コラム

 公開日: 2017-12-08 

他人の研究論文の模倣ないし盗用と私立大学の使用者責任

 知的財産高等裁判所平成27年10月6日判決は、
・大学又は大学院の教員が行うすべての学術論文の執筆,発表が,使用者である大学又は大学院の事業,及び,被用者である教員の職務の範囲の両方に含まれているとは限らないこと。
・使用者責任の要件の一つである「事業の執行について」の要件は,職務関連性のみならず,使用者による被用者の行為の支配可能性をも考慮して判断すべきであるところ,憲法23条が規定する学問の自由及び大学の自治の観点からすれば,大学又は大学院における雇用契約上,被用者である教員の研究の内容やそれに基づく研究の成果として発表された論文の内容について,公表までの段階で,使用者は過度に関与すべきではないこと。
・平成26年8月26日付け文部科学大臣決定「研究活動における不正行為への対応等に関するガイドライン」も,研究活動における不正行為について,一次的には,研究者自身の倫理及び社会的責任の問題と捉え,二次的に,研究機関の対応強化を提案し,不正行為を事前に防止する取組みを推進すべきという行為指針を示しているが,ここでも,研究機関の取組内容として,論文盗用等の不正行為に対し,事後的には,調査や告発等比較的具体的な提案がなされている一方で,事前の予防措置としては,研究倫理教育といった比較的抽象度の高いものしか挙げられていないのも,同様の見地に立つものと解されること。
などから、私立大学の教員がした著作権侵害となる論文の公表につき,私立大学の使用者責任を肯定することはできないというべきである、
と判示しています。

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