務所には菊池さんを筆頭に6人の弁護士が在籍し、民事から企業法務まであらゆる法律問題をサポートしています。 ...

菊池捷男プロに相談してみよう!

山陽新聞社 マイベストプロ

あらゆる法律問題に対処可能

事務所名 : 弁護士法人菊池綜合法律事務所
住所 : 岡山県岡山市北区南方1-8-14 [地図]
TEL : 086-231-3535

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

086-231-3535

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

菊池捷男(きくちとしお)

弁護士法人菊池綜合法律事務所

アクセスマップ

このプロにメールで問い合わせる
プロのおすすめコラム
離婚原因の一つである「夫婦関係の破綻」が,別居期間が短くとも認められる場合

これは,私の事務所が勝ち得た離婚判決の例です。一審判決は,別居期間が2年程度(一審判決までの期間)では,...

[ 離婚 ]

課税価格と相続税評価額とは違う

1 遺産の評価問題遺産分割の調停の席で,遺産(相続財産)の評価をどうするかという問題が提起されることがあ...

[ 相続相談 ]

遺留分減殺請求事件と相続税の処理

1 遺留分減殺請求をして,相続財産の一部の返還又は価額弁償金の支払を受けた遺留分権利者甲の場合これによっ...

[ 相続相談 ]

情報公開条例の誤解⑤ コピー代は全額請求するべし

Q 当市の公開条例には,公文書の開示の方法として写し(コピー)を交付する方法を採っており,コピー代として1...

[ 地方行政 ]

情報公開条例の誤解④ 権利がないことと,権利の乱用は違うこと

Q 住民からの公文書の開示請求に応じた後の,公文書の内容に対する質問に対しては,回答する義務のないことは分...

[ 地方行政 ]

コラム一覧を見る

スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ