コラム

 公開日: 2016-09-16 

反社会的勢力を主債務者とする保証契約の効果(判例まとめ)

反社会的勢力を主債務者とする保証契約の効果について判示した,4件の最高裁判所第三小法廷平成28年1月12日判決を,まとめますと,

⑴ 主債務者が反社会的勢力でないことそれ自体が,当然には,金融機関と信用保証協会との間の保証契約の内容にはならない。
 したがって,金融機関が反社会的勢力に融資をし,その返済が受けられなくなった場合は,保証契約に基づき,信用保証協会に対し保証債務の履行を請求することができる。
⑵ しかしながら,金融機関と保証協会との基本契約には,金融機関が「保証契約に違反したとき」は,保証協会は金融機関に対する保証債務の履行につき,その全部又は一部の責めを免れるものとする免責条項が定められているので,それに該当する場合は,保証債務の全部又は一部につき履行を拒否できる。
⑶ 金融機関及び保証協会は,保証契約上の付随義務として,個々の保証契約を締結して融資を実行するのに先立ち,相互に主債務者が反社会的勢力であるか否かについてその時点において一般的に行われている調査方法等に鑑みて相当と認められる調査をすべき義務を負う。そして,金融機関がこの義務に違反して,その結果,反社会的勢力を主債務者とする融資について保証契約が締結された場合には,本件免責条項にいう金融機関が「保証契約に違反したとき」に当たる(その場合は,信用保証協会は,その全部又は一部の責めを免れる)。
⑷ 免責の要件の有無,免責の範囲は,原審において審理すべきである。
というものです。

本件判例の意義
 金融機関が融資した先が反社会的勢力であり,融資金が返済されない場合,金融機関と信用保証協会の保証契約を無効だとすると,信用保証協会はその保証の責任はなくなり,金融機関のみが損失を甘受しなければならなくなり,また,保証契約が無効でないとすると,信用保証協会のみがその損失を甘受しなければならないことになりますが,今回の判例は,融資金の回収不能による損害を,信用保証協会,金融機関双方の責任とみて,その責任割合を,審理判断させるために,原審判決を破棄し,原審に差し戻したものです。
100か0かではなく,その中間のどこかに,それぞれの責任割合に応じて,損失を分担させようというのが,今回の判例の,実にバランスの取れた判断だと思います。

この記事を書いたプロ

弁護士法人菊池綜合法律事務所 [ホームページ]

弁護士 菊池捷男

岡山県岡山市北区南方1-8-14 [地図]
TEL:086-231-3535

  • 問い合わせ

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

1

こちらの関連するコラムもお読みください。

<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
 
このプロの紹介記事
菊池綜合法律事務所|菊池捷男弁護士は数多くの民事裁判を手がけてきたエキスパート

法律事務所は決して敷居の高い場所ではありません。(1/3)

 事務所設立以来40年、「うそをつかない、ごまかさない」を信念に、離婚や相続など数多くの民事裁判を手がけてきた菊池捷男さん。現在事務所には菊池さんを筆頭に6人の弁護士が在籍し、民事から企業法務まであらゆる法律問題をサポートしています。 ...

菊池捷男プロに相談してみよう!

山陽新聞社 マイベストプロ

あらゆる法律問題に対処可能

事務所名 : 弁護士法人菊池綜合法律事務所
住所 : 岡山県岡山市北区南方1-8-14 [地図]
TEL : 086-231-3535

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

086-231-3535

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

菊池捷男(きくちとしお)

弁護士法人菊池綜合法律事務所

アクセスマップ

このプロにメールで問い合わせる
プロのおすすめコラム
最新の相続法理と法実務 第2章 遺言   を上梓しました

弁護士菊池捷男のホームページ上に、最新の相続法理と法実務に次の第2章を追加しました。第2章 遺言  第1...

立法論としての相続法③ 配偶者の居住権の保護

 法制審議会(相続関係部会)での審議の一つに、配偶者の居住権の保護を目的とした方策(改正相続法案)をどう定...

[ 相続判例法理 ]

立法論としての相続法② 配偶者の法定相続分に問題はないか?

 配偶者の法定相続分は、1/2です。この1/2という数字、多いか少ないかといえば、婚姻期間が長く、また、被相続...

[ 相続判例法理 ]

立法論としての相続法① 配偶者の生活保障は十分か?  

1 配偶者の法定相続分  配偶者の法定相続分が、1/3から1/2に引き上げられたのは、昭和55年の民法(相続法)改...

[ 相続判例法理 ]

相続税における「私道供用宅地の時価」の意味

相続税法22条及び評価通達は、相続税の対象になる財産の価額は相続時の時価によるものとすると定め、「時価」とは...

[ 民法と税法 ]

コラム一覧を見る

スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ