コラム

 公開日: 2018-02-23  最終更新日: 2018-03-10

内部統制システムとは何?⑤ その他の内部統制システムの例

1 取締役等会社役員の義務は、抽象的なものから、順次具体的なものになっていくと考えると、分かりやすい
大和銀行事件で、初めて、会社の役員には、①忠実義務及び善管注意義務として、②内部統制システム構築義務があるとされたが、②は①の一内容である。その後、②が会社法に取り入れられ、会社法施行規則によって、更に詳細になり細分化された。
すなわち、
 忠実義務及び善管注意義務 → 内部統制システム構築義務(会社法) → より細かな内部統制構築義務(会社法施行規則)

2 他の、具体的な内部統制システム構築義務
 企業の内部統制システムの具体的な例としては、他にも種々あると思われるが、類型的に分類できるものがあれば、その類型にふさわしい表題を冠した内部統制システムを構築するべきであろう。
例えば、
(1)公益通報者保護法上の体制整備
 会社を取り巻く情勢や環境は、日々変わり、それに合わせて、内部統制システムの程度も日々進化する。平成18年には、「公益通報者保護法」が施行されたが、これにより会社は、たんに会社内の指揮命令系統を通じて上がってくる情報だけではなく、公益通報者保護法が定める、別ルートからの情報も受け入れる体制(「通報窓口」の設置等)を整えておかねばならなくなっている。

(2)カルテル等の防止に関する内部統制システム
 これは、最近のことであるが、某会社の株主が,会社の取締役や元取締役らに対し,彼らが会社がしたカルテルを公取委に報告し,かつ,課徴金の減免申請をすれば,課徴金の減免を受け得たのにそれをしなかったという理由で,67億円もの損害賠償を求める株主代表訴訟を大阪地裁に提訴したケースがあった。
この事件は当時マスコミ等で話題になったが,和解で解決ついたため、裁判所の判断するところにはなっていない。しかし、このような株主代表訴訟が起こされやすいものについては、「カルテル等の防止に関する内部統制システム」と題した規程の整備をするべきだと思われる。

 なお、昨年(平成29年)の12月19日,大手ゼネコン4社が,リニア中央新幹線工事での談合事件で,東京地検特捜部と公取委から家宅捜索を受けたことが報じられた。そのうちの一部の会社は公取委に対し課徴金減免制度(リーニエンシー)の適用の申請をし、他の一部の会社は談合を否定して、課徴金減免制度(リーニエンシー)の適用の申請をしなかったことも報じられたが、これなどを見ると、カルテル等の防止に関する内部統制システムの構築(関係諸規程の整備を含む。)が必要になるものと思われる。

(3) 個人データ保護に関する内部統制システム
日経新聞電子版2018/02/18は、欧州連合(EU)では、本年5月から、
①個人データ保護を大幅に強化した一般データ保護規則(GDPR)が施行されること、
②企業に従業員などの個人データの保有や域外に持ち出し場合の保護体制の整備を義務付けていること、
③違反した企業に最大で年間売上高の4%か2千万ユーロの高い方の制裁金を科すこと、
⑤EUで事業をしている日本企業も対象になること、
⑥関係する企業はこれに備える体制構築の必要があることなどを報じていたが、この体制を構築しないことで、制裁金が課せられることも想定されるところから、このような内部統制システムの整備・構築は喫緊の要があると思われる。
なお、EUでは、個人データの保護は基本的人権と明示している。アメリカ、中国など各国も個人情報及び個人データ重視の姿勢を強化している。
これなども、問題の生じやすいものであるから、表題のような題名を付けた規程の整備及び組織の整備は必要であると思われる。

(4) 職場離脱制度(強制休暇制度)
これが必要だと考える理由につき、http://mbp-okayama.com/kikuchi/column/5143/
を参照。
(5) その他
 会社は、世上の動き、法の改廃などを考慮しながら、内部統制システムの内容を、不断に見直していく必要があると思われる。

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