コラム

 公開日: 2011-09-14  最終更新日: 2012-08-17

不動産 2 地盤沈下

1売主や仲介業者の、重要事項告知義務違反はあったが、その違法と買主の損害との間に因果関係が認められない、とされた事案
東京地裁平成13.9.26判決は、
継続的に進んでいる地盤沈下をしている宅地とその上に建築されている建物を売却した売主とそのことを認識していたと見られる仲介業者には、地盤沈下は極めて重要な事柄なので、これを購入しようとする者に告知すべき義務があったのに、これらの者は故意に買主に告げなかった、とその違法性を認めましたが、購入した買主は、売買後すぐにそこに移り住み6年半もそこで生活し、その後もその宅地建物を所有していること、地盤沈下問題を考慮せれば本件不動産の価格は不相当であったことや、その適正金額についての主張、立証がないので、買主が取得した本件不動産とそのために支出した金額とは基本的には対価関係があったものと推定する、として、買主の損害賠償の請求を棄却しました。

2これは、なにかがおかしい
この判決は、地盤沈下は極めて重要な問題であること、それを故意に告知しなかった売主や仲介業者には告知義務違反の不法行為責任があると判示しながら、買主が取得した本件不動産とそのために支出した金額とは基本的には対価関係があったものと推定する、と言っているのです。買主は地盤沈下を知らないで不動産を購入し、売主や仲介業者は故意に地盤沈下の事実を隠して不動産を売っているのだから、地盤沈下のあることを織り込んだ金額で売買契約が結ばれたというのは、実におかしい話しではあるのですが、買主が、損害について具体的に主張立証をしていないこの件では、やむを得ない判決でしょう。

この記事を書いたプロ

弁護士法人菊池綜合法律事務所 [ホームページ]

弁護士 菊池捷男

岡山県岡山市北区南方1-8-14 [地図]
TEL:086-231-3535

  • 問い合わせ

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

0

こちらの関連するコラムもお読みください。

<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
 
このプロの紹介記事
菊池綜合法律事務所|菊池捷男弁護士は数多くの民事裁判を手がけてきたエキスパート

法律事務所は決して敷居の高い場所ではありません。(1/3)

 事務所設立以来40年、「うそをつかない、ごまかさない」を信念に、離婚や相続など数多くの民事裁判を手がけてきた菊池捷男さん。現在事務所には菊池さんを筆頭に6人の弁護士が在籍し、民事から企業法務まであらゆる法律問題をサポートしています。 ...

菊池捷男プロに相談してみよう!

山陽新聞社 マイベストプロ

あらゆる法律問題に対処可能

事務所名 : 弁護士法人菊池綜合法律事務所
住所 : 岡山県岡山市北区南方1-8-14 [地図]
TEL : 086-231-3535

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

086-231-3535

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

菊池捷男(きくちとしお)

弁護士法人菊池綜合法律事務所

アクセスマップ

このプロにメールで問い合わせる
プロのおすすめコラム
徳川家康の前半生

 徳川家康は、戦国時代、三河の岡崎城主の子に生まれ、幼くして駿府の今川義元の下に人質となって辛酸を舐め、耐...

[ 格言や歴史上の偉人の言葉に学ぶ ]

人生の価値を創造する

人生の価値を創造する この言葉は、山岡荘八の小説「徳川家康」の中に使われている言葉です。 この言葉は、...

[ 格言や歴史上の偉人の言葉に学ぶ ]

取締役の「忠実義務」と「善管注意義務」

1 忠実義務 会社法355条は、「取締役は、法令及び定款並びに株主総会の決議を遵守し、株式会社のため忠実にそ...

[ 法令用語 ]

相続税の節税を目的とした養子縁組は、無効ではない

最高裁判所第三小法廷養子縁組無効確認請求事件平成29年1月31日判決は、 養子縁組は,嫡出親子関係を創...

[ 相続判例法理 ]

検索エンジンでの検索結果を削除する請求ができる場合

1 事実関係①Aは、児童買春,児童ポルノに係る法律違反の容疑で平成23年11月に逮捕され,同年12月に同...

[ 民法雑学 ]

コラム一覧を見る

スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ