コラム

 公開日: 2016-07-14 

賢い事業承継の手順 5 自社株を生前贈与する場合の注意点

(1)自社株の評価額の基準時を知ること
 自社株の評価額は,贈与をする年度の前年度末の決算書(純資産価額の場合)や指標(類似業種比準価額の場合)を基準に算出されますので,自社株の評価額は年度によって異なることを念頭に置く必要があります。
この知識があれば,暦年贈与をする場合,時期,方法を選ぶことは可能です。
例えば,暦年贈与を自社株でしないで現金でし,後継者には,その現金を蓄えさせ,経営者(代表取締役)が辞任して高額の退職慰労金を支払うとにより自社株の評価額が下がった時(の翌年度)に,自社株を贈与するなどの方法をとることが可能になります。

(2)配当還元価格で贈与する場合のメリット,デメリットを考えること
 経営者から見て,甥,姪,孫の配偶者への贈与の場合,自社株は配当還元額で評価されることは前述しましたが,それをすると税負担は軽くなりますが,株式が拡散するおそれが生じます。
ですから,事業の後継者を決める場合,後継者には,どの程度の自社株を保有させるのが最もよいか,また,後継者以外の者を株主とする場合,その範囲をどこまで広げるかなどを考える必要があります。
 
(3) 納税猶予制度の適用を考える
 納税猶予の適用を受けうる場合は,会社の総議決権数の2/3に達するまでの贈与分につき,納税が猶予されますので,その適用を受けるかどうかは,検討する必要があります。
なお,納税猶予の制度の詳細は,後日のコラムで解説いたします。

(4)贈与契約書の作成
 贈与は,贈与者と受贈者の契約です。ですから,受贈者がその事実を知らないところでは,贈与契約があったとはいえません。贈与契約の有無については,裁判所も税務署も,厳しくチェックをします。ですから,贈与契約は,贈与者と受贈者(又は法定代理人)が,記名押印ではなく,署名押印した「贈与契約書」でなすべきです。また,この契約書が後日作ったといわれないように,確定日付を付けてもらうべきです。

(5)非公開会社の株式の場合,定款の定めるところに従い,株主総会又は取締役会の承認決議を得ておくこと
 これをしないと贈与の効果は生じませんので,注意が必要です。

(6)基礎控除額を超える贈与をし,贈与税の申告をするとよい
 暦年贈与をする場合,基礎控除額を超える金額にし,受贈者が毎年贈与税の申告をすれば,税務署から贈与を否認されることはありませんので,面倒でも,そうすべきでしょう。

この記事を書いたプロ

弁護士法人菊池綜合法律事務所 [ホームページ]

弁護士 菊池捷男

岡山県岡山市北区南方1-8-14 [地図]
TEL:086-231-3535

  • 問い合わせ

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

2

こちらの関連するコラムもお読みください。

<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
 
このプロの紹介記事
菊池綜合法律事務所|菊池捷男弁護士は数多くの民事裁判を手がけてきたエキスパート

法律事務所は決して敷居の高い場所ではありません。(1/3)

 事務所設立以来40年、「うそをつかない、ごまかさない」を信念に、離婚や相続など数多くの民事裁判を手がけてきた菊池捷男さん。現在事務所には菊池さんを筆頭に6人の弁護士が在籍し、民事から企業法務まであらゆる法律問題をサポートしています。 ...

菊池捷男プロに相談してみよう!

山陽新聞社 マイベストプロ

あらゆる法律問題に対処可能

事務所名 : 弁護士法人菊池綜合法律事務所
住所 : 岡山県岡山市北区南方1-8-14 [地図]
TEL : 086-231-3535

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

086-231-3535

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

菊池捷男(きくちとしお)

弁護士法人菊池綜合法律事務所

アクセスマップ

このプロにメールで問い合わせる
プロのおすすめコラム
共同保証人間の求償権の趣旨・消滅時効中断事由に関する初判例

最高裁判所平成27年11月19日判決の紹介時系列的事実関係⑴ 信用保証協会Aと主債務者会社の代表取締役Bが、銀...

[ 民法雑学 ]

労働 時間外労働等に対する割増賃金を年俸に含める旨の合意の有効性について(後半)

 最高裁判所第二小法廷平成29年7月7日判決は、①医療法人と医師との間の雇用契約において時間外労働等に対す...

[ 労働 ]

労働 時間外労働等に対する割増賃金を年俸に含める旨の合意の有効性について(前半)

 最高裁判所第二小法廷平成29年7月7日判決は、医療法人と医師との間の雇用契約において時間外労働等に対する...

[ 労働 ]

信用保証協会、二度目の最高裁判決

またまた、信用保証協会に不利な最高裁判決が出されました。2016-09-14付けコラムで紹介しました最高裁判所第三小...

[ 会社関係法 ]

立法論としての相続法⑬ 法制審議会で、民法1015条の字句を改めるべしとの意見出る

 現行の民法1015条は、「遺言執行者は、相続人の代理人とみなす。」と規定しています。この字句から、遺言執行...

[ 相続判例法理 ]

コラム一覧を見る

スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ