コラム

 公開日: 2011-09-20  最終更新日: 2012-08-17

不動産 25 買主が請求できること・その期間

不動産の購入は一生の大事。購入した不動産に瑕疵や見込み違いがあるとき、買主は、売主あるいは仲介業者に対し、どのような請求ができるのでしょうか?

第1 買主が請求できること

1 売主に対し請求できること。
⑴ 錯誤無効の主張(売買契約の要素に錯誤があった場合)
請求内容・・・売買契約は無効。よって、売買代金あるいは手付金の返還を請求する。
⑵ 債務不履行解除の主張(売主に売買契約違反、とくに説明義務違反がある場合。)
請求内容・・・売買契約を解除する。よって、売買代金あるいは手付金の返還を請求する外に、損害賠償の請求(違約金について言えば、倍返しの請求)をする。
⑶ 瑕疵担保責任の追究(不動産に隠れた瑕疵がある場合で次の①又は②の場合)
①(瑕疵の程度が売買契約の目的が達成できないほど大きい場合)
請求内容・・・売買契約を解除する。よって、売買代金あるいは手付金の返還を請求する外に、損害賠償の請求(違約金について言えば、倍返しの請求)をする。
②(瑕疵の程度が売買契約の目的を達成できないとまでは言えない場合)
③請求内容・・・損害賠償の請求をする。
⑷ 不法行為の主張(売主が①故意に問題のある不動産を買わせた(故意責任)か、又は、②注意義務違反(とくに説明義務違反)という過失(過失責任)により不動産を買わせた場合)
請求内容・・・損害賠償の請求をする。

2 売主側の仲介業者に対する請求
⑴ 不法行為の主張(売主側仲介業者が①故意に問題のある不動産を買わせた(故意責任)か、又は、②注意義務違反(とくに説明義務違反)という過失(過失責任)により不動産を買わせた場合)
請求内容・・・損害賠償の請求をする。

3買主側の仲介業者に対する請求
⑴ 債務不履行の主張(買主側の仲介業者に仲介契約違反、とくに説明義務違反がある場合)
請求内容・・・損害賠償の請求をする。

⑵ 不法行為の主張(買主側仲介業者が①故意に問題のある不動産を買わせた(故意責任)か、又は、②注意義務違反(とくに説明義務違反)という過失(過失責任)により不動産を買わせた場合)
請求内容・・・損害賠償の請求をする。

第2請求できる期間

1錯誤無効の主張
売買代金あるいは手付金の返還は売買代金を支払った時から10年間(商行為の場合5年間)

2債務不履行解除
損害賠償の請求等は、不法行為を引き渡しを受けた日から10年間(商行為の場合5年間)

3 瑕疵担保責任
隠れた瑕疵があることを知った時から1年間。ただし、それに基づく損害賠償の請求等の債権は、瑕疵のあることを知ったときから1年以内であっても、通常の時効期間で消滅します(最高裁平成13.11.27判決)ので、最長、不動産の引渡を受けた時から10年間(商取引だと5年間)。
  なお、
①期間の合意
瑕疵担保期間の1年間という期間は、当事者の合意により短縮することも伸長することもできます。
②宅建業者の場合の特約制限
ただし売主が宅地建物取引業者である場合は、瑕疵担保責任の期間について引渡後2年以上とする特約をする場合を除いて、買主に不利な特約はできないことになっております(宅地建物取引業法40条)。
③法人と消費者との取引
また宅地建物取引業者でなくとも、法人が、民法で定めるより買主である消費者に一方的に不利な特約を結んだ場合も無効になります(消費者契約法10条)。
④ 新築建物の瑕疵担保期間
  なお新築建物の売買の場合で、瑕疵が建物の構造耐力上主要な部分又は雨水の浸入を防止する部分として政令で定めるものであるときは、建物引き渡しの時から10年間は売主が瑕疵担保責任を負い、これに反する特約で買主に不利なものは無効とされます(住宅の品質確保の促進等に関する法律88条)。この期間は20年以内であれば、特約で伸長することができます。(同法90条)
④商人間での売買契約
商人間の売買契約では、そのいずれもが宅建業者でなくとも、瑕疵担保期間は6箇月しかありません(商法526条2項)。本コラム「不動産13」参照

4 不法行為の主張
不法行為があったことを知ったときから3年間又は不法行為の時から20年間

この記事を書いたプロ

弁護士法人菊池綜合法律事務所 [ホームページ]

弁護士 菊池捷男

岡山県岡山市北区南方1-8-14 [地図]
TEL:086-231-3535

  • 問い合わせ

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

2

こちらの関連するコラムもお読みください。

<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
 
このプロの紹介記事
菊池綜合法律事務所|菊池捷男弁護士は数多くの民事裁判を手がけてきたエキスパート

法律事務所は決して敷居の高い場所ではありません。(1/3)

 事務所設立以来40年、「うそをつかない、ごまかさない」を信念に、離婚や相続など数多くの民事裁判を手がけてきた菊池捷男さん。現在事務所には菊池さんを筆頭に6人の弁護士が在籍し、民事から企業法務まであらゆる法律問題をサポートしています。 ...

菊池捷男プロに相談してみよう!

山陽新聞社 マイベストプロ

あらゆる法律問題に対処可能

事務所名 : 弁護士法人菊池綜合法律事務所
住所 : 岡山県岡山市北区南方1-8-14 [地図]
TEL : 086-231-3535

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

086-231-3535

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

菊池捷男(きくちとしお)

弁護士法人菊池綜合法律事務所

アクセスマップ

このプロにメールで問い合わせる
プロのおすすめコラム
共同保証人間の求償権の趣旨・消滅時効中断事由に関する初判例

最高裁判所平成27年11月19日判決の紹介時系列的事実関係⑴ 信用保証協会Aと主債務者会社の代表取締役Bが、銀...

[ 民法雑学 ]

労働 時間外労働等に対する割増賃金を年俸に含める旨の合意の有効性について(後半)

 最高裁判所第二小法廷平成29年7月7日判決は、①医療法人と医師との間の雇用契約において時間外労働等に対す...

[ 労働 ]

労働 時間外労働等に対する割増賃金を年俸に含める旨の合意の有効性について(前半)

 最高裁判所第二小法廷平成29年7月7日判決は、医療法人と医師との間の雇用契約において時間外労働等に対する...

[ 労働 ]

信用保証協会、二度目の最高裁判決

またまた、信用保証協会に不利な最高裁判決が出されました。2016-09-14付けコラムで紹介しました最高裁判所第三小...

[ 会社関係法 ]

立法論としての相続法⑬ 法制審議会で、民法1015条の字句を改めるべしとの意見出る

 現行の民法1015条は、「遺言執行者は、相続人の代理人とみなす。」と規定しています。この字句から、遺言執行...

[ 相続判例法理 ]

コラム一覧を見る

スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ