コラム

 公開日: 2011-05-07 

相続 168 遺言の解釈③ 受遺者の選定を遺言執行者に委託した遺言と解釈

1 事案
Aは「Bを遺言執行者とする。」と書いた遺言書(第1番目の遺言書)を作成しました。
そしてその1ヶ月後、Bに対し「遺産は一切の相続を廃除し、公共に寄興する。」と書いた遺言書(第2遺言書)を渡しました。
Aの死後、Bは遺言書2通につき家庭裁判所で検認してもらいました。
その後、Aの妹2人が遺言者の不動産につき相続登記をしましたので、遺言執行者であるBはAの妹2人に対し、相続登記の抹消登記手続を求めて訴訟を起こしました。

2 遺言の解釈
ここで、「遺産は一切の相続を廃除し、公共に寄興する。」という遺言書の解釈が問題になったのですが、原審も最高裁平成5.1.19判決も、この遺言は、Aが公共目的を達成することのできる団体等に財産のすべてを包括遺贈する趣旨で書かれたものだと判示し、かつ、受遺者の選定は、遺言執行者であるBに委託したものだと認定し、遺言執行者を勝たせました。

Aの妹たちは、遺言書の「公共に寄興する。」という遺言の内容だけでは、受遺者は特定されていない。仮に、受遺者を遺言執行者が選定できるとしても、選定の基準が明確ではないので、遺言は無効であるなどと主張したのですが、最高裁は、遺言の趣旨は、遺産の利用目的が公益目的に限定されていること、受遺者として選定される範囲も、公益目的を達成しうる国、地方公共団体、民法に基づく公益法人や学校法人、社会福祉法人等に限定されることになるから、遺言の効力を否定することはできないと判示したものです。

この記事を書いたプロ

弁護士法人菊池綜合法律事務所 [ホームページ]

弁護士 菊池捷男

岡山県岡山市北区南方1-8-14 [地図]
TEL:086-231-3535

  • 問い合わせ

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

0
<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
 
このプロの紹介記事
菊池綜合法律事務所|菊池捷男弁護士は数多くの民事裁判を手がけてきたエキスパート

法律事務所は決して敷居の高い場所ではありません。(1/3)

 事務所設立以来40年、「うそをつかない、ごまかさない」を信念に、離婚や相続など数多くの民事裁判を手がけてきた菊池捷男さん。現在事務所には菊池さんを筆頭に6人の弁護士が在籍し、民事から企業法務まであらゆる法律問題をサポートしています。 ...

菊池捷男プロに相談してみよう!

山陽新聞社 マイベストプロ

あらゆる法律問題に対処可能

事務所名 : 弁護士法人菊池綜合法律事務所
住所 : 岡山県岡山市北区南方1-8-14 [地図]
TEL : 086-231-3535

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

086-231-3535

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

菊池捷男(きくちとしお)

弁護士法人菊池綜合法律事務所

アクセスマップ

このプロにメールで問い合わせる
プロのおすすめコラム
職場での旧姓使用は、権利として認められるか?

東京地裁平成28年10月11日判決を紹介します。 この判決は、学校の教師が、職場で、当該教師に関わる、...

[ 民法雑学 ]

天皇陛下のお言葉の中に見られる「とともに」と「と共に」の使い分け

 本年8月15日は、終戦72年目の戦没者追悼式が執り行われた日です。 この日、天皇陛下の「お言葉」が、天皇...

[ 公用文用語 ]

最高裁平成29・2・ 21決定と、「取締役会のほかに株主総会でも代表取締役を選定できる」旨の定款

1 機関設計の多様性 平成17年に会社法が制定された時、株式会社の機関設計には、多様なパターンが許されるこ...

[ 会社関係法 ]

相続セミナー開催のご案内

1 相続法セミナー開催のお知らせ  私は、山陽新聞社が管理運営するインターネットサイト・マイベストプロ...

[ その他 ]

企業法務 独禁法と下請法の関係いかん

「後藤よ!下請法 (正式名称は「下請代金支払遅延等防止法」) という法律があるよなあ。あれと独禁法とはどう...

[ 会社関係法 ]

コラム一覧を見る

スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ