コラム

 公開日: 2011-09-07  最終更新日: 2011-09-08

会社法 1 譲渡制限株式の評価 1 配当還元方式

1 譲渡制限株式の価格
譲渡制限株式の譲受人と会社が指定した買主間で、売買価格を決めることができないときは、裁判所が、その株式の価格を決定することになっています(会社法144条4項)。

2 株式評価の方式
株式の評価については、会社法144条3項に「株式会社の資産状態その他一切の事情を考慮しなければならない。」と規定されているだけで、評価方法が法定されているわけではないため、方式については諸説あり、統一した基準はありません。
一般に、株式の評価方法には、①配当還元方式、②純資産方式、③取引事例方式、④類似会社批准方式、⑤DCF法等があります。

3 配当還元方式を採用した1事例
⑴ 配当還元方式を選択した理由
大阪高等裁判所平成1年3月28日決定は、譲渡制限のある非上場会社の株式の評価について、「一般少数非支配株主が会社から受ける財産的利益は利益配当(特段の事情あるときは会社の純資産価値)のみであり、将来の利益配当に対する期待が一般株主にとっての投資対象と解される。したがって、少くとも会社の経営支配力を有しない(買主にとって)株式の評価は右将来の配当利益を株価決定の原則的要素となすべきものというべきである」と判示しています。
⑵  会社の解体価値が下限値
ただ、同決定は、「他方、現在及び将来の配当金の決定が多数者の配当政策に偏ってなされるおそれがないこともなく、右配当利益により算出される株価が一株当りの会社資産の解体価値に満たないこともありうるので、多数者と少数者の利害を調整して公正を期するため、右解体価値に基づき算出される株式価格は株価の最低限を画する意義を有するというべく」と判示し、会社の解体価値を最下限値としました。

⑶ 解体価値の内容
同決定は、「純資産価額方式により会社を現時点で解体し個別に処分したと仮定したとき、一株に対し払戻されるであろう額で計算されるところ、この場合棚卸資産は少くとも簿価の5分の1ないし10分の1に、土地以外の有形固定資産は同簿価の5分の1以下に評価し直し、従業員退職者は金額控除すべきものとされている・・」と判示して、貸借対照表上の数字とは異なる数字になるとしています。

この記事を書いたプロ

弁護士法人菊池綜合法律事務所 [ホームページ]

弁護士 菊池捷男

岡山県岡山市北区南方1-8-14 [地図]
TEL:086-231-3535

  • 問い合わせ

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

0
<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
 
このプロの紹介記事
菊池綜合法律事務所|菊池捷男弁護士は数多くの民事裁判を手がけてきたエキスパート

法律事務所は決して敷居の高い場所ではありません。(1/3)

 事務所設立以来40年、「うそをつかない、ごまかさない」を信念に、離婚や相続など数多くの民事裁判を手がけてきた菊池捷男さん。現在事務所には菊池さんを筆頭に6人の弁護士が在籍し、民事から企業法務まであらゆる法律問題をサポートしています。 ...

菊池捷男プロに相談してみよう!

山陽新聞社 マイベストプロ

あらゆる法律問題に対処可能

事務所名 : 弁護士法人菊池綜合法律事務所
住所 : 岡山県岡山市北区南方1-8-14 [地図]
TEL : 086-231-3535

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

086-231-3535

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

菊池捷男(きくちとしお)

弁護士法人菊池綜合法律事務所

アクセスマップ

このプロにメールで問い合わせる
プロのおすすめコラム
金融機関から見た不良債権の意味と分水嶺

1 不良債権 不良債権とは、金融庁の「金融債権マニュアル」における区分のうち、(ア)破綻先債権(法的・...

[ 民法雑学 ]

独禁法でいう課徴金算定の基礎となる売上額の意味

1 完成品の売上げの中に含まれる、取引相手方から購入した部品の購入原価も含まれる 公正取引委員会平成29...

[ 会社関係法 ]

独禁法上の課徴金の趣旨・額の算定・売上額について

最高裁判所第三小法廷平成17年9月13日審決取消請求事件判決は、1 独禁法で定める「独禁法の定める課徴金の...

[ 会社関係法 ]

株主は、真に契約の当事者として申込をした者

株主は、名義貸与者ではなく、名義借用者というのが判例昭和42年11月17日最高裁第二小法廷判決は、「他人の...

[ 会社関係法 ]

弁護士業務に関する基本原則 3 期日連絡

1 期日連絡は、期日ごとになされる弁護士が、依頼者に対してする報告や、書類送付の一つに、「期日連絡」があり...

[ その他 ]

コラム一覧を見る

スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ