コラム

 公開日: 2011-11-14  最終更新日: 2016-03-15

税務調査や警察の捜査等に対する協力と個人データの提供

1 問題

税務調査への協力(国税徴収法141条、地方税法26条等)
労働基準監督署からの照会(賃金の支払の確保等に関する法律12条等)
警察・検察からの捜査協力の要請(刑事訴訟法197条2項)
に対し、
会社が、本人の同意なくして、
顧客情報あるいは従業員情報を開示してもよいか?
開示すべきか?
開示を拒否してもよいか?
開示を拒否すべきか?

2 個人データの第三者への提供には本人の同意が必要、が原則

会社が、個人データを第三者へ提供するには、個人情報保護法23条により、本人の同意が必要です。顧客情報も、従業員情報も、個人データですから、これらを税務署などに提供する場合は、原則として、本人の同意を得なければなりません。

3 例外の1

個人情報保護法23条1項4号は
「国の機関若しくは地方公共団体又はその委託を受けた者が法令の定める事務を遂行することに対して協力する必要がある場合であって、本人の同意を得ることにより当該事務の遂行に支障を及ぼすおそれがあるとき。」は、本人の同意なくして、第三者への個人データの提供は許されています。

4 税務調査等への協力に対する法の扱い

税務調査への協力、労働基準監督署からの照会、警察・検察からの捜査協力の要請に応じて、顧客情報を提供することは、個人情報保護法23条1項4号を満たす場合に限り、許されています。

5 義務ではない

しかしながら、会社には、税務調査への協力、労働基準監督署からの照会、警察・検察からの捜査協力の要請に応じて、顧客情報を提供する義務はありません。

6 回答

次の手順を踏めば、協力してもよいでしょう。

ア 個人データの第三者への提供が、原則として、本人の同意を必要としている個人情報保護法の趣旨を考え、警察などから協力要請があったとき、警察等に、本人の同意を得ることを求めるべきです。

イ 警察等が、「本人の同意を得ようとすると捜査していることが本人に発覚して捜査に支障が生ずる。」というときは、その理由を質問すべきです。

ウ その場合、警察等が、捜査の秘密を楯に、捜査等に支障を及ぼす理由を教えてくれないときは、会社の方で、「本人の同意を得ることにより捜査等支障を及ぼすおそれがある」と判断できるかどうかを検討する必要があります。

エ 検討しても、「本人の同意を得ることにより捜査等支障を及ぼすおそれがある」と判断できないときは、警察等の協力要請を拒否しなければなりません。
これは、個人情報保護法23条1項4号の規定に適合しないためです。

オ 検討した結果、「本人の同意を得るようとすると、たしかき捜査等に支障を及ぼすおそれがある」と判断できる場合は、警察等に協力して、顧客情報等を提供しても、違法ではありません。

以上の手順を踏まず、たんに協力要請があったので、顧客情報を提供したという場合は、違法になります。

この記事を書いたプロ

弁護士法人菊池綜合法律事務所 [ホームページ]

弁護士 菊池捷男

岡山県岡山市北区南方1-8-14 [地図]
TEL:086-231-3535

  • 問い合わせ

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

4

こちらの関連するコラムもお読みください。

<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
 
このプロの紹介記事
菊池綜合法律事務所|菊池捷男弁護士は数多くの民事裁判を手がけてきたエキスパート

法律事務所は決して敷居の高い場所ではありません。(1/3)

 事務所設立以来40年、「うそをつかない、ごまかさない」を信念に、離婚や相続など数多くの民事裁判を手がけてきた菊池捷男さん。現在事務所には菊池さんを筆頭に6人の弁護士が在籍し、民事から企業法務まであらゆる法律問題をサポートしています。 ...

菊池捷男プロに相談してみよう!

山陽新聞社 マイベストプロ

あらゆる法律問題に対処可能

事務所名 : 弁護士法人菊池綜合法律事務所
住所 : 岡山県岡山市北区南方1-8-14 [地図]
TEL : 086-231-3535

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

086-231-3535

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

菊池捷男(きくちとしお)

弁護士法人菊池綜合法律事務所

アクセスマップ

このプロにメールで問い合わせる
プロのおすすめコラム
情報公開条例の運用に誤解あり③ 助言義務は説明義務に非ず

Q 当市の公開条例には,第3条 何人も,この条例の定めるところにより,実施機関に対し,当該実施機関の保有す...

[ 地方行政 ]

情報公開条例の運用に誤解あり➁ 知る権利は,法と条例の制限内の権利なり

Q 情報の開示を請求した住民に,公文書のコピーを交付した後,当該住民から,住民には“知る権利”があるのだから...

[ 契約書 ]

情報公開条例の運用に誤解あり① 説明義務はない

Q 私はA市の情報公開担当課の者ですが,次のような請求に困っています。アドバイスを御願いいたします。1...

[ 地方行政 ]

メール相談より。いわゆる「相続させる」遺言書と遺言執行者との関係

問1 「妻に全財産を相続させる。」と書いた遺言書の場合,遺言執行者は要らないのですか?2 「妻に全財産...

[ 相続相談 ]

人は,常に,今が旬

そうなんです。人は,常に,今が,最もおいしい季節なのです。昨日知らなかったことが,今日は知っていますし...

[ その他 ]

コラム一覧を見る

スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ