コラム

 公開日: 2016-06-09  最終更新日: 2016-06-15

経営者は、目糞も鼻糞も、笑うことはしない

 人は、その人自身の知識と経験の制約の中で、ものを見、ものを考え、ものを語りますので,どうしても,管を通して天を覗くに似た,狭さが伴います。
 その狭さから抱いた見解を「管見(かんけん)」といいますが,人の管見は、人たる所以より出でたるものですから,決して、恥じるものではありません。
 ところで、人には、面白い一面があり,他人の管見が、自分自身の管見より狭いとみた場合,自分自身のことを忘れ,他人の管見を,ときに嗤い、ときに笑うのです。
 これを、“目糞、鼻糞を笑う”といいますが,経営者は、己の考えが管見であることを知り,他人の意見からは学べるものを学ぼうとする習性をもっていますので,目糞も鼻糞も意識することはなく,したがって,目糞も鼻糞も笑うことは決してしません。
似た言葉に,井蛙の誇り(せいあのほこり),という言葉がありますが,これは“井の中の蛙,大海を知らず”という言葉を縮めただけの言葉です。
 無論,経営者に,井蛙の誇りとそしられるようなものは,あろうはずはありません。
 優れた経営者が,多くの場合,謙虚で高潔であるのは,この所以です。

 実は、この“目糞、鼻糞を笑う”姿を、悪意をもって眺めれば,引かれ者の小唄か、不遇へのぼやきか、非力な我が身の弁護か、小人(しょうじん)の閑話のような絵にしか,見えないかもしれません。
 チャーチルは、「人生における最も偉大な学びは、愚かだと思った考えさえ、ときには、彼らが正しいこともある、と知ることだ。」という語録を残していますが、愚かだと思う他人の考えの中でさえ学ぶことがあると考えると,人間を捉えて,“笑う”というのは,問題ありというべきでしょう。
経営者たる者,“威儀を正くして、人を軽侮せざらしむべし”ということなのでしょうか?


 ずいぶん昔のことですが、あるプロボクサーが、世界選手権を戦って勝ちました。そのときのインタビューで、ボクサーは、最初から最後まで、戦った相手のボクサーを褒めるのです。自分が,そのような強い相手に勝てたことは、幸運以外のなにものでもないと、謙虚に答えたのです。
 それから何十年か経ってのことです。現役を退いてもなお名声の残っていた彼は、テレビで、そのときのことを、世界選手権で勝利したから、相手のボクサーを褒めることができた,もし、負けていたら、相手の批判をしたであろうと述懐したものです。
 “勝負に勝つ者,人生で成功を収める者の言や麗し”です。

この記事を書いたプロ

弁護士法人菊池綜合法律事務所 [ホームページ]

弁護士 菊池捷男

岡山県岡山市北区南方1-8-14 [地図]
TEL:086-231-3535

  • 問い合わせ

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

2

こちらの関連するコラムもお読みください。

<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
 
このプロの紹介記事
菊池綜合法律事務所|菊池捷男弁護士は数多くの民事裁判を手がけてきたエキスパート

法律事務所は決して敷居の高い場所ではありません。(1/3)

 事務所設立以来40年、「うそをつかない、ごまかさない」を信念に、離婚や相続など数多くの民事裁判を手がけてきた菊池捷男さん。現在事務所には菊池さんを筆頭に6人の弁護士が在籍し、民事から企業法務まであらゆる法律問題をサポートしています。 ...

菊池捷男プロに相談してみよう!

山陽新聞社 マイベストプロ

あらゆる法律問題に対処可能

事務所名 : 弁護士法人菊池綜合法律事務所
住所 : 岡山県岡山市北区南方1-8-14 [地図]
TEL : 086-231-3535

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

086-231-3535

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

菊池捷男(きくちとしお)

弁護士法人菊池綜合法律事務所

アクセスマップ

このプロにメールで問い合わせる
プロのおすすめコラム
遺言執行者制度は機能しているか?⑤ では、判例はどうか?

5 では、遺言執行者相続人代理人説は、判例では認められているのか?(1)相続人の遺言執行者に対する相続...

[ 相続判例法理 ]

遺言執行者制度は機能しているか?④ 遺言執行者相続人代理人説は、法の規定と整合するか

4 遺言執行者相続人代理人説は、法の規定と整合するのか(1) 遺言執行者は相続人の代理人なのか?遺言...

[ 相続判例法理 ]

民法雑学 不当利得返還請求権の消滅時効は、権利発生の時から、進行が開始する

先日、45年前の子供の取り違えによる債務不履行を原因とした損害賠償請求権の時効は、取り違えを知った時から、消...

[ 民法雑学 ]

遺言執行者制度は機能しているか?③ 日弁連・懲戒委員会の懲戒議決に通底する考え

3 日弁連・懲戒委員会の懲戒議決に通底する考え日弁連・懲戒委員会は、(1) 民法1015条が「遺言執行者...

[ 相続判例法理 ]

遺言執行者制度は機能しているか?② 弁護士の総意(日弁連総会議決)は、反対意見

2 弁護士の総意(日弁連総会議決)は、反対意見 日弁連総会は,平成16年、日弁連規則を改正し,平成13年に...

[ 相続判例法理 ]

コラム一覧を見る

スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ