コラム

 公開日: 2016-06-07  最終更新日: 2016-06-09

経営者の遺言、遺風は30年の効あり

 ここでいう遺言と遺風というのは、五丈原で病を得て陣没した諸葛孔明の遺言と遺風のことです。
 諸葛孔明は、劉備玄徳より遺孤劉禅を託され、漢朝の復興という大業の達成のため、魏を伐たんとして北伐を繰り返すのですが、志半ばにして、亡くなります。その孔明が、亡くなる前、五丈原からの撤兵の方策、味方の将である魏延が起こすであろう謀反に対する処置を馬袋に指示します。その結果、孔明の死直後、「死せる孔明、生ける仲達を走らす」という故事成語が生まれるような、みごとな撤兵を実現し、また、謀反を起こした魏延に対しては、正々堂々の名乗りを挙げた馬袋によって誅殺させます。
 そして、孔明は遺言を残します。その遺言は、孔明亡き後の蜀の国を、武では孔明が軍略のすべてを教えた姜維、文では蒋琬はじめ孔明子飼いの者に託すという内容です。
 その時点における蜀の国の実力者は、楊儀ですが、楊儀の性は狷介(けんかい)なりとして、彼には後事を託さず、平凡だか忠誠の人である蒋琬らに託したのです。
 これらにより、以後、蜀は、彼らが支柱となる「死しても死せざる孔明の守り」によって30年間、国を保っていくのです。
 しかしながら、30年も経つと、支柱となった人たちも亡くなります。
「支柱を失うと、必ず内争始まる」の喩えのとおり、佞臣が現れ、内争が始まります。

宦官が、暗弱な劉禅を、日夜の歓宴に誘い入れ、内部から腐っていくのです。すえたる果物カゴの中の一個の果物のみがすえないでいれるわけはなく、劉禅も腐っていくのです。 そして、突然、魏軍が蜀の首都成都に乱入し、劉禅に城下の誓いをさせた(敵に城を攻め落とされて降参する意味)ことにより、蜀の国は滅びるのです。

 魏蜀呉三国争覇の時代に、最弱国で、強いリーダーシップを持った指導者もいない中で、孔明が亡くなった後、30年間も、蜀が、国を保ってきたこと自体、奇跡といってもよいことですが、それが、孔明による遺言、遺風、薫化だとすれば、事業経営者も、また、後継者のみならず,事業を支える幹部たちを薫化、薫育するときは、30年間は、その効果が続き、次の代も、正しく先代の衣鉢を継いであれば、さらに30年間、効果が続くことになりますが,累代優れた後継者が続けば、企業は,薫化していく人たちの範囲を広げながら,永遠に発展をし続けることになるのだろうと思われます。
いわば,善の末広がりの循環になるのだろうと思われるのです。
100年,200年,300年と続く企業とは,そういう企業なのでしょう。

この記事を書いたプロ

弁護士法人菊池綜合法律事務所 [ホームページ]

弁護士 菊池捷男

岡山県岡山市北区南方1-8-14 [地図]
TEL:086-231-3535

  • 問い合わせ

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

1

こちらの関連するコラムもお読みください。

<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
 
このプロの紹介記事
菊池綜合法律事務所|菊池捷男弁護士は数多くの民事裁判を手がけてきたエキスパート

法律事務所は決して敷居の高い場所ではありません。(1/3)

 事務所設立以来40年、「うそをつかない、ごまかさない」を信念に、離婚や相続など数多くの民事裁判を手がけてきた菊池捷男さん。現在事務所には菊池さんを筆頭に6人の弁護士が在籍し、民事から企業法務まであらゆる法律問題をサポートしています。 ...

菊池捷男プロに相談してみよう!

山陽新聞社 マイベストプロ

あらゆる法律問題に対処可能

事務所名 : 弁護士法人菊池綜合法律事務所
住所 : 岡山県岡山市北区南方1-8-14 [地図]
TEL : 086-231-3535

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

086-231-3535

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

菊池捷男(きくちとしお)

弁護士法人菊池綜合法律事務所

アクセスマップ

このプロにメールで問い合わせる
プロのおすすめコラム
遺産分割判例法理⑦ 財産全部についての遺産の分割の方法を定めた遺言は債務に及ぶ 

 民法899条は,「各共同相続人は、その相続分に応じて被相続人の権利義務を承継する。」と規定していますが,ここ...

[ 相続判例法理 ]

遺産分割判例法理⑥ 遺産分割の方法を定めた遺言の効力は代襲相続人に及ばない

遺言書の効果は,遺言書に書かれた文言に限られます。長男に全財産を「相続させる」と遺言書を書いた場合で,そ...

[ 相続判例法理 ]

遺産分割判例法理⑤ 相続放棄は詐害行為にならない

 しかしながら,相続放棄は,詐害行為になりません。下記の判例があるからです。 ですから,遺産分割協議で...

[ 相続判例法理 ]

遺産分割判例法理④ 遺産分割協議は詐害行為になりうる 

 債務が多くあり,遺産を相続しても債権者に差し押さえられると考え,遺産分割においては取得できる具体的相続分...

[ 相続判例法理 ]

遺産分割判例法理③ 債務不履行による遺産分割協議の解除は不可

 これは,代償分割など,遺産分割協議で,相続人の一人が債務を負担した場合で,当該相続人が債務を履行しないと...

[ 相続判例法理 ]

コラム一覧を見る

スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ