コラム

 公開日: 2011-01-14 

相続 99 遺留分に基づき、親父の散財行為を阻止できないか?


1 遺留分の意味
遺留分とは、「被相続人の意思によって奪うことのできない、相続人に与えられた最低限度の財産」です。「遺言によっても奪うことのできない最低限度の相続分」ともいわれます。
人は誰でも、自分の所有物は自由に処分できるはずです。自分の権利も自由に処分できるはずです。しかし、人には、その人と一定の身分関係にある人のために、一定範囲の財産を遺して上げる義務を負っているのです。それが、「遺留分」なのです。

2遺留分制度の意義
遺族の生活保障のため、相続人間の形式的平等のため、相続人が持っている相続財産の中の潜在的な持分の取り戻しのためなどと、いろいろ説明されています。

3遺留分を有する相続人とは、誰か?
相続人は、配偶者の外は、第1順位者が「子又はその代襲者」、第2順位者が「直系尊属」、第3順位者が「兄弟姉妹又はその代襲者」です。このことは「相続1」で解説しました。
遺留分を有する相続人とは、兄弟姉妹を除いた相続人です。

4遺留分はどの程度の財産なのか?
これは、誰が相続人になるかによって、異なります。
①直系尊属のみが相続人である場合 被相続人の財産の1/3
②前号に掲げる場合以外の場合 被相続人の財産の1/2」
です。

参照:民法1028条
兄弟姉妹以外の相続人は、遺留分として、次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める割合に相当する額を受ける。
①直系尊属のみが相続人である場合 被相続人の財産の1/3
②前号に掲げる場合以外の場合 被相続人の財産の1/2」

ですから、配偶者だけが相続人の場合、配偶者と子又はその代襲者が相続人の場合、配偶者他直系尊属が相続人の場合、は、いずれも被相続人の財産の1/2、
直系尊属だけが相続人の場合は、被相続人の財産の1/3が「遺留分」です。

5 遺留分に基づき、被相続人の散財行為を阻止できないか?
被相続人が、生前、どれほど財産を処分しても、相続人になるはずの人(推定相続人)は、その処分行為を差し止めることはできません。子には、父親の遊蕩や散財を法的に止める権利はないのです。
被相続人が死亡し、相続が開始して初めて、遺留分の侵害があったかなかったかが分かるのです。
判例(大審院大正6.7.18決定)は、相続開始前に、遺留分権利者が、遺留分に基づいて被相続人が贈与した財産に対し遺留分減殺請求権保全の仮登記手続を求めた事件で、そのような権利は認められないと判示しました。また、最高裁昭和32.9.19判決は、将来被相続人になる者がした財産減少行為が、遺留分侵害の対象になる行為であることの確認を求める訴訟に対し、「確認の訴えの対象と成り得るものは、現在の法律関係であるところ、相続の開始によって将来発生するであろう、或いは発生しないかもしれないという法律関係を確認することは許されない。」旨判示しているのです。

この記事を書いたプロ

弁護士法人菊池綜合法律事務所 [ホームページ]

弁護士 菊池捷男

岡山県岡山市北区南方1-8-14 [地図]
TEL:086-231-3535

  • 問い合わせ

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

2
<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
 
このプロの紹介記事
菊池綜合法律事務所|菊池捷男弁護士は数多くの民事裁判を手がけてきたエキスパート

法律事務所は決して敷居の高い場所ではありません。(1/3)

 事務所設立以来40年、「うそをつかない、ごまかさない」を信念に、離婚や相続など数多くの民事裁判を手がけてきた菊池捷男さん。現在事務所には菊池さんを筆頭に6人の弁護士が在籍し、民事から企業法務まであらゆる法律問題をサポートしています。 ...

菊池捷男プロに相談してみよう!

山陽新聞社 マイベストプロ

あらゆる法律問題に対処可能

事務所名 : 弁護士法人菊池綜合法律事務所
住所 : 岡山県岡山市北区南方1-8-14 [地図]
TEL : 086-231-3535

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

086-231-3535

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

菊池捷男(きくちとしお)

弁護士法人菊池綜合法律事務所

アクセスマップ

このプロにメールで問い合わせる
プロのおすすめコラム
遺産分割判例法理⑦ 財産全部についての遺産の分割の方法を定めた遺言は債務に及ぶ 

 民法899条は,「各共同相続人は、その相続分に応じて被相続人の権利義務を承継する。」と規定していますが,ここ...

[ 相続判例法理 ]

遺産分割判例法理⑥ 遺産分割の方法を定めた遺言の効力は代襲相続人に及ばない

遺言書の効果は,遺言書に書かれた文言に限られます。長男に全財産を「相続させる」と遺言書を書いた場合で,そ...

[ 相続判例法理 ]

遺産分割判例法理⑤ 相続放棄は詐害行為にならない

 しかしながら,相続放棄は,詐害行為になりません。下記の判例があるからです。 ですから,遺産分割協議で...

[ 相続判例法理 ]

遺産分割判例法理④ 遺産分割協議は詐害行為になりうる 

 債務が多くあり,遺産を相続しても債権者に差し押さえられると考え,遺産分割においては取得できる具体的相続分...

[ 相続判例法理 ]

遺産分割判例法理③ 債務不履行による遺産分割協議の解除は不可

 これは,代償分割など,遺産分割協議で,相続人の一人が債務を負担した場合で,当該相続人が債務を履行しないと...

[ 相続判例法理 ]

コラム一覧を見る

スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ