コラム

 公開日: 2016-08-04 

不当訴訟による損害賠償請求権の要件事実

Q 
 A社が原告となり,B社を被告として,訴訟を起こしたが,A社が敗訴した場合で,その訴訟が不当訴訟となって,B社からA社に対する弁護士費用等の損害賠償請求をすることができる要件事実は何か?


 最高裁昭和63年1月26日判決は,
「法的紛争の当事者が当該紛争の終局的解決を裁判所に求めうることは、法治国家の根幹にかかわる重要な事柄であるから、裁判を受ける権利は最大限尊重されなければならず、不法行為の成否を判断するにあたつては、いやしくも裁判制度の利用を不当に制限する結果とならないよう慎重な配慮が必要とされることは当然のことである。したがつて、法的紛争の解決を求めて訴えを提起することは、原則として正当な行為であり、提訴者が敗訴の確定判決を受けたことのみによつて、直ちに当該訴えの提起をもつて違法ということはできないというべきである。一方、訴えを提起された者にとつては、応訴を強いられ、そのために、弁護士に訴訟追行を委任しその費用を支払うなど、経済的、精神的負担を余儀なくされるのであるから、応訴者に不当な負担を強いる結果を招くような訴えの提起は、違法とされることのあるのもやむをえないところである。
 以上の観点からすると、民事訴訟を提起した者が敗訴の確定判決を受けた場合において、右訴えの提起が相手方に対する違法な行為といえるのは、当該訴訟において提訴者の主張した権利又は法律関係(以下「権利等」という。)が事実的、法律的根拠を欠くものであるうえ、提訴者が、そのことを知りながら又は通常人であれば容易にそのことを知りえたといえるのにあえて訴えを提起したなど、訴えの提起が裁判制度の趣旨目的に照らして著しく相当性を欠くと認められるときに限られるものと解するのが相当である。けだし、訴えを提起する際に、提訴者において、自己の主張しようとする権利等の事実的、法律的根拠につき、高度の調査、検討が要請されるものと解するならば、裁判制度の自由な利用が著しく阻害される結果となり妥当でないからである。」と判示していますので,
不当訴訟を理由とする損害賠償請求権の発生要件事実は,
① A社から民事訴訟を提起されたが,勝訴し,勝訴判決が確定したこと。
➁ 当該訴訟におけるA社の主張が,事実的、法律的根拠を欠くものであったこと。
③ A社は➁の事実を知りながら又は通常人であれば容易にそのことを知りえたといえるのにあえて訴えを提起したこと等,訴えの提起が裁判制度の趣旨目的に照らして著しく相当性を欠くと認められること。
ということになります。

ご相談は弁護士法人菊池綜合法律事務所へ!

この記事を書いたプロ

弁護士法人菊池綜合法律事務所 [ホームページ]

弁護士 菊池捷男

岡山県岡山市北区南方1-8-14 [地図]
TEL:086-231-3535

  • 問い合わせ

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

2

こちらの関連するコラムもお読みください。

<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
 
このプロの紹介記事
菊池綜合法律事務所|菊池捷男弁護士は数多くの民事裁判を手がけてきたエキスパート

法律事務所は決して敷居の高い場所ではありません。(1/3)

 事務所設立以来40年、「うそをつかない、ごまかさない」を信念に、離婚や相続など数多くの民事裁判を手がけてきた菊池捷男さん。現在事務所には菊池さんを筆頭に6人の弁護士が在籍し、民事から企業法務まであらゆる法律問題をサポートしています。 ...

菊池捷男プロに相談してみよう!

山陽新聞社 マイベストプロ

あらゆる法律問題に対処可能

事務所名 : 弁護士法人菊池綜合法律事務所
住所 : 岡山県岡山市北区南方1-8-14 [地図]
TEL : 086-231-3535

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

086-231-3535

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

菊池捷男(きくちとしお)

弁護士法人菊池綜合法律事務所

アクセスマップ

このプロにメールで問い合わせる
プロのおすすめコラム
凧は風の力を借りたときではなく、風に立ち向かったときに、最も高く揚がる

Kites rise highest against the wind, not with it という言葉は、時期はいつかは知りませんが、ウインストン・...

[ 格言や歴史上の偉人の言葉に学ぶ ]

  わが国で指名委員会等設置会社が不人気である理由

1不人気である実体日本取締役協会(JACD)の調査によれば、2018年3月現在、指名委員会等設置会社は、東証1部上...

[ 会社関係法 ]

執行役員と執行役の違い

1 法律上の立場「執行役員」は、会社法には規定のない用語である。会社法でいう「役員」とは、取締役・会計参...

[ 会社関係法 ]

老朽化した建物賃貸借契約解約に、立退料は必要か?必要とした場合、どういう名目の費用が要るか?

東京地方裁判所平成25年12月11日判決(ウエストローン・ジャパン)は、(1)借家の、①老朽化の程度が激しく、...

[ 不動産法(賃貸借編) ]

敵対的買収からの防衛失敗例

菊池:では、次に、敵対的買収に対する防衛策が認められなかった例を教えてくれるかい?後藤:「いなげや・忠実...

[ 菊池と後藤の法律実務レポート(企業編) ]

コラム一覧を見る

スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ