コラム

2012-06-25

交通事故 44 過失相殺① 意味・内容・基準

1 過失相殺の意味
⑴ 事故原因における過失相殺
過失相殺とは、1つは、事故の原因が、加害者の過失と被害者の過失によって生じた場合に、加害者が支払う損害賠償額から、被害者の過失割合を差し引くこと、である。
例えば、交通事故により、被害者に1000万円の損害が生じたが、交通事故が、加害者の過失8割と被害者の過失2割によって生じたとすると、加害者の損害賠償義務は、被害者の損害額1000万円から、被害者の過失分2割が差し引かれ、800万円に減額される、ということである。
⑵ 損害の発生・増大における過失相殺
過失相殺のもう1つは、事故の発生とは別に、被害者の損害の発生やその拡大に、被害者の過失が関係する場合にも、その過失分が、損害賠償額より引かれることである。例えば、被害者がヘルメットを着用しないで自動二輪車を運転した結果、損害を拡大させた場合は、その損害を拡大させた過失分が賠償額より差し引かれるのである。

この過失相殺、の考えは、交通事故によって生じた損害を、加害者と被害者とで、公平に分担するところにある。

2 被害者の過失の意味
過失相殺の対象になる被害者の「過失」とは、「被害者の社会生活上の落度ないし不注意を含む被害者側の諸事情」をいう(最判昭39.6.24)。
であるから、被害者に責任能力としての「過失」はなくとも、過失相殺の「過失」は認定できるのである。
一般的には、被害者が7歳以上であれば、被害者に過失相殺における過失は認定できるとされている。
では、被害者が7歳未満の場合は、過失相殺はできないのかというと、そうではない。被害者の過失が認定できない場合であっても、被害者の親権者など「被害者側」の過失が認定できれば、過失相殺ができることになっている。
ここでいう「被害者側」の意味と範囲は、次回のコラムで解説する。

3 過失割合の基準
交通事故が多発し、その原因の中には、被害者の過失が認定できるものも多いという現状を反映して、その場合の被害者の過失割合を認定するために、裁判所は、「過失相殺率の認定基準」を定め、公表している。裁判実務だけでなく、任意保険実務でも、これによっている。
この基準では、事故類型毎に、基本的な加害者と被害者の過失割合が定められ、種々の修正要素によって、その過失割合が修正されることになっている。
交通事故訴訟の迅速な解決に役立つだけでなく、事故当事者に、過失割合の予見と、それに基づく過失相殺率の合意形成を容易にしている。
なお、「過失相殺率の認定基準」は、過去、何度も見直され、より詳しく、かつ分かりやすく改訂されてきている。

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