コラム

2016-04-18

遺産分割における付随問題⑤ 老親の介護や扶養問題

1 介護・扶養を理由とする多めの遺産分割の要求
 父が亡くなり、母と複数の子が相続人になるケースで、子の一人が、老齢の母の介護や扶養をするので、自分の相続分を多く、母を含む他の相続人の相続分を少なくするよう要求する、ということが、遺産分割協議や調停の中で、よく出てきますが、父が残した遺産を分割することと、母の介護・扶養は全く別問題です。

2 むしろ逆に考えるべき
 真実、母の介護や扶養に、お金がかかるというのであれば、母の相続分をこそ、十分に確保し、母が得た父の遺産を、母の介護や扶養に当てるべきでしょう。
 老母から、介護や扶養の不安を除いてあげることは、老母から遺産を取り上げて、老母に肩身の狭い思いをさせることではなく、老母に、その権利分の遺産を取得させ、資産を持っているという安心感を与えての,介護であり扶養であるべきでしょう。

3 家庭裁判所の考え
 家庭裁判所は、他の子たちが、同意をした場合でも、母の相続分まで,一人の子に取得させることには、消極的な姿勢を見せています。
 母の介護や扶養を約束した相続人が,約束を履行する保障はない上に,その約束を履行しなかったとしても,遺産分割を解除することはできませんので,(最判平1.2.9),そのような遺産分割には,かなりのリスクが伴うからです。

4 遺産分割をデッドロックに乗せてしまう危険が極めて大きい
 老親の介護・扶養の問題が,遺産分割の協議や調停の場で取りあげられると、本来の目的である遺産分割が、デッドロックに乗り上げてしまう危険が極めて大きく,この問題は、遺産分割とは切り離して、話し合うべきです。

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