コラム

2011-02-11

林原と会社更生法 2 これが会社更生法だ


1 S電器の場合
某年3月1日S電器について会社更生手続が開始された。
S電器はそれまで100億円を優に超える売上を挙げ、株式を証券会社の店頭で公開することを視野に入れるほどの利益を出していた会社だった。
株価も額面の数倍の値がつくほど高かった。
そのS電器が更生手続の開始を求めたのは、売上の90数%をあげていた取引先R社との取引が突然停止になったことによる。
取引停止の理由については、R社からの言い分を聴いていない今、S電器の代表者からの話だけを紹介することは不公平であろうから、ここでは不詳ということになる。
しかし、理由が何であるにせよ、S電器がそれまでの安定した取引先を失い、倒産したのは紛れもない事実だ。

2 更生管財人と管財人代理
S電器について会社更生手続が開始されるのと同時に、2人の管財人が選任された。
1人は事業をする管財人(事業管財人)のA氏、、1人は法律面のサポートをする管財人(法律管財人)B弁護士だ。
事業管財人には、債権者である金融機関から出向してきたN氏が補佐(管財人代理)についた。
N氏は有能であり、優秀であった。
銀行マンという一般のイメージを完全に覆してしまうほどの“事業家”であった。
更生手続開始後のS電器は、事業管財人のA氏と補佐のN氏の手で経営されたが、むろんN氏を派遣した金融機関の支援もあった。
それまでの経営者であったT氏は経営から完全に排除された。

3 更生計画
やがて管財人2人の手によって、更生計画案が立案された。
更生計画とは、早い話し、債権者への支払及び配当計画だ。
これは絶対に立てなければならない計画だ。
債権者への支払及び配当については次のようになった。
すなわち、財産評定の結果担保不動産について付せられた評価額が、更生担保権の価額とされ、その価額は全額支払われた。
更生債権には、その他の資産の評価額から、共益債権額を控除した残りを、案分して配当された。
共益債権額は全額支払われた。
以上が、債権者への支払及び配当内容だ。
これは、どんな更生事件でも、なさねばならない支払及び配当だ。
問題は、更生計画案に、「株主の権利に関する条項」を入れたことだ。

4 100%減資とスポンサー会社への新株発行
更生計画案に、「株主の権利に関する条項」が入れられた。その内容は、100%減資と事業管財人の経営する会社外2社への新株の発行だ。つまりは、それまでの株主の権利は0になり、新たな株主が出資して、S電器は新しい株式会社として生まれ変わったということである。なお、新しい株主は、事業管財人の会社、新しく取引先になった会社、最大の債権者であった金融機関の3社である。
この更生計画案は、関係人集会で可決され、更生計画となった。
更生計画は認可され、法的効力を有するに至った。
これにより、それまでの株主の権利は完全になくなり、S電器は新たな株主3社の物になった。

5 数年後
数年後、S電器は大きく変貌した。
1事業年度の経常利益が、更生計画で新たな株主になった3社が出資した資本金の額の20倍を超えるものになったのである。
その後の経常利益に推移はあるが、S電器の業績は、更生計画案を立てたときには予定していなかった大きな利益をあげ続け、その結果、新しい株主が、膨大な利益を得ることが出来たことは間違いない。
この利益の源泉は何か?

次回に続きます。

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