コラム

 公開日: 2011-05-01 

相続 163 代償分割的相続の遺言

1 代償分割
代償分割とは、相続人の一部の者が現物を取得し、他の相続人には、その現物を取得した相続人が一定の金銭を支払うという分割方法です。
・代償分割の審判が出来る場合として、大阪高決昭54.3.8は、
① 相続財産が細分化を不適当とするものであること
② 共同相続人間に代償金支払いの方法によることにつき争いがないこと
③ 当該相続財産の評価額がおおむね共同相続人間で一致していること
④ 相続財産を取得する相続人に債務の支払能力があること
に限られると判示していますが、実務上は必ずしも②まで要求しているようには思えません。しかしながらその他の要件、特に④の資力要件は絶対に必要な要件です(最決平12.9.7)。
とは言うものの、古い裁判例では、代償金支払い債務が分割払いが認められたケースもあります(神戸家尼崎支審昭48.7.31は、債務を年5分の利息を付けて5年間で支払う内容にしました。新潟家審昭42.7.31は10年割賦にしました。東京家庭裁判所昭和50.3.10審判は、抵当権付きで、弁済に1年半の猶予を与えています。

2 遺言に応用
遺産分割協議で代償分割に至るまでには、紛議と混乱が生ずることが多く、できれば、被相続人が生前、遺言で解決つけておくことが望まれます。
しかし、その場合、遺言者が、相続人に代償金を支払わせる義務を負わせることはできませんので、負担付き又は条件付の遺産分割方法の指定という形を取らざるを得ません。

3 遺言文例(全財産を特定の相続人に相続させる場合)
遺言者は、長男凸山晴彦が他の相続人に次の代償金を支払うことを条件として、全財産を相続させる。

4 遺言文例(特定の財産についてだけ、代償分割的相続をさせたいとき)
遺言者は、その所有する次の財産を、長男凸山晴彦に相続させる。ただし、長男凸山晴彦は、上記相続に対する負担として、長女凹川春子に500万円、二男凸山夏夫に500万円をそれぞれ支払うこと。

5 分割払いの遺言文例
前項で「500万円を支払うこと」とした文章を、「遺言者が死亡した日の属する月の末日を第1回目として、以後毎月末日限り金10万円あてを500万円に達するまで支払うこと」として分割払いを認める内容にしてもかまいません。

この記事を書いたプロ

弁護士法人菊池綜合法律事務所 [ホームページ]

弁護士 菊池捷男

岡山県岡山市北区南方1-8-14 [地図]
TEL:086-231-3535

  • 問い合わせ

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

9
<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
 
このプロの紹介記事
菊池綜合法律事務所|菊池捷男弁護士は数多くの民事裁判を手がけてきたエキスパート

法律事務所は決して敷居の高い場所ではありません。(1/3)

 事務所設立以来40年、「うそをつかない、ごまかさない」を信念に、離婚や相続など数多くの民事裁判を手がけてきた菊池捷男さん。現在事務所には菊池さんを筆頭に6人の弁護士が在籍し、民事から企業法務まであらゆる法律問題をサポートしています。 ...

菊池捷男プロに相談してみよう!

山陽新聞社 マイベストプロ

あらゆる法律問題に対処可能

事務所名 : 弁護士法人菊池綜合法律事務所
住所 : 岡山県岡山市北区南方1-8-14 [地図]
TEL : 086-231-3535

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

086-231-3535

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

菊池捷男(きくちとしお)

弁護士法人菊池綜合法律事務所

アクセスマップ

このプロにメールで問い合わせる
プロのおすすめコラム
徳川家康の前半生

 徳川家康は、戦国時代、三河の岡崎城主の子に生まれ、幼くして駿府の今川義元の下に人質となって辛酸を舐め、耐...

[ 格言や歴史上の偉人の言葉に学ぶ ]

人生の価値を創造する

人生の価値を創造する この言葉は、山岡荘八の小説「徳川家康」の中に使われている言葉です。 この言葉は、...

[ 格言や歴史上の偉人の言葉に学ぶ ]

取締役の「忠実義務」と「善管注意義務」

1 忠実義務 会社法355条は、「取締役は、法令及び定款並びに株主総会の決議を遵守し、株式会社のため忠実にそ...

[ 法令用語 ]

相続税の節税を目的とした養子縁組は、無効ではない

最高裁判所第三小法廷養子縁組無効確認請求事件平成29年1月31日判決は、 養子縁組は,嫡出親子関係を創...

[ 相続判例法理 ]

検索エンジンでの検索結果を削除する請求ができる場合

1 事実関係①Aは、児童買春,児童ポルノに係る法律違反の容疑で平成23年11月に逮捕され,同年12月に同...

[ 民法雑学 ]

コラム一覧を見る

スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ