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 公開日: 2012-06-06  最終更新日: 2012-08-15

交通事故 23 後遺障害① 自賠責が認めなかった後遺障害を認めた裁判例

1 後遺障害の第1次認定機関
 後遺症(後遺障害)は、第1次的には、損害保険料率算出機構(通称:損保料率機構)の自賠責損害調査事務所による等級認定でなされる。
その請求は、被害者自らが行う「損害賠償額の請求」の1つとしてするもの(まず、通常傷害についての自賠責損害賠償額請求が先行して、その後でする。自賠法16条の「被害者請求」)と加害者が行う請求(自賠法15条の「加害者請求」)とがある。加害者請求は、加害者が被害者の損害賠償額の支払をした後になる。

2 任意保険会社のする事前認定に対する警鐘
加害者が加入している任意保険会社は、被害者の同意を得て、後遺障害の事前認定をすることが多い。
しかし、被害者側から見て、これは好ましいものとはされていない。東京弁護士会交通事故実務研究会の「改訂版交通事故実務マニュアル」(ぎょうせい 2012年 発行)17ページでは、「任意保険会社は加害者の立場から事前認定を行うので、等級認定の結果が不本意なものになりかねない。これに対し、16条請求であれば、透明性の高い手続が期待できる。」と任意保険会社のする事前認定に警鐘を鳴らしている。

3 不満な後遺障害認定
第1次後遺障害認定機関である自賠責損害調査事務所による等級認定は、不満なものが結構ある。
その決定に異議のある被害者は、異議を言うことで、等級を有利に変更してもらえることがある。むろん、立証活動は必要だが。
しかし、それでも、等級を変更して貰えない場合は、第2次かつ最終の後遺障害認定機関である裁判所へ、訴えを提起し、その中で正当な等級認定を求めることになる。

4 裁判例多し
・浦和地判平12.3.29は、自賠責保険では後遺障害非該当とされた症状につき、全脊柱前弯変形・両下肢筋力低下と知覚鈍麻の後遺障害(7級該当)を認め、67歳まで27年間56%の労働能力喪失を認めた。この件は、被害者の事故直後にはなかった椎間板ヘルニアが交通事故によるものかどうかが争点になった事件。保険会社は、被害者の椎間板ヘルニアと事故との間に因果関係は認められないと主張して争ったが、裁判所は、医学的に、事故から一定期間経過した後に椎間板ヘルニアが発現することもあるとして、詳細に被害者に起こった症状の経過を分析して、因果関係を認めたものである。
・神戸地判平14.1.17は、自賠責保険が後遺障害非該当、異議に対しても非該当とした両上下肢の運動障害等につき、等級5級の後遺症を認め、38年間79%の労働能力の喪失を認めた。
・その他、自賠責保険が後遺症非該当としたものが、裁判所では、後遺症として認められたケースは多数ある。むろん、より軽い等級から重い等級になったケースも多い。

5 弁護士の活躍の場
後遺障害の等級認定では、弁護士に、懸命なる立証活動が求められる。
ただ自賠責保険の認定した等級のみを、唯々として受け入れるだけの弁護士であってはならないのである。

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