コラム

2011-11-18

相続 187 寄与分を認めた裁判例

寄与分とは、
①被相続人の事業に関する労務の提供又は
②財産上の給付、
③被相続人の療養看護
④その他の方法により
被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした貢献度を金銭に評価したものです(民法904条の2)。

寄与分は、
相続財産の1割とか2割という割合で出される場合と、300万円とか500万円という数字で出される場合の2つの方法がありますが、いずれの場合も、最終的には、相続財産の中から、取得できる金額で表示されることになります。

2寄与分が認められた裁判例

①被相続人の事業に関する労務の提供
家業への従事型
農業や商工業に従事しながら、報酬は十分ではなかったという場合に認められています。
農業従事者に相続財産の20%を寄与分として認めた例、子は10%の寄与だがその妻には30%の寄与があるとして遺産の40%の寄与分を認めた例、孫(代襲相続人)に50%の寄与分を認めた例、家屋の維持に従事したとして家屋の50%を寄与分と認めた例があります。

家業が会社組織である場合
被相続人の事業が会社組織であっても、その会社が実質的に被相続人の個人事業と見られるときは、寄与分が認められる例があります。
薬局経営を会社組織にして店舗を新築するなどして規模を拡大した子に相続財産の3割(3000万円)を認めた例などがあります。

②財産上の給付、

資金援助
被相続人の不動産が競売に付されたとき金銭の支払いをしてそれを停止させた子に、不動産価格の1割の寄与分を認めた例、被相続人が創業した会社が経営危機にあったとき会社へ資金提供をした相続人に遺産の20%の寄与分を認めた例があります。

共働きの夫婦の場合
夫婦共働きをしていたが2人で築いた遺産は夫名義であったケースで妻の寄与分を5割とみた例や、26年の婚姻期間中13年間を勤務した妻(給与は夫の方が多かったが)、遺産の1/3を寄与分と認めた例があります。

③被相続人の療養看護

療養看護の基準
親に昼食と夕食を届けるほか日常的な世話を行っていた程度では、まだ寄与分は認められないが、被相続人に認知症の症状が顕著に出るようになったため子が親の3度の食事を取らせ常時見守りや排便への対応をするようになって以降は特別の寄与になると判示した裁判例があります。

配偶者のする療養看護
一般に、配偶者のする他方配偶者の療養看護は、配偶者の法定相続分の中に含まれているという考えから、あまり認められていませんが、他方の配偶者から生前贈与を受けているときは、その贈与については黙示の持戻し免除の意思表示があったとされる場合が多いようです。

子や孫がする療養看護
子が親の療養看護をする場合は、一般に、その期間中、職業付添婦をつけた場合に支払う報酬の6割前後が寄与分として認められています。
重い老人性認知症の父を10年間療養看護した四女に職業付添婦報酬の6割を寄与分(1200万円)として認めた例もあります。
1日当たり8000円の3年分876万円を寄与分として認めた例もあります。


相続開始後の寄与分を認めた裁判例
相続人が相続開始後大学を中退して被相続人たる父の家業を継ぎ一家の生計を支えて弟妹を学校へ行かせ、遺産である建物を改修・増築をし、遺産である借地の賃料を支弁し公租公課等を負担してきた貢献度を金銭に見積り、予め遺産から控除するのが相当であると判示し、事実上、相続開始後の寄与分を認めた例があります。

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