コラム

 公開日: 2011-05-28 

法諺⑤ 法の不知はこれを許さず

1 事実の錯誤は故意を阻却する
猪狩りに行った者が、木の陰で動く物を見て、猪だと思い、鉄砲を撃ったところ、その物は猪ではなく人であった。この場合、鉄砲を撃った者は、殺人あるいは殺人未遂に問われるのか、といいますと、そうではありません。
刑法38条1項本文は「罪を犯す意思がない行為は、罰しない。」と規定していますが、「人」を殺害する意思で鉄砲を撃った者が殺人罪やその未遂罪に問われるのであって、「猪」を殺害する意思で鉄砲を撃った者が「殺人」の罪に問われることはないのです。
「猪」と「人」を見間違ったことを「事実の錯誤」と言います。事実の錯誤は、故意を阻却する、つまり殺人の意思があったとはされないのです。

2 法律の錯誤は故意を阻却しない
上記の例で、鉄砲打ちの狩猟者が、猪狩りをしているときは、人に鉄砲を向けて撃っても許されると考えて、人であることを知りながらその方へ鉄砲を向けて撃った場合、これは「殺人」の罪に問われます。
法律の錯誤は、故意を阻却しないのです。
方の不知はこれを許さずなのです。

3 それが悪いことだとは知らなかったという弁解は通らない
のです。刑法38条3項は「法律を知らなかったとしても、そのことによって、罪を犯す意思がなかったとすることはできない。」と規定しているのです。

この記事を書いたプロ

弁護士法人菊池綜合法律事務所 [ホームページ]

弁護士 菊池捷男

岡山県岡山市北区南方1-8-14 [地図]
TEL:086-231-3535

  • 問い合わせ

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

5
<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
 
このプロの紹介記事
菊池綜合法律事務所|菊池捷男弁護士は数多くの民事裁判を手がけてきたエキスパート

法律事務所は決して敷居の高い場所ではありません。(1/3)

 事務所設立以来40年、「うそをつかない、ごまかさない」を信念に、離婚や相続など数多くの民事裁判を手がけてきた菊池捷男さん。現在事務所には菊池さんを筆頭に6人の弁護士が在籍し、民事から企業法務まであらゆる法律問題をサポートしています。 ...

菊池捷男プロに相談してみよう!

山陽新聞社 マイベストプロ

あらゆる法律問題に対処可能

事務所名 : 弁護士法人菊池綜合法律事務所
住所 : 岡山県岡山市北区南方1-8-14 [地図]
TEL : 086-231-3535

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

086-231-3535

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

菊池捷男(きくちとしお)

弁護士法人菊池綜合法律事務所

アクセスマップ

このプロにメールで問い合わせる
プロのおすすめコラム
民法改正が賃貸借契約に与える影響 2 賃借人の修繕権(新設)

1 修繕権の創設改正民法607条の2は、「賃借物の修繕が必要である場合において、次に掲げるときは、その修繕...

[ 不動産法(賃貸借編) ]

民法改正が賃貸借契約に与える影響 1 賃貸借期間が伸長された

ガソリンスタンドの設置目的などに朗報1 現行法は20年、改正法は50年借地借家法の適用のない賃貸借契...

[ 不動産法(賃貸借編) ]

他人の研究論文の模倣ないし盗用と私立大学の使用者責任

 知的財産高等裁判所平成27年10月6日判決は、・大学又は大学院の教員が行うすべての学術論文の執筆,発表...

[ 民法雑学 ]

第3章 1概説 6遺言事項(3)遺贈
イメージ

第3章 1概説 6遺言事項(2)遺産分割方法の指定
イメージ

コラム一覧を見る

スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ