コラム

 公開日: 2011-05-23 

相続 185 相続三態③ 限定承認

1 限定承認
限定承認とは、相続によって得た財産の限度においてのみ被相続人の債務及び遺贈を弁済する相続形態です(民法922条)。要は、相続によって得た財産の限度で負債を支払うというものです。限定承認をすれば、相続財産を売って得たお金かその評価額で負債を支払い、余りがでれば、そのまま相続人が受領でき、不足が生じても自己固有の財産から支払う義務はないのですから、相続財産と負債の内容が十分つかめていない場合は、無難な相続方法ということもできます。

2 全相続人が一緒にしなければならない
限定承認は、相続人がばらばらですることはできません。民法923条は、「相続人が数人あるときは、限定承認は、共同相続人の全員が共同してのみこれをすることができる。」と定めているのは、この意味です。
ただ、相続放棄をした者は、相続人ではなくなりますので、一部の相続人が相続放棄をして、残りの相続人全員が限定承認をすることは可能です。

3 方式
「相続人は、限定承認をしようとするときは、第915条1項の期間内(注:自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内)に相続財産の目録を作成して家庭裁判所に提出し、限定承認をする旨を申述しなければならない。」(民法924条)ことになっています。

4 デメリットもある
  デメリットというのは、税法上の問題です。
それは、相続財産が被相続人の死亡の時の時価で譲渡があったものとして譲渡所得課税が発生する点です。しかも、この場合の譲渡所得課税には居住用資産の譲渡の特例が受けられない点です。
  ですから、限定承認した後で、負債はたいした金額ではなかった、しかし限定承認をしてしまったので譲渡所得課税がなされ、高くついたという結果になる危険性があります。ただし、この譲渡所得課税における税金は、相続財産から支払えばよく、相続人固有のお金で支払う義務まではありません。

この記事を書いたプロ

弁護士法人菊池綜合法律事務所 [ホームページ]

弁護士 菊池捷男

岡山県岡山市北区南方1-8-14 [地図]
TEL:086-231-3535

  • 問い合わせ

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

0
<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
 
このプロの紹介記事
菊池綜合法律事務所|菊池捷男弁護士は数多くの民事裁判を手がけてきたエキスパート

法律事務所は決して敷居の高い場所ではありません。(1/3)

 事務所設立以来40年、「うそをつかない、ごまかさない」を信念に、離婚や相続など数多くの民事裁判を手がけてきた菊池捷男さん。現在事務所には菊池さんを筆頭に6人の弁護士が在籍し、民事から企業法務まであらゆる法律問題をサポートしています。 ...

菊池捷男プロに相談してみよう!

山陽新聞社 マイベストプロ

あらゆる法律問題に対処可能

事務所名 : 弁護士法人菊池綜合法律事務所
住所 : 岡山県岡山市北区南方1-8-14 [地図]
TEL : 086-231-3535

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

086-231-3535

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

菊池捷男(きくちとしお)

弁護士法人菊池綜合法律事務所

アクセスマップ

このプロにメールで問い合わせる
プロのおすすめコラム
遺言執行者制度は機能しているか?⑤ 相続人代理人説は、観念の惑いが生んだ天動説

5 相続人代理人説は、観念の惑いが生んだ天動説 民法1015条の「遺言執行者は相続人の代理人とみなす。」と...

[ 相続判例法理 ]

遺言執行者制度は機能しているか?⑤ では、判例はどうか?

5 では、遺言執行者相続人代理人説は、判例では認められているのか?(1)相続人の遺言執行者に対する相続...

[ 相続判例法理 ]

遺言執行者制度は機能しているか?④ 遺言執行者相続人代理人説は、法の規定と整合するか

4 遺言執行者相続人代理人説は、法の規定と整合するのか(1) 遺言執行者は相続人の代理人なのか?遺言...

[ 相続判例法理 ]

民法雑学 不当利得返還請求権の消滅時効は、権利発生の時から、進行が開始する

先日、45年前の子供の取り違えによる債務不履行を原因とした損害賠償請求権の時効は、取り違えを知った時から、消...

[ 民法雑学 ]

遺言執行者制度は機能しているか?③ 日弁連・懲戒委員会の懲戒議決に通底する考え

3 日弁連・懲戒委員会の懲戒議決に通底する考え日弁連・懲戒委員会は、(1) 民法1015条が「遺言執行者...

[ 相続判例法理 ]

コラム一覧を見る

スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ