コラム

2011-06-07

間違えやすい法令用語6 贈与・寄附・負担付贈与・負担付寄附

1 贈与
贈与とは、当事者の一方(贈与者)が自己の財産を無償で相手方(受贈者)に与える意思を表示し、相手がそれを受諾することによって成立する契約(民法549条)です。

2 負担付贈与
受贈者が一定の義務を負担する贈与をいいます。
贈与者から受贈者に対し、A宅地を贈与する代わりに、受贈者はその上に設定された担保権の被担保債務を全額引き受けて支払うことを約束するような場合です。

あるいは、例えば、贈与者Aと受贈者Bとが、Aが亡くなったときに、それ以後、BがAの妻に死ぬまで月10万円の生活費を支払うことをBの義務と定めて、一定の財産を贈与する契約(負担付き死因贈与契約)を結ぶような場合です。

3 寄附
寄附とは、「金銭その他の財産を無償で寺社、学校、公共事業などに供与すること、又はこれを約束すること。寄附者から直接寺社、学校等に寄附される場合は民法上の贈与」(有斐閣発行「法律用語辞典第3版」)になる、とされておりますが、法的には贈与と変わりません。

なお、寄附は一般には「寄付」という文字が使われますが、法令上は「寄附」の用語が多いようです。

4 負担付寄附
地方自治法96条1項は、普通地方公共団体が「負担付きの寄附又は贈与を受ける」ときは、議会の議決を要する旨の規定を置いています。
ここでいう「負担付きの寄附」は、「当該寄附を受ける際に反対給付的意味において地方公共団体の負担を伴う一定の条件が付せられ、その条件に基づく義務を履行しない場合当該寄附又は贈与が解除されるようなものをいう」(ぎょうせい発行:地方自治制度研究会編集「地方財務実務提要1の201ページ)」とされています。
行政実例では、「寄附又は贈与の契約に付された条件そのものに基づいて、地方公共団体が法的な義務を負い、その義務不履行の場合には、当該寄附が解除される等、その寄附の効果に影響を与えるもの」などがあります。

例:A市が3年後を目途に林道を建設する計画を建てていたところ、B林材業者から、1年以内に林道を建設すること、もし1年以内に建設しないときは返還してもらう、との条件付で、建設費用の全額を寄付すると申し出があった場合、その寄附を受けると、A市が条件(約束)を守らないときは、寄附を受けたお金を返還しなければならない義務が生じます。ですから、この寄附は、負担付寄附になります。議会の議決が必要になるのです。

5 負担付寄附に該当しないもの
⑴ 用途を指定した指定寄附・・・例:学校用地を寄附するという場合の寄附
⑵ 停止条件付寄附・・・例:遊園地にするなら寄附をするが、そうでなければ寄附はしない、という場合の寄附(これらの例は、いずれも前記「地方財務実務提要1」による)

これらについては、議会の議決は要りません。負担付寄附に似てはいますが、これらの寄附は「当該寄附を受ける際に反対給付的意味において地方公共団体の負担を伴う一定の条件が付せられ、その条件に基づく義務を履行しない場合当該寄附又は贈与が解除されるようなものをいう」ものでも、「寄附又は贈与の契約に付された条件そのものに基づいて、地方公共団体が法的な義務を負い、その義務不履行の場合には、当該寄附が解除される等、その寄附の効果に影響を与えるもの」でもないからです。

この記事を書いたプロ

弁護士法人菊池綜合法律事務所 [ホームページ]

弁護士 菊池捷男

岡山県岡山市北区南方1-8-14 [地図]
TEL:086-231-3535

  • 問い合わせ

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

17

こちらの関連するコラムもお読みください。

<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
 
このプロの紹介記事
菊池綜合法律事務所|菊池捷男弁護士は数多くの民事裁判を手がけてきたエキスパート

法律事務所は決して敷居の高い場所ではありません。(1/3)

 事務所設立以来40年、「うそをつかない、ごまかさない」を信念に、離婚や相続など数多くの民事裁判を手がけてきた菊池捷男さん。現在事務所には菊池さんを筆頭に6人の弁護士が在籍し、民事から企業法務まであらゆる法律問題をサポートしています。 ...

菊池捷男プロに相談してみよう!

山陽新聞社 マイベストプロ

あらゆる法律問題に対処可能

事務所名 : 弁護士法人菊池綜合法律事務所
住所 : 岡山県岡山市北区南方1-8-14 [地図]
TEL : 086-231-3535

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

086-231-3535

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

菊池捷男(きくちとしお)

弁護士法人菊池綜合法律事務所

アクセスマップ

このプロにメールで問い合わせる
プロのおすすめコラム
読みが「そのほか」である語句を, 「その外」と書くか,「そのほか」と書くか?

公用文では,「そのほか」と書くのが正解になります。「その外」と書くと,「外」は当て字になるからであると考...

[ 公用文用語 ]

金融機関は遺言書とどう向き合うべきか?① 遺言書の形式

 預金者が亡くなり,その預金を相続し,又は遺贈を受けたという者が,遺言書を持って,金融機関の窓口に現れた場...

[ 相続相談 ]

モデルルームでの不動産売買契約とクーリングオフ

Q 当社は,某宅建業者がマンションを建築販売する話を聞き,モデルルームを見学に行き,その場で投資用にマンシ...

[ 不動産 ]

開発許可にかかる工事を完成し検査済証を交付された後でも,開発行為取消訴訟は起こしうる(判例)

Q 市街化調整区域で開発許可の要件を欠いた業者が,開発許可を受け開発行為に関する工事を完了し検査済証を交付...

[ 不動産 ]

抗告状に貼付すべき印紙を貼付しなかった場合の瑕疵とその治癒に関する判例紹介

1 問題点①Aが訴訟救助の申立てをした。➁Aの申立ては却下された。③Aは却下決定に対する抗告をしたが,...

[ 民法雑学 ]

コラム一覧を見る

スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ