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 公開日: 2017-03-19  最終更新日: 2017-03-20

遺言執行者は相続人の代理人ではない! いずれ民法1015条は削除されることになる

 民法1015条の「遺言執行者は相続人の代理人とみなす。」という規定を根拠に、遺言執行者は、相続人の代理人であるとの、謬説(誤謬の説・ドグマ)を唱え、ここから、民法1011条の遺言執行者の相続財産目録作成義務を、相続人の遺言執行者に対する権利だとの誤解に発展し、遺言執行者が相続人に相続財産目録を交付しなかったことを、懲戒理由とした日弁連懲戒委員会の平成13年議決。
また、このドグマから生まれた、次なるドグマ、「遺言執行者は、相続人の間に中立公正でなければならない。」という観念論により、相続人の廃除をする遺言執行者になることが、懲戒理由になるとした同平成21年議決。
 これらにより、遺言執行者実務は乱されてきていますが、ドグマを生んだ民法1015条は、近い将来、削除され、遺言執行者と相続人の関係は、代理人と本人の関係ではなく、遺言の内容を実現する者と、それを妨害してはならない者との関係であることが、規定上も明らかにされそうです。
 すなわち、法務省・法制審議会民法(相続関係)部会は、平成29年1月24日に開催された第17回会議で、「遺言制度に関する見直し」の一として、「遺言執行者の権限の明確化」が審議され、法律上も、遺言執行者の権限を明確化し、民法1015条を削除することが、ほぼ合意されるに至ったからです。

その内容は、部会資料17の 「遺言制度に関する見直し」の「第4 遺言執行者の権限の明確化等 」に書かれていますが、遺言執行者の一般的な権限等については、次のように書かれています。

1 遺言執行者の一般的な権限等
① 遺言執行者は,遺言の内容を実現することを職務とし,遺言の執行の妨害の排除その他の遺言の執行に必要な一切の行為をする権限を有するものとし,相続人は,遺言執行者がある場合には,相続財産の処分その他遺言の執行を妨げる行為をすることができないものとする。ただし,これをもって善意の第三者に対抗することができないものとする。
② 遺言執行者がその権限内においてした行為の効果は相続人に帰属するものとする(注)。
③ 遺言執行者が就職を承諾し,又は家庭裁判所に選任されたときは,その遺言執行者は,遅滞なくその旨及び遺言の内容を相続人に通知しなければならないものとする。
(注)現行の民法第1015条は削除した上で,遺言執行者について民法第108条が準用される旨を明らかにするものとする。
というものです。
これらの記載部分のうち、
①は正しい遺言執行者観を明らかにしたものです。
②は現行の民法1015条の正しい解釈とされているものです。

なお、資料17には、補足説明が書かれています。
(補足説明)
1 遺言執行者の一般的な権限等について
⑴ 遺言執行者の権利義務等について
現行法上,遺言執行者は相続人の代理人とみなすこととされているが(民法第1015条),中間試案では,遺言執行者の法的地位を明確にする観点から,遺言執行者は遺言者の意思を実現することを職務とする者であり,その行為の効果は相続人に帰属すると定めることとし,第1015条を削除するとの考え方を提示し,パブリックコメントにおいても大方の理解が得られたところである。
・・・(以下略)・・・

 これにより、近い将来、遺言執行者制度が、相続人のための制度ではなく、遺言の内容を実現するための制度であることの正しい理解と、遺言執行者と相続人との関係は、代理人と本人の関係ではなく、遺言の執行をする者と,遺言の執行を妨害してはならない者(悪意での妨害ではなく、知らずして結果的に遺言執行者の遺言執行を妨害する場合を含む。)の関係であること、の正しい理解が、広まり、現在の遺言執行者実務の混乱が正されていくことになるものと思われます。

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