コラム

 公開日: 2011-08-10  最終更新日: 2012-08-17

間違えやすい法令用語 24 直ちに・遅滞なく・速やかに

1 速さの順位
この3つの言葉の意味は、いずれも「すぐに」という意味ですが、その速さに違いがあります。もっとも時間的即時性が強い言葉は「直ちに」です。次に速さを求められる言葉は「速やかに」です。時間的即時性が最も弱いのが「遅滞なく」です。

2 直ちに
この意味は「即時に」という意味です。いかなる理由をもってしても遅らせてはならないという響きのある言葉です。
憲法34条前段は「何人も、理由を直ちに告げられ、且つ、直ちに弁護人に依頼する権利を与へられなければ、抑留又は拘禁されない。」と規定していますが、ことの重要性が分かる規定です。
 
3 速やかに
この意味は「できるだけはやく」という意味です。
法令でこの言葉が使われるときは、訓示的な意味で使われる場合が多い、とされています。
つまり、「速やかでなかったとしても制裁を受けない」ことが多いのですが、銃砲刀剣類所持等取締法23条は「銃砲又は刀剣類を発見し、又は拾得した者は、すみやかにその旨をもよりの警察署に届け出なければならない。」と規定し、これに違反した者は同法35条2号により20万円以下の罰金に処せられることになっていますので、この場合は、「速やかに」は訓示的規定ではないことになります。

なお、同法の別の条文で、登録を受けた刀剣を譲り受けるなどした者は、「速やかに教育委員会に届出しなければならない。」という規定があったとき、登録を受けた日本刀一振りを取得しながら7ヶ月以上も届出しなかった被告人が起訴された事件で、1審の裁判所は、「速やかに」という言葉はその内容が不明確であり罪刑法定主義に違反するとして無効、したがって被告人を無罪としたことがありました。しかし、この件は、控訴審では、罪刑法定主義に違反しないとして被告人を有罪としましたが。
なお、この条文は、現在は「速やかに」を「20日以内に」に改正されています(同法17条)。

4 遅滞なく
この意味は「合理的理由があればその遅れは許される程度の速さ」を意味します。
民法853条1項は「後見人は、遅滞なく被後見人の財産の調査に着手し・・・」と規定していますが、この意味になります。

この記事を書いたプロ

弁護士法人菊池綜合法律事務所 [ホームページ]

弁護士 菊池捷男

岡山県岡山市北区南方1-8-14 [地図]
TEL:086-231-3535

  • 問い合わせ

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

19

こちらの関連するコラムもお読みください。

<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
 
このプロの紹介記事
菊池綜合法律事務所|菊池捷男弁護士は数多くの民事裁判を手がけてきたエキスパート

法律事務所は決して敷居の高い場所ではありません。(1/3)

 事務所設立以来40年、「うそをつかない、ごまかさない」を信念に、離婚や相続など数多くの民事裁判を手がけてきた菊池捷男さん。現在事務所には菊池さんを筆頭に6人の弁護士が在籍し、民事から企業法務まであらゆる法律問題をサポートしています。 ...

菊池捷男プロに相談してみよう!

山陽新聞社 マイベストプロ

あらゆる法律問題に対処可能

事務所名 : 弁護士法人菊池綜合法律事務所
住所 : 岡山県岡山市北区南方1-8-14 [地図]
TEL : 086-231-3535

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

086-231-3535

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

菊池捷男(きくちとしお)

弁護士法人菊池綜合法律事務所

アクセスマップ

このプロにメールで問い合わせる
プロのおすすめコラム
これからの契約実務④ 金銭消費貸借契約では,諾成的契約が可能になる

現行法の下では、金銭消費貸借契約は、要物契約、つまりは、現金を交付することで成立する契約になっていますが、...

[ 債権法改正と契約実務 ]

これからの契約実務③ 自殺の履歴が契約解除の理由になる

現行法にあっては、契約を解除するには、債務者の帰責性(故意又は過失)が必要です(民法543条ただし書)。しか...

[ 債権法改正と契約実務 ]

これからの契約実務② 「契約の内容」の書き方

目的や動機、契約に至る経緯を書くことの重要性これは、以前(2014-01-06)、コラムに書いたことですが、 最高...

[ 債権法改正と契約実務 ]

宅建業者の重要事項説明義務違反の一事例 税制度の説明の過誤

 東京地裁昭和49年12月6日判決は、不動産の所有者である甲(大学教授)に対し、同人が所有する土地(固定資産)...

[ 不動産 ]

これからの契約実務① 客観的「瑕疵」基準から主観的な「契約の内容」基準に

現在国会で審議中の民法(債権法)改正案は、契約当事者の意思が重要視されています。一例として、改正民法案562...

[ 債権法改正と契約実務 ]

コラム一覧を見る

スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ