コラム

 公開日: 2011-01-25 

相続 110 遺留分減殺請求権の行使の方法


1 裁判外の意思表示でよい
遺留分減殺請求権を行使する場合、必ずしも、訴訟を起こす必要はありません。相手方に対し、その旨の意思表示をするだけで十分ですが、遺留分減殺請求権は一定の期間が経過すると消滅時効にかかり消滅してしまいますので、その期間内に請求したことを明らかにするために、内容証明郵便ですることが望まれます。

2 内容証明郵便が、相手方に受領拒否された場合は、遺留分減殺請求権の行使があったとは言えないのか?
最高裁平成10.6.11判決は、
ア 内容証明郵便による意思表示は、相手方に到達することによってその効力を生ずるものであるが、
イ 「到達」とは、意思表示を記載した書面が相手方によって直接受領され、又は了知されることを要するものではなく、これが相手方の了知可能な状態に置かれることをもって足りる(最高裁36.4.20判決)ので、
ウ 相手方が、内容証明郵便の内容が遺留分減殺の意思表示又は少なくともこれを含む遺産分割協議の申入れであることを十分に推知することができている場合で、
エ 相手方に受領の意思があれば、郵便物の受取方法を郵便局に対し指定することによって内容証明郵便を受領することができた場合は、
オ 内容証明郵便は、遅くとも郵便局での留置期間が満了した時点で、相手方に到達したものと認めるのが相当である。
と判示しております。
したがって、内容証明郵便が相手方によって受領拒否された場合でも、内容証明郵便が送達されたと認められる場合があるのです。

3 遺留分減殺請求の意思表示を明確にしないで、遺産分割の協議を申し入れた場合、遺留分減殺請求があったと認定してもらえないか?
前記最高裁平成10.6.11判決は、「遺産分割と遺留分減殺とは、その要件、効果を異にするから、遺産分割協議の申入れに、当然、遺留分減殺の意思表示が含まれているということはできない。しかし、被相続人の全財産が相続人の一部の者に遺贈された場合には、遺贈を受けなかった相続人が遺産の配分を求めるためには、法律上、遺留分減殺によるほかないのであるから、遺留分減殺請求権を有する相続人が、遺贈の効力を争うことなく、遺産分割協議の申入れをしたときは、特段の事情のない限り、その申入れには遺留分減殺の意思表示が含まれていると解するのが相当である。」
と判示しております。

この記事を書いたプロ

弁護士法人菊池綜合法律事務所 [ホームページ]

弁護士 菊池捷男

岡山県岡山市北区南方1-8-14 [地図]
TEL:086-231-3535

  • 問い合わせ

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

0
<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
 
このプロの紹介記事
菊池綜合法律事務所|菊池捷男弁護士は数多くの民事裁判を手がけてきたエキスパート

法律事務所は決して敷居の高い場所ではありません。(1/3)

 事務所設立以来40年、「うそをつかない、ごまかさない」を信念に、離婚や相続など数多くの民事裁判を手がけてきた菊池捷男さん。現在事務所には菊池さんを筆頭に6人の弁護士が在籍し、民事から企業法務まであらゆる法律問題をサポートしています。 ...

菊池捷男プロに相談してみよう!

山陽新聞社 マイベストプロ

あらゆる法律問題に対処可能

事務所名 : 弁護士法人菊池綜合法律事務所
住所 : 岡山県岡山市北区南方1-8-14 [地図]
TEL : 086-231-3535

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

086-231-3535

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

菊池捷男(きくちとしお)

弁護士法人菊池綜合法律事務所

アクセスマップ

このプロにメールで問い合わせる
プロのおすすめコラム
これからの契約実務⑤ 動機を書いて置けば、動機の錯誤で契約の取消し可能

 契約書に「契約の内容」としての「目的」を書いておけば、その目的が達成できないことが分かった時は、契約を「...

[ 債権法改正と契約実務 ]

これからの契約実務④ 金銭消費貸借契約では,諾成的契約が可能になる

現行法の下では、金銭消費貸借契約は、要物契約、つまりは、現金を交付することで成立する契約になっていますが、...

[ 債権法改正と契約実務 ]

これからの契約実務③ 自殺の履歴が契約解除の理由になる

現行法にあっては、契約を解除するには、債務者の帰責性(故意又は過失)が必要です(民法543条ただし書)。しか...

[ 債権法改正と契約実務 ]

これからの契約実務② 「契約の内容」の書き方

目的や動機、契約に至る経緯を書くことの重要性これは、以前(2014-01-06)、コラムに書いたことですが、 最高...

[ 債権法改正と契約実務 ]

宅建業者の重要事項説明義務違反の一事例 税制度の説明の過誤

 東京地裁昭和49年12月6日判決は、不動産の所有者である甲(大学教授)に対し、同人が所有する土地(固定資産)...

[ 不動産 ]

コラム一覧を見る

スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ