コラム

 公開日: 2016-06-16 

人は,人を知ることによって,情操が育まれ,大きく成長するものか

 世界一美しい島といわれる、カナダの大西洋側にあるセントローレンス湾内にあるプリンス・エドワード島を舞台にした,ルーシー・M・モンゴメリーが書いた小説「赤毛のアン」の主人公,アンは、幼い頃に両親を亡くし,孤児院で育てられてきました。
 そこへ,ある日,アンを養女に迎えたいという話が飛び込んできて,アンは大喜びをします。
 その後,アンは,プリンス・エドワード島へ来,汽車に揺られて,駅にまでやってきました。希望に胸を膨らませて。
 ところが,駅には,誰も,彼女を迎えに来てはいません。
 一方,マシュー・カスバートという男性は,男の子を迎えに駅にまで来たのですが,それらしき男の子はいません。
 やがて,駅では,降客や迎え人も去ってしまい,迎え人の来ないアンと,迎えるはずの子が来なかったマシューだけが,それぞれ一人ぽつんと残されます。
 ここで,マシューは,もしや,と思って,アンに声をかけますと,アンこそがマシューとマリラ兄妹の家にやってきた子であることが分かりました。
 やがて,マシューは,アンを馬車に乗せ,綠の切り妻屋根(グリーンゲイブルス)の我が家に連れて帰りますが,グリーンゲイブルスに帰ると,マシューの妹のマリラ・カスバートは、マシューに言います。
マリラ
  「置いとけませんね,あの子は。あの子がわたしらに、何の役にたつというんです?」
 そうなんです。マシューもマリラも、マシューが60歳になり、心臓病の持病をもっているので、野良仕事の手伝いができる男の子が欲しかったのですから,マリラの言うことは,当然のことだったのです。
 しかし、このとき、
マシュウ  「わしらの方で,あの子になにか役にたつかもしれんよ。」
 日頃、自分の意思というものを口にしないマシューの言葉でしたので,マリラは驚きますが,駅からグリーンゲイブルスまで、アンを馬車で連れ帰ったマシューは、アンがいかに愛に飢え、家庭を求めているか、いかにマシューの家の子になることを喜んでいるかを知ったのです。また、いっぺんにアンを好きになっていたのです。
 そういう思いもあり、件(くだん)の言葉になったのです。
 結局、このマシューの言葉で、アンは、グリーンゲイブルスの子になりました。
 その後、マシューも、マリラも、アンに対する愛情が、日ごとに大きくなっていき、それまでに経験したことにない,明るい,笑いの多い日々を送ることになるのです。

 5年後、マシューは、突然、心臓発作で亡くなります。
 その前日のアンとの会話です。
 野良仕事を終えたところのマシューに,アンが語りかけます。
アン  「私が、男であったら、マシュー叔父さんを助けることができるのに・・・」
これに対し,マシュー
 「お前は女の子でよかったんだよ。12人の男の子より、いいんだからね。わしの自慢の娘じゃないか。」
 アンと分かれた後、マシューは,つぶやきます。
マシュー
 「あの子がわしらに入用だったことを,神様はご存じだった。あの子は神様の思し召しだった。」
 アンを養女にした喜びに溢れるマシューの言葉だったのです。

 マシューも,マリラも,アンと会い,アンを知ることによって,アンに惜しみない愛情を注ぎ,それまでに経験したことのない深さと密度のある家族関係を持つことができたのですが,ここに至る経緯を考えますと,はじめは,労働力が欲しいからという利己的な思いで,男の子をもらい受けようとしたマシューとマリラでしたが,アンと会い,アンを知ることによって,アンのために役に立つのだから,アンに養女になってもらおうという利他的な心情に変わっていったことが,よく分かります。

人は,人を知ることで,情操が育まれ,成長するものだと思われます。

この記事を書いたプロ

弁護士法人菊池綜合法律事務所 [ホームページ]

弁護士 菊池捷男

岡山県岡山市北区南方1-8-14 [地図]
TEL:086-231-3535

  • 問い合わせ

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

1

こちらの関連するコラムもお読みください。

<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
 
このプロの紹介記事
菊池綜合法律事務所|菊池捷男弁護士は数多くの民事裁判を手がけてきたエキスパート

法律事務所は決して敷居の高い場所ではありません。(1/3)

 事務所設立以来40年、「うそをつかない、ごまかさない」を信念に、離婚や相続など数多くの民事裁判を手がけてきた菊池捷男さん。現在事務所には菊池さんを筆頭に6人の弁護士が在籍し、民事から企業法務まであらゆる法律問題をサポートしています。 ...

菊池捷男プロに相談してみよう!

山陽新聞社 マイベストプロ

あらゆる法律問題に対処可能

事務所名 : 弁護士法人菊池綜合法律事務所
住所 : 岡山県岡山市北区南方1-8-14 [地図]
TEL : 086-231-3535

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

086-231-3535

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

菊池捷男(きくちとしお)

弁護士法人菊池綜合法律事務所

アクセスマップ

このプロにメールで問い合わせる
プロのおすすめコラム
独占禁止法違反 返品が、優越的地位の濫用に当たる場合と、当たらない場合、それぞれの要件

公正取引委員会平成27年3月26日審決(平成24年(判)第6号及び第7号)は、優越的地位の濫用に対して課徴...

[ 会社関係法 ]

景品表示法違反② 課徴金制度の導入と初適用事例

優良誤認表示などの不当表示に、課徴金制度が導入されたのは、改正景品表示法の施行日(平成28年4月1日)から...

[ 会社関係法 ]

民法(債権法)改正法が成立

 本日、民法(債権法)に関する改正民法が成立しました。制定以来、約120年ぶりの大改正です。改正は、約200項...

[ 債権法改正と契約実務 ]

景品表示法違反① 合理的根拠資料を持たずして、効果・性能表示をなすなかれ

 不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)は、「不当表示」を禁じています。その一類型である「優良誤認表...

[ 会社関係法 ]

従業員との間の競業避止契約は、代償措置がとられていないと、無効

東京地方裁判所平成28年12月19日判決は、会社が従業員との間で競業避止契約を結び、従業員から退職の申し出...

[ 会社関係法 ]

コラム一覧を見る

スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ