コラム

 公開日: 2011-04-21 

相続 153 先妻の子と後妻がいるとき

1 先妻の子と後妻が相続人の場合で、遺産は預貯金と自宅のみという場合の、自宅使用権設定の遺言
【遺言文例】
一 私は、妻○子が老後安心して生活できるように、預貯金のすべてと自宅において終生無償で(固定資産税の負担もなく)生活できる自宅建物の使用貸借上の権利を含む次項に記載した財産以外の財産をすべて相続させる。ただし、必要な修繕費は、妻が支出すること。
二 長男には、自宅の土地建物の所有権を、妻○子に前項の使用貸借上の権利を与える負担付きで、相続させる。
三 私の本意は、妻の老後のため、すべての遺産を妻に相続させることにあるが、長男には遺留分の権利があるので、それを考慮して、以上を遺言する。
長男は、私の本意を尊重し、なさぬ仲ではあろうが、妻の死後は自宅は完全に長男のものになるのであるから、我慢し、さらに妻に孝養を尽くして欲しい。

2 妻に財産のすべてを相続させる、と遺言を書いた場合のリスク
その場合は、長男が遺留分減殺請求権を行使できることになり、それを行使すると、長男が自宅の土地建物の1/4の権利を取得して妻と共有することになります。その場合の共有は遺産共有の状態ではなく、通常の共有物における共有になるというのが判例ですので、長男から共有物分割請求がなされたときは、妻は自宅に住めなくなる可能性があるのです。それは、共有物分割請求の場合、遺産分割の場合と違って、妻に使用貸借権の設定という分割方法は認められていないからです。
前出の遺言文例は、このようなリスクを回避するため、長男から遺留分減殺請求権を行使させないことを狙いにしたものです。

この記事を書いたプロ

弁護士法人菊池綜合法律事務所 [ホームページ]

弁護士 菊池捷男

岡山県岡山市北区南方1-8-14 [地図]
TEL:086-231-3535

  • 問い合わせ

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

0
<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
 
このプロの紹介記事
菊池綜合法律事務所|菊池捷男弁護士は数多くの民事裁判を手がけてきたエキスパート

法律事務所は決して敷居の高い場所ではありません。(1/3)

 事務所設立以来40年、「うそをつかない、ごまかさない」を信念に、離婚や相続など数多くの民事裁判を手がけてきた菊池捷男さん。現在事務所には菊池さんを筆頭に6人の弁護士が在籍し、民事から企業法務まであらゆる法律問題をサポートしています。 ...

菊池捷男プロに相談してみよう!

山陽新聞社 マイベストプロ

あらゆる法律問題に対処可能

事務所名 : 弁護士法人菊池綜合法律事務所
住所 : 岡山県岡山市北区南方1-8-14 [地図]
TEL : 086-231-3535

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

086-231-3535

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

菊池捷男(きくちとしお)

弁護士法人菊池綜合法律事務所

アクセスマップ

このプロにメールで問い合わせる
プロのおすすめコラム
民法改正が賃貸借契約に与える影響 3 賃料が当然に減額となる場合(改正)

1 民法611条の改正内容改正された民法第611条は、1項で、「賃借物の一部が滅失その他の事由により使用及び...

[ 不動産法(賃貸借編) ]

民法改正が賃貸借契約に与える影響 2 賃借人の修繕権(新設)

1 修繕権の創設改正民法607条の2は、「賃借物の修繕が必要である場合において、次に掲げるときは、その修繕...

[ 不動産法(賃貸借編) ]

民法改正が賃貸借契約に与える影響 1 賃貸借期間が伸長された

ガソリンスタンドの設置目的などに朗報1 現行法は20年、改正法は50年借地借家法の適用のない賃貸借契...

[ 不動産法(賃貸借編) ]

他人の研究論文の模倣ないし盗用と私立大学の使用者責任

 知的財産高等裁判所平成27年10月6日判決は、・大学又は大学院の教員が行うすべての学術論文の執筆,発表...

[ 民法雑学 ]

第3章 1概説 6遺言事項(3)遺贈
イメージ

コラム一覧を見る

スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ