コラム

 公開日: 2018-01-22 

黄金株って、何だい?②

3 黄金株の利用方法
菊池: で、後藤よ。黄金株の利用方法を教えてくれ。
後藤: 黄金株の利用方法の第一は、事業承継前のオーナー社長の権限維持だ。これはな、オーナー社長が、後継者を定めて経営権を渡していても、まだ経験の浅い後継者が経営の重要事項について、おかしな決議をする可能性がある。そこで、前オーナー社長がM&Aや役員の選・解任等の決議を拒否できる黄金株を発行してそれを持ってさえいれば、安心して経営を後継者に任せることができ、お目付け役的役割を果たすことができるということだよ。
第二は、ベンチャー・キャピタルによる利用だ。ベンチャー・キャピタルとは、将来上場を目指すベンチャー企業に投資し、上場することによる創業者利得(キャピタルゲイン)というハイリターンを狙った投資会社(投資ファンド)を指すが、そのためには投資先の会社の黄金株を握る必要があるんだよ。ベンチャー・キャピタルは、ベンチャー企業の経営をいつもそばで監督することはできないので、黄金株を握っていて、重要事項について必要に応じてコントロールすることができるようにするためだ。
第三は、敵対的企業買収に対抗するための利用だ。敵対的企業買収を目的とする者は、重要な決議をいつひっくり返されか分からない会社の株式などは買わないだろうからな。もっとも、これは他の株主の議決権を制限することになるので、前記のように、上場基準の関係で問題になるがね。ここでいう上場基準というのは、証券取引所が黄金株を発行した会社の上場を認める場合の基準のことだよ。
菊池:のう、後藤!去年出光興産事件があったときに、「株式の希釈化」という言葉が使われたことがあったよな。後継者である息子が取締役会を握り、親の株を希釈化するため新株を発行するというケースもないとはいえないわな。その場合に備えて、取締役会で新株発行を決議する場合の承認権を、黄金株の内容とすることもできるだろう。
後藤:そりゃ当然できるよ。その他にも、後継者が銀行借入をして大きな投資をする場合にチェックできるような、銀行借入決議などの承認権を、黄金株の内容とすることもできるよ。
菊池: 黄金株を発行している会社にはどんな会社があるか教えてくれ。
後藤: 上場会社の例だけどね、黄金株を発行した例としてはなあ、イギリスで1980年代に国営企業を民営化した際、政府が黄金株を握った歴史があるよ。わが国でも、小泉政権の民営化政策により旧石油公団を解体して国際石油開発株式会社を設立して上場したときに、政府が黄金株を握った例があるよ。いずれも黄金株は1株だったがね。なお、黄金株は非上場の会社向きの制度だよ。

ご相談は弁護士法人菊池綜合法律事務所へ!

この記事を書いたプロ

弁護士法人菊池綜合法律事務所 [ホームページ]

弁護士 菊池捷男

岡山県岡山市北区南方1-8-14 [地図]
TEL:086-231-3535

  • 問い合わせ

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

1

こちらの関連するコラムもお読みください。

<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
 
このプロの紹介記事
菊池綜合法律事務所|菊池捷男弁護士は数多くの民事裁判を手がけてきたエキスパート

法律事務所は決して敷居の高い場所ではありません。(1/3)

 事務所設立以来40年、「うそをつかない、ごまかさない」を信念に、離婚や相続など数多くの民事裁判を手がけてきた菊池捷男さん。現在事務所には菊池さんを筆頭に6人の弁護士が在籍し、民事から企業法務まであらゆる法律問題をサポートしています。 ...

菊池捷男プロに相談してみよう!

山陽新聞社 マイベストプロ

あらゆる法律問題に対処可能

事務所名 : 弁護士法人菊池綜合法律事務所
住所 : 岡山県岡山市北区南方1-8-14 [地図]
TEL : 086-231-3535

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

086-231-3535

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

菊池捷男(きくちとしお)

弁護士法人菊池綜合法律事務所

アクセスマップ

このプロにメールで問い合わせる
プロのおすすめコラム
内部統制システムとは何?② 会社法及び会社法施行規則で明文化

1 判決を受けての法の改正 昨日のコラムで解説したように、大阪地方裁判所は、平成12年9月20日、会社に...

[ 会社関係法 ]

内部統制システムとは何?① 法理が先で、条文は後

1 大和銀行事件判決の中で生まれた概念1995年大和銀行のニューヨーク支店の行員某が、アメリカ国債の簿外取引...

[ 会社関係法 ]

定期建物賃貸借契約締結上の注意メモ

会社と会社との間の契約でアドバイスした内容例1 契約締結前にすること → 当該契約が定期建物賃貸借契約であ...

[ 契約書 ]

テレビ報道等が名誉毀損になる場合③ 事実摘示か法的評価か?

最高裁判所第二小法廷平成24年3月23日判決は、次のような事案で「法的評価」か「事実の摘示」かで、争われた事件で...

[ 民法雑学 ]

本日の新聞報道より

1 会社法改正試案まとまる本日の新聞には、社外取締役の義務化、株主提案権の回数の制限などが議論され...

[ 会社関係法 ]

コラム一覧を見る

スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ