コラム

 公開日: 2012-05-25  最終更新日: 2012-08-15

交通事故 11 逸失利益② 基礎年収

1 基礎年収は、将来の逸失利益算定の基礎になる年収
これは、原則として、事故前年の実年収が基本になる。
しかし、その年収が、労働能力喪失期間中変動しないわけではなく、昇給が高い蓋然性をもって認められる場合は、昇給分が加算されることになる。最判昭43.8.27は、「死亡当時、安定した収入を得ていた被害者において、生存していたならば将来昇給等による収入の増加を得たであろうことが、証拠に基づいて相当の確かさをもって推定できる場合には、右昇給等の回数、金額等を予測し得る範囲で控え目に見積もって、これを基礎として将来の得べかりし利益の収入額を算出することも許される」と判示しているとおりである。

2 若年者の場合
⑴ 賃金センサスの平均賃金を利用
若年者の場合は一般に年収が低いので、事故前年の実年収によらず、賃金センサスの全年齢平均の基準賃金による場合が多い。
例えば、後遺症1級・症状固定時28歳の男性で、事故前の年収は350万円であったが、逸失利益算定の基礎年収は、賃金センサス男性大卒年齢平均の671万2600円であるとした東京地判平15.10.27がある。
学生や生徒の場合も賃金センサスの平均賃金が基礎年収になる。

⑵ 将来とも年収が平均賃金より少ない被害者の場合
もともとの年収が少なく、逸失利益喪失期間中、賃金センサスの平均賃金を得ることが期待できない被害者の場合は、賃金センサスの平均賃金を基礎年収とはされず、その一定割合とされる場合がある。
例えば、後遺症12級・症状固定時44歳の男性が、派遣社員で実年収が250万円のケースでは、基礎年収を賃金センサス男性学歴計年齢平均の全額ではなくその7割となる約400万円とした東京地判平16.7.5などがある。

この記事を書いたプロ

弁護士法人菊池綜合法律事務所 [ホームページ]

弁護士 菊池捷男

岡山県岡山市北区南方1-8-14 [地図]
TEL:086-231-3535

  • 問い合わせ

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

0

こちらの関連するコラムもお読みください。

<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
 
このプロの紹介記事
菊池綜合法律事務所|菊池捷男弁護士は数多くの民事裁判を手がけてきたエキスパート

法律事務所は決して敷居の高い場所ではありません。(1/3)

 事務所設立以来40年、「うそをつかない、ごまかさない」を信念に、離婚や相続など数多くの民事裁判を手がけてきた菊池捷男さん。現在事務所には菊池さんを筆頭に6人の弁護士が在籍し、民事から企業法務まであらゆる法律問題をサポートしています。 ...

菊池捷男プロに相談してみよう!

山陽新聞社 マイベストプロ

あらゆる法律問題に対処可能

事務所名 : 弁護士法人菊池綜合法律事務所
住所 : 岡山県岡山市北区南方1-8-14 [地図]
TEL : 086-231-3535

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

086-231-3535

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

菊池捷男(きくちとしお)

弁護士法人菊池綜合法律事務所

アクセスマップ

このプロにメールで問い合わせる
プロのおすすめコラム
法理と判例

法の世界には「理」があります。理とは、「理屈」の理であり、「理論」の理のことです。しかし、この理は、法...

[ 民法雑学 ]

住民監査請求があった場合の、監査委員の心構え

Q 私は、某自治体の監査委員をしている者ですが、住民監査請求書を,受理すべきか,不受理とすべきか,補正を求...

[ 地方行政 ]

建築請負契約における瑕疵認定の基準を定めた裁判例

仙台地裁平成23年1月13日判決は、 請負契約における「瑕疵」とは,“ 完成された仕事が契約で定めら...

[ 建築 ]

道路上の障害物により自転車事故等が生じた場合の責任割合(裁判例紹介)

道路上を自転車等に搭乗して、走行中、道路上の障害物や、道路から駐車場に入るときの障害物に衝突して転倒し人身...

[ 交通事故 ]

「等」と書くか、「など」と書くか?

「等」は、「常用漢字表」では「トウ」という字音と、「ひとしい」という字訓しかなく、「など」や「ら」という字...

[ 法令用語 ]

コラム一覧を見る

スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ