コラム

 公開日: 2011-04-18 

相続 150 全財産を相続させるときの文言

1 争いにならない明確な言葉は、単純な言葉
【遺言文例】
私は、全財産を妻に相続させる。
【理由】
この言葉は、他の解釈がなされる余地のない明確な言葉です。これにより妻が全財産を相続することができます。

2 裁判になって争われた言葉
「遺言文例」
一 私は、不動産と動産の全部を、妻に相続させる。
二 甥の○山□男には、形見分けとして200万円を相続させる。○山□男はそれで満足して欲しい。

3 争いの内容
このケースでは、相続人は、妻と甥の2人だけでした。
遺言者が死亡した時の財産は、2000万円程度の不動産の他に、3億円の預貯金があった事件です。
⑴ 甥の言い分は、「不動産と動産は、遺言事項一項により、すべて伯母が相続することに異論はないが、預貯金は不動産でも動産でもないので、伯母は預貯金については相続していない。だから不動産と預貯金の合計3億2000万円の1/4である8000万円(甥の法定相続分相当額)は預貯金の中から甥である私が相続ですることになる。」
⑵ 妻の言い分 「夫が遺言書に書いた『不動産と動産の全部』の意味は全財産の意味である。だからこそ、遺言書の二項で『甥の○山□男には、形見分けとして200万円を相続させる。○山□男はそれで満足して欲しい。』と書いたのである。夫が甥に預貯金のうちから8000万円も相続させる意思で遺言を書いたとすれば。このような遺言事項は書かなかったはずだ。」

4 解決内容
この事件は、遺言者が遺言事項二項を書いていたため、妻の言い分が認められる結果になりましたが、もし遺言の二項が書かれていなかったときは、一項の「私は、不動産と動産の全部を、妻に相続させる。」という言葉だけで、遺言者の妻が全財産を相続できたとは思えません。

5 教訓
言葉は、他に解釈の余地を残さない明確な言葉で、書くべきです。
遺言の場合、遺産の1つ1つを具体的に特定して書くよりも、「全財産」「不動産の全部」「預貯金の全部」など包括的な言葉で書いた方が良い場合が意外に多くあるのです。

この記事を書いたプロ

弁護士法人菊池綜合法律事務所 [ホームページ]

弁護士 菊池捷男

岡山県岡山市北区南方1-8-14 [地図]
TEL:086-231-3535

  • 問い合わせ

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

1
<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
 
このプロの紹介記事
菊池綜合法律事務所|菊池捷男弁護士は数多くの民事裁判を手がけてきたエキスパート

法律事務所は決して敷居の高い場所ではありません。(1/3)

 事務所設立以来40年、「うそをつかない、ごまかさない」を信念に、離婚や相続など数多くの民事裁判を手がけてきた菊池捷男さん。現在事務所には菊池さんを筆頭に6人の弁護士が在籍し、民事から企業法務まであらゆる法律問題をサポートしています。 ...

菊池捷男プロに相談してみよう!

山陽新聞社 マイベストプロ

あらゆる法律問題に対処可能

事務所名 : 弁護士法人菊池綜合法律事務所
住所 : 岡山県岡山市北区南方1-8-14 [地図]
TEL : 086-231-3535

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

086-231-3535

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

菊池捷男(きくちとしお)

弁護士法人菊池綜合法律事務所

アクセスマップ

このプロにメールで問い合わせる
プロのおすすめコラム
住民監査請求があった場合の、監査委員の心構え

Q 私は、某自治体の監査委員をしている者ですが、住民監査請求書を,受理すべきか,不受理とすべきか,補正を求...

[ 地方行政 ]

建築請負契約における瑕疵認定の基準を定めた裁判例

仙台地裁平成23年1月13日判決は、 請負契約における「瑕疵」とは,“ 完成された仕事が契約で定めら...

[ 建築 ]

道路上の障害物により自転車事故等が生じた場合の責任割合(裁判例紹介)

道路上を自転車等に搭乗して、走行中、道路上の障害物や、道路から駐車場に入るときの障害物に衝突して転倒し人身...

[ 交通事故 ]

「等」と書くか、「など」と書くか?

「等」は、「常用漢字表」では「トウ」という字音と、「ひとしい」という字訓しかなく、「など」や「ら」という字...

[ 法令用語 ]

遺言の権利と相続権 2 現在の欧米及び我が国の遺言制度

1 欧米 遺言の権利を認めていた古代ローマ時代、個々の法律は他の法律との整合性を考えず制定されることが多...

[ 民法雑学 ]

コラム一覧を見る

スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ